2020シーズンの明治安田生命Jリーグをもって引退した選手の数は、J1、J2、J3を合わせて50人を超えた。寂しさを感じながら2021シーズンの開幕を待っているサポーターも多かろう。

引退した50人以上のJリーガーの中には、国内だけではなく、海外のサッカー好きをも魅了してきた日本人選手たちが含まれている。

ここでは、Jリーグ2020シーズンを最後に引退した海外経験のある6人の日本人選手をまとめよう。「120円Jリーガー」と呼ばれたあの話題の選手もいる…。

Jリーグ2020で引退の海外経験のある日本人選手6選。内田篤人から、あの“120円Jリーガー”まで…

内田篤人(元鹿島アントラーズ

海外所属クラブ:シャルケ04、ウニオン・ベルリン(ドイツ)

鹿島アントラーズで引退が発表された元日本代表DF内田篤人。2006年に清水東高等学校から鹿島に加入すると当時の監督パウロ・アウトゥオリに高く評価され、2006シーズンのJ1開幕戦でデビューを果たした。プロデビュー後は、若干17歳にして同クラブに欠かせないレギュラー選手に。

スピードや球際の強さで鹿島の攻守の要となっていた内田は、2010年7月にドイツに渡り、ブンデスリーガのシャルケ04に入団。2011年には、日本人選手初であり同クラブ史上初ともなったチャンピオンズリーグ(CL)ベスト4進出に貢献した。

7年間のシャルケでのプレーを経て、徐々に出場機会が少なくなっていた内田は、2017年8月にドイツ2部のウニオン・ベルリンに移籍。それから半年後の2018年1月、古巣の鹿島に復帰を果たした。

2020年8月20日、鹿島の公式サイトで内田の32歳での引退が発表され、8月23日に行われたガンバ大阪戦が最後の試合となっている。

Jリーグ2020で引退の海外経験のある日本人選手6選。内田篤人から、あの“120円Jリーガー”まで…

田坂祐介(元ジェフユナイテッド千葉

海外所属クラブ:VfLボーフム(ドイツ)

ジェフユナイテッド千葉を最後に引退となったMF田坂祐介も、内田のようにドイツに渡っている。田坂は2007年青山学院大学在学中に特別指定選手として川崎フロンターレに入団し、2012年まで同クラブに所属した。

高度なテクニックや攻守のバランスなどを得意としていた田坂。

ドイツ2部のVfLボーフムから声がかかり、2012年7月に同クラブに入団する。海外初となった2012/13シーズンに活躍を見せると、2013/14シーズンからはエースナンバー10番を背負うまでになった。

VfLボーフム時代(2012-2015)には87試合に出場(リーグ戦、DFBポカール合計)9ゴール11アシストを記録。川崎に戻って数年を経た後、プロ選手最後となった2019および2020シーズンは千葉でプレーした。引退の時は35歳であった。

Jリーグ2020で引退の海外経験のある日本人選手6選。内田篤人から、あの“120円Jリーガー”まで…

大黒将志(元栃木SC)

海外所属クラブ:グルノーブル(フランス)、トリノ(イタリア)

ガンバ大阪(1999-2005)東京ヴェルディ(2008-2010)横浜F・マリノス(2011-2013)京都サンガ(2014-2018)など、多くのJクラブで大量の得点を挙げてきた元日本代表FW大黒将志は、海外2カ国でのプレー経験がある。

まずは2006年1月、リーグ・ドゥ(フランス2部)のグルノーブル・フット38に入団。初の海外サッカー経験にもかかわらず、同クラブで過ごした約8ヶ月では19試合に出場、6得点を挙げる好成績を残した。

複数のクラブからの注目を集めていた大黒は、さらなる高みを目指して夢であったセリエAに挑戦することを決意し、2006年8月にトリノに移籍した。しかしながら、トリノでは出場機会がほぼ与えられず無得点という結果で、消化不良のままJリーグ(東京ヴェルディ)に復帰することとなる。

2021年1月22日に引退会見を行った40歳の大黒が最後にプレーしたクラブは、J2リーグの栃木SCであった。2021シーズンからは、ガンバ大阪アカデミーのストライカーコーチを務めることが発表されている。

Jリーグ2020で引退の海外経験のある日本人選手6選。内田篤人から、あの“120円Jリーガー”まで…

池元友樹(元ギラヴァンツ北九州)

海外所属クラブ:リーベル・プレート(アルゼンチン)

2020年12月14日に35歳で引退した「ミスター・ギラヴァンツ」ことFW池元友樹も海外でのプレー経験があるが、上述の選手たちと少し異なりそれはJリーグで活躍する前のこととなる。

池元は高校卒業後の2003年にアルゼンチンのリーベル・プレート下部組織に入団。

4軍(アマチュア)まで昇格し、U-19日本代表にも選ばれた。2005年に帰国すると、当時九州リーグに所属していたギラヴァンツ北九州(当時ニューウェーブ北九州)と契約を結んだ。

池元は北九州にキャリアで3度に渡って在籍(2005-2006、2010-2014、2016-2020)300以上の試合に出場し多くの得点を挙げた。

北九州、リーベル・プレート以外には、FC岐阜柏レイソル横浜FC松本山雅FCでもプレーしている。

Jリーグ2020で引退の海外経験のある日本人選手6選。内田篤人から、あの“120円Jリーガー”まで…

原田祐輔(元FC岐阜)

海外所属クラブ:SCブリュール、ボナーSC(ドイツ)

池元と似たような流れのキャリアを持つ引退選手をこのあと続けて2人紹介しよう。1人は2018年から2020年にかけてFC岐阜に所属したGK原田祐輔だ。

原田は三菱養和SCユースで育ち、流通経済大学卒業後の2014年にドイツ5部に所属していたSCブリュールに入団した。また、2015年夏からは同リーグのボナーSCへ移籍し、4部への昇格を果たしている。

その後原田は2018シーズンにJ2リーグのFC岐阜(現在J3)に入団するも、引退の2020年12月25日までの間、一度も公式戦でプレーする喜びを味わうことはなかった。引退時は、まだ29歳であった。

Jリーグ2020で引退の海外経験のある日本人選手6選。内田篤人から、あの“120円Jリーガー”まで…

安彦考真(元Y.S.C.C.横浜)

海外所属クラブ:グレミオ・マリンガ(ブラジル)

海外経験が先立ったもう1人の引退選手は、異例の契約で2019シーズンからJ3リーグY.S.C.C.横浜でプレーしたFW安彦考真である。

安彦は将来性のある少年だったが、強豪の麻布台淵野辺高校のセレクションに合格するも、成績不良で別の高校に通った。その後もプロの夢を諦められず、新聞配達のアルバイトでお金を貯め、ブラジルに渡る。

そこではグレミオ・マリンガというクラブと契約を結ぶが、運は味方しなかった。リーグ戦開幕直前に前十字靱帯を断裂して帰国を余儀なくされた。

帰国後に一旦引退した安彦は、しばらくの間クラブのコーチや通訳として活躍。その後、2018年1月に水戸ホーリーホックの練習に参加し、3月に40歳でプロJリーガー契約を結ぶに至っているが、なんと月額1円で10ヶ月という条件であった。翌2019年、ほぼ同じ条件でY.S.C.C.横浜へ完全移籍をし「年俸120円Jリーガー」と呼ばれるようになった。

2020年12月20日に行われたJ3リーグ2020最終節は、42歳の安彦のJリーグ初先発試合となり、同時に引退試合ともなった。

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