「あれっ?俺もしかしてくるとこ間違えた?」

ミケル・アルテタ監督にすべてを託したアーセナル。

昨シーズン同様2020/21シーズンも低調なスタートで、チャンピオンズリーグ争いではなく残留争いを繰り広げた時期もあったが、ブカヨ・サカ、ガブリエウ・マルティネッリ、エミール・スミス・ロウの若手有望株に2列目を一新してからリーグ戦3連勝を飾った。FAカップもニューカッスル相手に延長線の末何とか勝利を収め、3回戦突破を決めている。

未だ綱渡りの状況であることは否めないが、2021年は何か違う姿を見せてくれるかもしれない。

新陳代謝が進むことは、一方でその影に隠れてしまった才能ある選手たちが存在することを意味する。特にチームの顔になるほどの功績を収めた実力者たちがアーセナル入団を機に信じられないほどパフォーマンスを落としてしまうケースは、他のクラブに比べて多い印象を抱かざるを得ない。そんな「もしかしたらアーセナル入団は間違いだったかもしれない選手たち」をご紹介したい。

こんなはずじゃない…アーセナル入団を間違えたかもしれない選手たち

ウィリアン

今シーズン長年所属したチェルシーからライバルクラブへ電撃移籍を果たしたウィリアン。同じロンドンを拠点とするライバルクラブへの移籍という非常に大きな決断をしたウィリアンだったが、アーセナルへ加入してからは明らかにパフォーマンスが落ちている。

チェルシー時代のようなサイドから仕掛けるあのキレはアーセナル加入後は鳴りを潜めており、低調なパフォーマンスの結果スタメンを奪われる始末だ。ウィリアンは精度の高いボールタッチからアシストだけでなくゴールも奪える点が魅力だが、今シーズンはゴールすらなく3アシストのみ。ここまで期待外れの評価をされても仕方ない。


プレースキックの名手
ウィリアンが魅せる✨✨


ポストに当たって入る絶妙なコース

GKとの駆け引きに勝ってみせた

プレミアリーグ第32節
ウェストハム×チェルシー
#DAZN 見逃し配信中 pic.twitter.com/46I3W3HQEB

— DAZN Japan (@DAZN_JPN) July 2, 2020

ウィリアン自身、アーセナル入団をもしかすると後悔しているのかもしれない。30歳以上の選手には単年契約を提示することで有名なチェルシーから2年の契約延長のオファーを受けたようだが、3年という契約期間を提示されたアーセナルを選択した。きっと家庭や個人的な事情があっての判断だとは推察が立つが、仮にチェルシーに残留していれば今頃不調に陥るチェルシーの救世主になっていたかもしれない。15/16シーズンの時のようにチームが不調の状況でもウィリアンだけは高いパフォーマンスでチェルシーを支えていた勇敢な姿が今更ながら思い浮かぶ。

若手にスタメンを塗り替えられた状況下でここからウィリアンはどのように立ち直れるのだろうか。

こんなはずじゃない…アーセナル入団を間違えたかもしれない選手たち

ニコラ・ぺぺ

19/20シーズンにクラブ史上最高額の移籍金である7200万ポンド(約93億円)でフランスリーグのリールからアーセナルへ入団したニコラ・ぺぺだが、プレミアリーグ2年目でもフランスで見せた魅惑のプレーは実現されていない。リール時代には、18/19シーズンリーグ戦で22ゴールと驚異的な記録を打ち立てたが、アーセナル加入後すべての公式戦でのゴール数を足しても18/19シーズンには及んでいない。大きな期待が寄せられて赤いユニフォームに袖を通したが、まだ周囲からの期待に応えられていない状況だ。

加入初年度こそ、適応に難しいプレミアリーグを理由に大目に見る識者も多かったが、2年目でも変わらず停滞したパフォーマンスのため彼への評価も悪い方向へ傾き始めている。彼自身も「時間が欲しい」とメディアに吐露していたが、時間をかけて印象を残したプレーがエズジャン・アリオスキ(リーズ・ユナイテッド)への頭突きでは示しがつかない。

\ ゴ ツ ン! /

アリオスキーへ頭突きを見舞った #ニコラ・ぺぺ。オンフィールドレビューの結果、レッドカードが提示されて一発退場に。

#プレミアリーグ 第9節
リーズ×アーセナル
見逃し配信は #DAZNpic.twitter.com/REZjwHzKEP

— Goal Japan (@GoalJP_Official) November 23, 2020

ぺぺ自身、アーセナル入団をもしかすると後悔しているのかもしれない。むしろぺぺはリバプールへの移籍をするべきだったと考える。当時アーセナルの他にぺぺ獲得を検討したとされるクラブは、インテル、ナポリ、そしてリバプールだった。もしリバプールがぺぺを獲得していたなら、アーセナルよりも手厚いサポートを受け、高いパフォーマンスを維持していたかもしれない。ユルゲン・クロップ監督の人心掌握術は絶妙でペペの持ち味を最大限チームへ引き出すことができたはずだ。

サディオ・マネとのコンビでゴールを量産するシーンが容易にイメージできる。ここからぺぺは奇跡的な復活を遂げることはできるのだろうか。

こんなはずじゃない…アーセナル入団を間違えたかもしれない選手たち

ウィリアン・サリバ

2列目のポジションではないが、ウィリアン・サリバも移籍先を間違えたかもしれない選手の1人だ。19歳という若さで対人能力に長けた長身ディフェンダーで18/19シーズンにアーセナルと契約を果たした前途有望な人材だ。19/20シーズンは前所属であるサンテティエンヌへ期限付き移籍し、今シーズンからはロンドンへ拠点を移した。

1年間の修行を経て今シーズンからアーセナルの守備力強化に一躍すると思われたが、アルテタは彼をトップチームで起用する気配すら感じられず、この冬にまさかのフランスリーグのニースへ再び期限付き移籍で放出するという大失態を演じた。今シーズンから主力としてアーセナルの一員になるものと期待していたファンにとってもこの決断には失望を隠しきれない。

若くして実力を備えたサリバはどのクラブも喉から手が出るほど獲得したい人材だった。当時トッテナムもサリバ獲得を望んでいたようだが、結果的にはアーセナルが獲得レースを制した。もしかすると、サリバはアーセナルではなくトッテナムに行けばよかったのではないかと強く後悔しているかもしれない。トッテナムはヤン・ヴェルトンゲンやトビー・アルデルヴァイレルトの高齢化を背景に、予てから新たなディフェンダー要員を模索しており、今もなおミラン・シュクリニアルといった新しいディフェンダーの獲得を希望している。もしサリバがトッテナムにいたならば、トップチームでの出場は確約され、ジョゼ・モウリーニョの下飛躍的な成長を遂げていたかもしれない。

Saliba on why he picked Arsenal over Spurs:

"The history, the badge… since I was little, I've been watching Arsenal play. There are a lot of French players who have come through here. So that really helped me to make my mind up. This is the biggest club in England for me." pic.twitter.com/yxNHdM1I9P

— Charles Watts (@charles_watts) July 25, 2019

サリバは上記のインタビューでのコメントを取り消したいと思うと同時に、「実力ある選手をただ保有しているクラブ」と「実力ある選手が試合で活躍しているクラブ」は違うという大きな教訓を得たに違いない。

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