2021シーズン明治安田生命J1リーグのタイトルレースは、昨シーズン同様川崎フロンターレの独走により、よほどのことが起きない限り川崎の連覇というのが大方の予想だ。
対照的に、J2リーグのタイトルレースおよびJ1昇格争いは稀に見る大接戦と化している。
Kyoto Sanga FC are now leaders while V・Varen Nagasaki moved up to 6th!
— J.LEAGUE Official EN (@J_League_En) June 13, 2021
This is how the teams stand after Matchweek 18 of the 2021 MEIJI YASUDA J2 LEAGUE matches played today.
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上記は6月13日現在のJ2リーグの順位表である。興味深いことに、現在首位京都サンガから4位FC琉球まで「勝ち点差1」という大混戦の状況である。まもなくJ2は折り返しに差し掛かるが、この時点で緊迫した接戦を繰り広げる状況はいつぶりのことだろうか。ここではJ2上位4クラブの直近5試合の試合結果を振り返りながら、ここまでの戦いぶりについて述べていきたい。

4位:FC琉球
【直近5試合の戦績】
- 第14節:栃木SC(H)4-2 ◯
- 第15節:モンテディオ山形(H)0-2 ⚫
- 第16節:アルビレックス新潟(A)2-1 ⚫
- 第17節:ブラウブリッツ秋田(A)1-1 △
- 第18節:ギラヴァンツ北九州(H)3-0 ◯
今シーズンのJ2上位戦線に名乗りを挙げたFC琉球。開幕から5連勝と驚異的な立ち上がりを見せ、リーグ戦序盤はアルビレックス新潟と並んで首位争いを繰り広げた。指揮官としての経験値が高い樋口靖洋監督の下、正々堂々たる姿勢でJ2盛り上げている。
しかしここ5試合では今シーズン初の連敗を喫し、J1昇格ラインの座を明け渡す結果になってしまった。中盤戦で再起を目指したいところだが、負傷離脱中のダニー・カルバハルに代わり今シーズン守護神として出場していた田口潤人も負傷離脱することになってしまった。この難局をどのように乗り越えるか樋口監督の手腕に注目が集まる。

3位:アルビレックス新潟
【直近5試合の戦績】
開幕から13試合負けなしとロケットスタートを見せたアルビレックス新潟。第14節の町田ゼルビア戦の敗戦で無敗記録が途絶えたが、第15~17節の上位クラブとの大一番を前にタイミングが悪かった。京都サンガ相手に敗戦、FC琉球にこそ逆転勝利を収めたが、アウェイに乗り込んだヴァンフォーレ甲府には終盤に追いつかれ痛恨のドロー。
それでも首位京都サンガと勝ち点差1に位置しており、昇格の可能性を大いに秘めている。高木善朗、本間至恩、高宇洋など揃えるMF陣を中心に中盤戦のさらなる奮起に期待したい。

2位:ジュビロ磐田
【直近5試合の戦績】
- 第14節:ザスパクサツ群馬(H)1-0 ◯
- 第15節:東京ヴェルディ(A)0-2 ◯
- 第16節:ツエーゲン金沢(H)1-0 ◯
- 第17節:ギラヴァンツ北九州(A)0-2 ◯
- 第18節:ヴァンフォーレ甲府(H)1-0 ◯
今J2で最も勢いのあるクラブはジュビロ磐田だろう。直近5試合ではすべて白星でクリーンシート。4月25日の第10節モンテディオ山形戦での敗戦以降、リーグ戦では8戦負けなしと調子を上げることに成功し第18節終了時点でJ1昇格ラインである2位に浮上した。首位京都サンガとも勝ち点で並び、今の調子が続けばJ1昇格は間違いないだろう。
鈴木雄斗、遠藤保仁、山本康裕、松本昌也から構成される中盤4枚が安定的で攻守にわたって非常に効果的な役割を果たしており、FWルキアンのスペースへの飛び出しも秀逸で相手を脅かす存在と化している。今後ジェフユナイテッド千葉との対戦の後、V・ファーレン長崎、アルビレックス新潟とシーズン前半戦の腕試しを迎える。

1位:京都サンガ
【直近5試合の戦績】
- 第14節:水戸ホーリーホック(H)1-0 ◯
- 第15節:アルビレックス新潟(A)0-1 ◯
- 第16節:ヴァンフォーレ甲府(H) 0-0 △
- 第17節:栃木SC(A)0-0 △
- 第18節:ザスパクサツ群馬(H)2-2 △
アルビレックス新潟とは対照的に序盤のスタートダッシュには成功したとは言えなかった京都サンガだが、試合数を重ねるに連れ徐々にチョウ・キジェ監督の求めるサッカーが浸透し尻上がりに調子を上げた。第15節のアルビレックス新潟との上位対決を制しJ1昇格ラインに足を踏み入れることに成功したが、ここからJ1行きの切符を離さずにいられるかどうか注目だ。
しかし、ここ3試合では3連続ドローと足踏みしている状況で首位独走できるチャンスを逃してしまった。またピーター・ウタカへの依存度も高まってきた印象も否めない。ウタカに頼り、ウタカに溺れた昨シーズンの二の舞にならないことを願いたい。

侮れないダークホースたち
前述した4クラブによるJ1昇格争いの様相を呈してきた今シーズンのJ2だが、他にも注目すべきクラブは2つ存在している。
まずはヴァンフォーレ甲府だろう。直近3試合は、京都サンガ(A)、アルビレックス新潟(H)、ジュビロ磐田(A)との過酷な対戦が続いたが、2分1敗と悪くない成績で乗り越えた。ヤマハスタジアムでの敗戦では開始早々のメンデスの一発退場こそ誤算だったが、数的不利の中でも攻勢に出たチームの姿勢は賞賛に値する。またJ2クラブ2位タイの失点数からも堅守できるサッカーであることからも戦いにくさも備えている。
またV・ファーレン長崎も今勢いがあるクラブだ。昨シーズンは惜しくもJ1昇格レースに敗れ、今シーズンは序盤から低調なパフォーマンスが続くなど難しい状況に立たされていたが、吉田孝行監督から松田浩監督に代わって以降、リーグ戦5勝1分とこれまでの不調が嘘のように調子が上向きに転じている。スカッドを見てもJ1レベルの戦力であるため、上位陣との対決を制することができればJ1昇格の可能性も見えてくる。今最も対戦したくないチームではないだろうか。今後栃木SC、ジュビロ磐田、京都サンガとの戦いが続くので勝ち点を確実に積み上げたい。
これからもJ2の熱い戦いが見逃せない。