写真提供: milan.com

今月9日にマルコ・ジャンパオロ前監督を解任し、ステファノ・ピオリ監督の招聘を発表したミラン。最後にセリエA優勝を飾ってから、同監督が10人目の監督となった。

7回のチャンピオンズリーグ(CL)制覇など、かつてサッカー界の覇権を握ったミランだが、見る影もないのが現状だ。オーナーの変更など、様々なことが起きたここ数年だが、それでも上昇の兆しは見えてこない。

今回は、そんな低迷するミランを率いてきた8人の監督をご紹介する。

低迷するミランを率いた8人の監督。負のループはいつ終わる?
写真提供:Gettyimages

マッシミリアーノ・アッレグリ

就任期間:2009年6月25日~2014年1月13日

2009/2010シーズンからミランを率いたアッレグリ氏。初シーズンこそ3位に終わったものの、2010/2011シーズンにはイブラヒモビッチ、ロビーニョ、パトがそれぞれ14ゴールを記録するなどリーグ優勝を達成。続く2シーズンも2位、3位とタイトル争いを演じたが、2013/2014シーズンは前半戦終了時点で11位と不振にあえいだ。

シーズン終了後の退任が決定していたが、ベルルスコーニ会長の意向などもあり、シーズン途中の2014年1月13日にクラブから公式に解任の発表がされた。アシスタントコーチを務めていたマウロ・タソッティ氏がチームを引き継ぎ、その後セードルフ氏がシーズン終了までチームを率いた。最終順位は8位となり欧州カップ戦の出場権を逃し、近年長らく続いたミラン不在のCL、ELの初年度となった。

低迷するミランを率いた8人の監督。負のループはいつ終わる?
写真提供:Gettyimages

クラレンス・セードルフ

就任期間:2014年1月16日~2014年6月9日

アッレグリ前監督の退任を受け2013/2014シーズン途中にミラン監督に就任したセードルフ氏。クラブOBとしてチームの立て直しを期待されたが、思うような結果を残せず。このシーズンを8位で終えている。

ELの出場権を獲得できなかったことから、6月9日に解任され、後任にはOBのフィリッポ・インザーギ氏が抜擢された。

低迷するミランを率いた8人の監督。負のループはいつ終わる?
写真提供:Gettyimages

フィリッポ・インザーギ

就任期間:2014年6月9日~2015年6月16日

セードルフ氏の解任を受けてミランのU-19チームを率いていたインザーギ氏がトップチームの監督に昇格する形で就任した。前シーズンの8位から、ジャンプアップすることが期待されていたが、終わってみれば10位と2年連続で欧州カップ戦の出場権を逃す結果となった。シーズン終了後には解任が発表され、後任には豊富な経験を持つシニシャ・ミハイロビッチ氏が抜擢された。インザーギ氏は2017年1月にイタリア国営放送『RAI』の番組に出演。「監督の仕事に口出ししない会長のほうが仕事がしやすい」と恨み節を述べていた。ベルルスコーニ氏の現場介入ぶりがよくわかるエピソードだろう。

低迷するミランを率いた8人の監督。負のループはいつ終わる?
写真提供:Gettyimages

シニシャ・ミハイロビッチ

就任期間:2015年6月16日~2016年4月12日

サンプドリアの監督を退任し、フリーとなっていたミハイロビッチ氏が2015年6月16日より、ミランの監督に就任した。しかし、2015/2016シーズンは序盤から不調が続き、1度は復調の兆しを見せたものの3月下旬からは勝利に見放された。4月9日に行われたユヴェントス戦に敗れたことでベルルスコーニ会長が解任を決断。下部組織を率いていたブロッキ氏が後を継いだ。このシーズンはリーグ戦7位と再び欧州カップ戦の出場権を逃すことにはなったが、コッパ・イタリアでは準優勝を勝ち取っている。

低迷するミランを率いた8人の監督。負のループはいつ終わる?
写真提供:Gettyimages

クリスティアン・ブロッキ

就任期間:2016年4月13日~2016年6月30日

ミハイロビッチ氏のシーズン途中での解任を受け下部組織の監督からトップチームの監督へとステップアップを果たしたブロッキ氏。しかし、就任後6試合で勝ち点8と結果を残すことはできなかった。同氏はベルルスコーニ会長に契約の解除を要求。イタリア2部ブレシアとの契約に合意した。当初はシーズン途中でのスピード解任も噂されたが、2016年6月30日までの契約を全うした。ユヴェントスとのコッパイタリア決勝にも敗れ準優勝となっている。ブロッキ氏の後を継いで就任したのは、フィオレンティーナを率いて名を挙げたモンテッラ氏となった。

低迷するミランを率いた8人の監督。負のループはいつ終わる?
写真提供:Gettyimages

ビンツェンツォ・モンテッラ

就任期間:2016年7月1日~2017年11月27日

ブロッキ氏の後を継いでミランの監督に就任したモンテッラ氏。低迷していたフィオレンティーナを率いて3年連続の4位に導くなど、結果を残してきただけに期待も大きかった。モンテッラ氏は就任1年目に18勝9分11敗で6位の成績を残した。終盤にインテルとのミラノダービーに競り勝つなど、勝負強さも見せていた。4位のラツィオがコッパ・イタリアを優勝したことにより、EL出場権の枠が1つ空き、2012/2013シーズンぶりに欧州カップ戦の出場権を確保した。

就任2年目となったシーズンは、ベルルスコーニ会長が中華資本にクラブを売却するなど激動のスタートとなった。資金を手に入れたミランは積極的に補強を行い200億円以上を選手獲得に投資した。しかし、結果を出せなかった際のバッシングはすさまじいものでもあった。ボヌッチなどの加入で上位争い、CL出場権の確保を目標としていたが、14節を終え勝ち点20の7位。首位ナポリとは勝ち点18差をつけられるなど上位争いからは脱落。11月26日に行われたトリノ戦に引き分けたあと、解任が発表された。

低迷するミランを率いた8人の監督。負のループはいつ終わる?
写真提供:Gettyimages

ジェンナーロ・ガットゥーゾ

就任期間:2017年11月28日~2019年5月28日

現所属:ミラン

モンテッラ氏の後任に選ばれたのはガットゥーゾ氏だった。シーズン途中から暫定的に監督に抜擢され、チームEL出場圏内(プレーオフ出場圏内)である6位に導いたことが評価され、昨シーズンからは正式に監督に任命された。

昨シーズンは、様々な批判にさらされながらも5位と、前シーズンよりも順位を上げてシーズンを終えた。出場を辞退したものの、ELにもストレートインできる順位で終えたことは評価できるだろう。しかし、クラブはガットゥーゾ氏の解任を決断。多くの監督が後任候補に挙がる中、選ばれたのはサンプドリアを率いていたマルコ・ジャンパオロ氏だった。

低迷するミランを率いた8人の監督。負のループはいつ終わる?
写真提供: Gettyimages

マルコ・ジャンパオロ

就任期間:2019年7月1日~2019年10月9日

ガットゥーゾ氏の後任に抜擢されたのが若手の育成に定評のあるジャンパオロ氏だった。大規模な投資ができないミランにとって、選手を成長させる力のある監督の招聘は成功に見えた。

しかし、ジャンパオロ氏はあまりにも残した結果が乏しすぎた。クラブは同氏の哲学が植え付くまで辛抱するとみられていたが、3勝4敗の13位という成績を受け入れることはできなかったようだ。

ジャンパオロ氏からバトンを受け取ったのは、ステファノ・ピオリ監督。かつて、同じような状況にあったインテルを率いたことのある監督だ。その時は、就任直後は連勝を重ね、終盤に失速したピオリ監督。ミランではどのような成績を残せるだろうか。

 

編集部おすすめ