“破天荒”“型破り”そんな言葉とともに語られることの多い渡辺氏に、このほど公開されたWACKの合宿オーディションを追った映画『らいか ろりん すとん -IDOL AUDiTiON-』と、現在のアイドルシーンについて聞いた。(2回連載の2回目)
【写真】精神と体力の限界を超える少女たち…映画場面カット
※インタビュー1「タレントビジネスは代わりがいない、厳しくしないと成功できない」はこちらから。
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――WACKの立ち上げ当初は追う立場でしたが、現在のアイドルシーンにおいては追われる立場になったと思います。
渡辺 いやー、どうなんですかね。僕たちは今でもインディーズというか、邪道だと思っているんです。どでかいシーンで言えば、AKB48グループ、坂道グループ、K-POPのアイドルがいて、地下に僕たちがいるイメージです。謙遜でもなんでもなく、そこにはどうしても勝てないと思います。と言いながらもWACKに所属している子たちの夢、BiSHでいえば東京ドーム公演などは、そういうところに並ばないと実現は難しいと思います。そこに行くための努力はしていますし、まだまだ追いかけている気持ちでやっています。
――一方でWACKを目標にしている運営も多いです。
渡辺 確かにTIFに出させていただくときに、若い運営さんから「WACKさんみたいになりたくてやってます」とか言っていただける機会が多くなりました。
――渡辺さんから見て、今のアイドルシーンはどう映っていますか。
渡辺 中間層と言われるところが非常に少ない状況になっていますよね。シーンはいろんな人たちがいて盛り上がっていくものなので、そこから上がっていくことが大切です。中間層がなくなったことで、僕たちはWACK内でグループを作って、WACKというシーンを作る形でやってきたんですけど、そうじゃないところからシーンが生まれてくるとうれしいですね。どうしても突き上げがないと、僕たちも上がれないですから。
――ここ数年、中間層のアイドルグループが数多く解散していますが、WACK内でもグループの解散や解体がめまぐるしく行われていますよね。
渡辺 みなさん僕のことを残酷と言いますけど(笑)。僕としてはお客さんの方が残酷だと思っています。
――先ほどK-POPのお話が出ましたが、NiziUのオーディションは観ていましたか?
渡辺 観てました。すごいですよね。
――どんな感想を持ちましたか?
渡辺 ちょっと話はそれちゃうんですけど、「勝てないよな」って思うんですよ。なぜかと言うと、過去にAKB48のドキュメンタリー映画『DOCUMENTARY of AKB48 Show must go on 少女たちは傷つきながら、夢を見る』(2012年)を観たときも感じたことなんですけど、言い方は悪いですが、メンバーが過呼吸で倒れる姿が残酷に見えているわけですよ。僕たちが、もっと地下アイドルの現場にいたときは、楽屋中で過呼吸の子がいましたからね(笑)。もっと、こっちは壮絶だぞという気持ちもありつつ、誰もが知っている国民的グループと同じ土俵で勝負しても勝てるわけがないと思ったんです。NiziUもJ.Y.Parkさんが手掛けるというインパクトには勝てないし、羨ましいなという気持ちがある一方で、有名だからこそ極端なことはできない部分もあるんだろうなと。だからこそWACKも共存できているのかなと感じます。
――コロナ禍でWACKのスタンスに変化はありましたか?
渡辺 この1年で、改めてライブやイベントの大切さを痛感しました。でも、このコロナ禍で変化するのではなく、当たり前に音楽を作って、当たり前に活動を続けていくことこそが大事だなと思っています。
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▽『らいか ろりん すとん-IDOL AUDiTiON-』
1月15日(金)よりテアトル新宿ほかにて全国順次公開
監督:岩淵弘樹 バクシーシ山下 エリザベス宮地
プロデューサー:渡辺淳之介
撮影:岩淵弘樹 バクシーシ山下 エリザベス宮地 白鳥勇輝
出演:BiSH BiS EMPiRE CARRY LOOSE 豆柴の大群 GO TO THE BEDS PARADISES WAgg オーディション候補生
配給:松竹 映画営業部ODS事業室/開発企画部映像企画開発室
2020年/82分/ヴィスタサイズ/2.0ch ステレオ/(C)WACK.INC
▽『らいか ろりん すとん-IDOL AUDiTiON-』公式サイト
http://rolin-ston-movie.com/