世界共有の言語と言われている音楽は、もちろんプロレベルで活躍しているサッカー選手達にも愛されている。試合前の緊張感を落ち着かせる音楽などは選手達にとっても重要な役割を果たし、お気に入りの曲などが注目されてきた。
さらに音楽を聴くだけに留まらず、サッカー選手の中にも、作曲をしたり、ミュージシャンとしての道を本格的に歩んだりする者がいる。
ここでは、歌手デビューしているサッカー選手8人を紹介しよう。イタリアで大活躍中の若手現役選手や、Jリーグでも活躍した有名選手も含まれている。彼らのミュージシャンとしての成功はいかに…。

ラファエル・レオン
2019年8月にリール・メトロポールからミランへの移籍を果たし、2020年12月20日にセリエA史上最速ゴール(試合開始から6.2秒)を挙げた21歳のポルトガル人FWラファエル・レオンは、昨今ラッパーとしてのキャリアもスタートさせた。
ミランに移籍後、複数のヒップホップバンドと組んで経験を積んだレオンは、2021年1月30日に「Way45」というアーティスト名でポルトガル語と英語の7曲が含まれた自身初のアルバム「Beginning」をリリースしている。
幼少の頃からラップに情熱を燃やしてきたというレオン。「ラップをするのが大好きだ。自分の人生、またはここ(プロサッカーの世界)にたどり着くためのハードな生活を歌に込めている。今は趣味の域だが、引退後は歌手のキャリアに力を入れるつもりだ」とコメントしている。

ケヴィン=プリンス・ボアテング
かつてヘルタ・ベルリン(2004-2007)やミラン(2010-2013、2016)などでプレーし、現在セリエBのモンツァに所属している元ガーナ代表MFケヴィン=プリンス・ボアテングも、ラップの世界に足を踏み入れている。
2018年に「King」という曲をリリースし、ラップ界でのデビューを果たした。2019年7月フィオレンティーナへの移籍前には「Ty Elliot」という人気アーティストと組み、2曲目となる「Bella Vita(最高の人生)」を発表している。
この「Bella Vita」はイタリア国内で2019年夏のヒット曲となり、ボアテングの今後の音楽での活躍を楽しみにしている者はたくさんいるようだ。

ヨハン・クライフ
かつてアヤックス(1964-1973)とバルセロナ(1973-1978)でレジェンドとなり、バロンドール賞を3度も受賞した(1971、1973、1974)元オランダ代表FWヨハン・クライフ(2016年68歳没)は、歌手デビューしたサッカー選手の先駆けである。
1969年にクライフは、オランダ語ロックンロールの父として知られるペーター・クールワインと一緒に「Oei Oei Oei (おっとおっとおっと)」という3分ほどの曲をリリースしている。
この曲は当時オランダ国内ではあまり人気を集めなかったようだが、クライフがバルセロナで活躍中の1974年に、スペイン語にも翻訳されて発売された。

パブロ・オスバルド
かつてエスパニョール(2010-2011)やローマ(2011-2013)でプレーした元イタリア代表FWパブロ・オスバルドには、サッカーとロックンロールの血が流れている。
多くのクラブを困らせてきた問題児オスバルドだったが、2016年には当時セリエAだったキエーボ・ベローナからのオファーを断り、サッカー選手引退を発表。音楽の世界に入り込んだ。
オズバルドはメンバーを集め「Barrio Viejo(旧市街)」というロックバンドを作ると、3年ほどスペインの小さなコンサート会場やパブなどでボーカルとして活躍したようだ。
その後、2020年1月に地元アルゼンチンのバンフィエルドで約3年半ぶりの現役復帰をしたものの、出場したのは2試合のみ。35歳となった現在は無所属である。

ジブリル・シセ
2004/2005シーズンにリバプールでチャンピオンズリーグ(CL)を優勝を果たし、オリンピック・マルセイユ(2006-2008)やラツィオ(2011-2012)など多くのチームでプレーをしてきた元フランス代表FWジブリル・シセ。
14歳の時からディスコ・ミュージックに興味を持ち、2015年にサッカー選手を引退した後は、歌手デビューではないが世界中の多くのイベントでDJとして活躍しているようだ。
シセが音楽界に入ったのは周囲のプッシュがあったからだという。「サッカーを引退した時フルタイムで音楽をやらないかと声をかけられ、いいアイディアだと思って活動しはじめた」とコメントしている。

アレクシー・ララス
覚えているサポーターはいるだろうか。1994年から1996年にかけてセリエAのパドバでプレーし、セリエA初の米国籍選手となったDFアレクシー・ララス。引退後はアメリカサッカー殿堂入りするなどした。
ララスは現役時代から「ジプシーズ」や「ネクター・ドロップ」という名前のロックバンドを結成し、ギタリスト兼ボーカリストとして活躍。自身ではサッカー選手よりもミュージシャンを自認していたようである。
「ジプシーズ」のメンバーとしては3枚のCDをリリース。ワールドカップの代表にも選ばれた1998年には、音楽でヨーロッパツアーを敢行するなどし、各地でライブを行っていた。

セルヒオ・ラモス
2005年からレアル・マドリードのゴールを守り続けるも、今夏の契約満了に伴い行き先が噂されているスペイン代表DFセルヒオ・ラモス。彼は2018年に「SR4」というアーティスト名でラップ曲をリリースしている。
この曲では、プロサッカー選手としての初給料をおばあちゃんに渡したことや、2014年にCL優勝したことなど、ラモスのサッカー人生を巡っての多くの出来事が語られている。
リリース時には、自身の公式インスタグラムで「僕の家、友人たち、溢れる魔法によってこの曲が生まれた。伝えたいことはまだたくさんある。ここまで道を共に歩んでくれたみなさんに感謝」と紹介した。

ルーカス・ポドルスキ
最後に紹介するのは、かつてバイエルン・ミュンヘン(2006-2009)やアーセナル(2012-2015)などでプレーし、2017年から2019年にかけてヴィッセル神戸で活躍した元ドイツ代表FWルーカス・ポドルスキだ。
ポドルスキは来日前の2016年、ドイツのバンド「キャット・バルー」と共に「Liebe deine Stadt(愛する君の町)」という曲をリリース。この曲は発売初日にiTunesダウンロード数1位を記録するなど、ドイツ国内で大ヒットした。
これについてポドルスキは「この数日に起きたことは信じられない。僕らの曲をサポートしてくれてありがとう。こんなにヒットするなんて予想してなかったよ」と驚きと感謝を交えてコメントしている。