「生理前になると異様に眠くなる…」という女性は少なくありません。でも、仕事や家事の最中に寝るわけにもいかないので、毎月悩まされていることでしょう。

この症状は女性ホルモンのバランスと大きく関係しています。そこで今回は、生理前の眠気「PMS過眠」の軽減対策について紹介します。

月経前症候群(PMS)で眠くなる理由

月経前症候群(PMS)とは生理前にあらわれるさまざまな不調のことで、生理前の強い眠気も症状の1つとされ「PMS過眠」と呼ばれています。このPMS過眠の原因とされるのが下記3つです。

(1)アロプロゲステロンの生成量が増えるから

アロプロゲステロンは眠気を引き起こす物質で、女性ホルモンのプロゲステロンが分解されることで生成されます。生理の約14日前の排卵日以降、プロゲステロン分泌量の増加に伴ってアロプロゲステロンの生成量は増えていきます。

(2)体温が下がりにくくなるから

入眠には体温を下げることが大切ですが、プロゲステロンは体温を上げる働きがあるため夜の寝つきが悪くなり、普段通りの睡眠では疲れがとれていない可能性があります。

(3)自律神経が乱れるから

排卵後からエストロゲンの分泌量が減り副交感神経が優位になりにくく、自律神経が乱れることで夜間の睡眠の質が低下している可能性があります。

アロプロゲステロンに負けない方法

生理前のアロプロゲステロンの増加は避けられません。眠気を引き起こすアロプロゲステロンに負けないためには、室温や湿度などの睡眠環境や体内時計を整えましょう。

(1)睡眠環境を整える

寝室を温度26度程度、湿度50~60%に設定し、熟睡しやすい環境を整えることが大切です。

(2)朝に日光を浴びる

朝起きたときに日光を浴び、体内時計をリセットして自律神経を整えることも大切。睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌も抑えられます。

(3)低用量ピルを服用する

低用量ピルを服用することで排卵を止めて、女性ホルモンのバランスの変化を抑える方法もあります。なお、低用量ピルを服用するときは、婦人科や産婦人科を受診して処方してもらいましょう。

生理前の強い眠気に毎月悩んでいるなら、「生理前だから仕方ない」と諦めず、生活習慣や睡眠環境を改善するなどして軽減対策に取り組んでみてくださいね。<text:薬剤師・中田早苗>