サッカーは巨額のお金を動かすスポーツの1つ。有名なサッカー選手をCM(コマーシャル)に起用し、大きな宣伝効果を狙う企業も多い。
よく目にするのは、サッカーシーンが含まれているかっこよくてインパクトのあるCMだが、中にはクスッと笑えるコミカルでお茶目な演出のCMも。
ここでは、著名なサッカー選手が出演する世界のおもしろCM9選を紹介しよう。(動画が表示されない場合はこちら)

コミカルに踊るカルロス・テベス
まずは世界最大級のアニメ専門チャンネル『カートゥーン ネットワーク』が2006年に放送したCMから。出演するのは当時コリンチャンス・パウリスタの選手だった元アルゼンチン代表FWカルロス・テベス(現ボカ・ジュニアーズ)である。
幼少期に負った大火傷の傷を「生きてきた証」として残し、少々強面な印象のあるテベス。このCMでは軽快にラテンダンスを踊り、その姿がとても可愛く写る。
このCMは、北米と南米の12カ国の子供たちが参加するバーチャルサッカートーナメント『CopaToon』(『カートゥーン ネットワーク』主催)をPRするために制作された。
ポテチで争うポール・ガスコインとゲーリー・リネカー
イングランド代表のレジェンドMFポール・ガスコイン(2004年引退)と、名古屋グランパスで現役を締め括ったFWゲーリー・リネカー(1994年引退)の共演も見ものだ。1996年、若かりし2人はイギリス製菓『Walkers』ポテトチップスのCMで、スタジアムで試合観戦するサポーターとして登場する。
美味しそうにポテチを食べるリネカー。後ろからそのポテチをくすねようとするガスコイン。ポテチの袋に手を入れることに成功するガスコインだが、リネカーに手を潰され大泣きする。
すると最後に「No more mister Nice Guy(もう優しい人ではない)」という言葉が。素直で誠実なことで多くのサポータに愛されてきたリネカーが、ガスコインに1つのポテチも譲りたくない。
モデル気取りのジミー・ブラード
引退したイギリス人サッカー選手のおもしろCMをもう1つ紹介しよう。かつてピーターバラやウィガンなどに所属したMFジミー・ブラード(2012年引退)が主人公である。
1987年から続く老舗のリンスインシャンプー『Wash&GO』の2010年のCMだ。ブラードはカツラを被って女性の真似をしながら、シャンプーとリンスを別々に使う過去の時代をコミカルに演じ、2010年「僕は違う」とモデル然に登場する。
シリアスな顔をした中年のおじさん2人が、水をかけられる演出や、ブラードに見惚れたりするシーンも笑いのツボにはまる。

香川と日本語で登場するマンU選手
2013年に日本で全国放映された『カゴメトマトジュース』のCMには、日本代表MF香川真司と共に、当時マンチェスター・ユナイテッドでチームメートだった3選手が登場した。元オランダ代表FWロビン・ファン・ペルシ、元ウェールズ代表FWライアン・ギグス、元イングランド代表MFマイケル・キャリック(3選手共に引退)である。
外国人3選手がそれぞれ日本語で言うセリフ「おいしい!」「頑張る!」「アガルぅ~!」の辿々しい発音に笑ってしまうが、シンプルでインパクトのあるCMになった。
ちなみにこのCMは、イギリスのタブロイド誌『デイリー・メール』などにも取り上げられたことで海外でもヒットしている。
サラリーマンに扮するルイス・スアレス
ウルグアイの金融ネットワーク企業『Abitab』は、2013年に現アトレティコ・マドリード所属のウルグアイ代表FWルイス・スアレス(当時リバプール)が登場するCMを制作し、話題になった。
『Abitab』が実際のスアレスを雇用した設定で、社員として登場するスアレス。同僚らがスアレスのことを語るのだが、優秀な社員とは言えないようだ。紙くずを投げつけてイタズラしたり、タイピングの速さを競って隣の社員のキーボードを落として邪魔したり、肩を触られた途端「シミュレーション」し転んだりするなど、破茶滅茶なスアレスのシーンが次々に登場する。
このCMは年間ベストCM賞『Campana de Oro』を受賞するほどウルグアイ国民を楽しませた上、YouTubeを通じて世界中にも広まった。
顔を舐められまくるジョン・バーンズ
イングランド代表のレジェンドMFジョン・バーンズ(1999年引退)が出演したイギリスのフードデリバリーサービス『Just Eat』のCMもとても面白い。
『Just Eat』は、2018年に行われたFIFAワールドカップを記念して『Lick the face of a football legend(サッカーレジェンドの顔を舐めて)』というキャンペーンを実施。注文すると、ワールドカップで活躍した歴代選手の顔が印刷されたプレート(皿)がもらえたようだ。
このCMに登場する人たちは、プレートではなく、全く顔色を変えないバーンズ本人の頬と頭を舐め続けるのだった。

カップケーキを作る可愛いフェルナンド・トーレス
2013年にチェルシーのメインスポンサーだった韓国電子製品メーカー『Samsung(サムスン)』は、当時同クラブに所属していた元スペイン代表FWフェルナンド・トーレス(サガン鳥栖時代を最後に2019年引退)を主役にしたCMを放送した。
始まりはリフティングをメインにした真面目なCMに見えるが、途中で面白い展開になる。トーレスにできるのはサッカーだけではない。サムスンの商品を使えば、カップケーキも作ることができる。
卵を取り出しカップケーキを生地から作り、果物を刻みクリームをのせて「パーフェクト」。特に焼き上がりを待つトーレスの姿がとても可愛い。
キーパーグローブで弾き語るピーター・シュマイケル
かつてマンチェスター・ユナイテッドのゴールを守り(1991-1999)同クラブをプレミアリーグ優勝(1992/93、1993/94、1995/96、1996/97、1998/99)やチャンピオンズリーグ優勝(1998/99)に導いた、元デンマーク代表GKピーター・シュマイケル(2003年引退)。1998年に母国のベーコンブランド『Danepak』のCMに登場している。
アコーディオン、コントラバス、タンバリン、マラカス、ギター。キーパーグローブをしたままに、様々な楽器を弾きながら歌うシュマイケルの姿はなんとも味がある。
唐突で不自然にも感じられるかもしれないが、実はシュマイケルは音楽と縁があった。父親のアントニー・シュマイケルが、ポーランド出身のジャズミュージシャンとして活躍していたようだ。
下着姿で閉め出されたクリスティアーノ・ロナウド
ユベントス所属のポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドは、世界の数々のCMに出演しているが、2017年に通信会社『アルティスUSA』が作ったこの作品が最高に面白い。
舞台はホテルの廊下。ロナウドは食事のトレーを出そうと一瞬だけ下着のまま部屋から出るが、ドアが閉じてしまい閉め出されてピンチに。ホテル従業員の美女が現れ部屋の鍵を開けてくれるも、ロナウドの下着姿の写真をこっそり撮ってSNSに投稿。すると写真は瞬く間に拡散され、ロナウドは服を着る前にテレビで放送される自分の下着姿を見ることになる。
笑える内容でありながら、ロナウドはいつものクールさを保ち、高級感のあるCMに仕上がっている。