日本サッカー協会(JFA)は、6月22日(火)の14時から東京オリンピックに参戦するU-24日本代表メンバー18名の発表を行う。
今回発表されるU-24日本代表のメンバーは、7月12日(月)に開催される「キリンチャレンジカップ2021」U-24ホンジュラス代表戦、17日(土)に開催される同杯U-24スペイン代表戦にも出場する。
東京五輪の男子サッカー競技は、全16カ国で7月22日から8月7日の日程で競われる。4カ国ずつが4グループに分かれてグループステージを戦い、上位2チームが決勝トーナメントに進出。8月7日に行われる決勝までメダルを争うことになる。A組に入った日本は、フランス、メキシコ、南アフリカと対戦する。
ここではU-24日本代表メンバーを予想していきたい。

OA枠確定的にて、問われるポリバレント性
年齢制限がない女子とは違い、男子の五輪サッカー競技には24歳以下の制限がある。3名までは「オーバーエイジ(OA)枠」として24歳以上の選手を登録できる。
今回のU-24日本代表は、すでに大会2カ月前の時点でDF吉田麻也(サンプドリア/イタリア)、酒井宏樹(浦和レッズ)、MF遠藤航(シュツットガルト/ドイツ)の3名をオーバーエイジ枠として招集し、チームに加えて実戦もこなしている。3名ともフル代表のレギュラーにして欧州主要国でも主力を張る実力者なだけに、怪我などのアクシデントがない限りメンバー入りは確実だろう。
オーバーエイジ枠の3名の加入は確実な戦力アップをもたらすものの、それによって24歳以下のメンバーが入る枠はもともと狭き門である18名から15名へと縮小されるため、競争はさらに激化する。そうなると、大会期間中はほぼ中2日での過密日程のため、複数のポジションをこなせるポリバレント(多機能型)な選手が重要になってくる。女子はもともとポリバレントな選手が多かったために選考のポイントとして敢えて挙げる必要はなかったが、男子にはポリバレント性が問われるだろう。

GK:実力主義で行くからこその鈴木
通常はオーバーエイジ枠をGKで使うものだが、現在は明治安田生命J1リーグで主力を張る若手GKが4人もいる。その実力も経験値も折り紙付きである。
特にバスケットボールのNBAプレーヤー・八村塁(ワシントン・ウィザーズ)のような高さもあり、幅もある鈴木を正GKに据えたい。190cm91kgというサイズに、俊敏性と反射神経の鋭さも兼ね備えるワールドクラスのタレントになれる逸材だ。
最年少ながら精神的にも落ち着いている鈴木は、所属する浦和レッズで日本代表経験も豊富な絶対的守護神の西川周作からポジションを奪い、J1リーグデビューから3試合連続無失点を記録するなど、出場6試合で4完封している。相手ペナルティエリアまで届きそうな爆裂キックも魅力だ。今使わないで、いつ使うか?今でしょ?
そして、ハイボールに強くここ1年半ほどで最も伸びているGKとして、谷を選出したい。J1リーグでの経験も、この代表での招集歴も最も豊富な大迫敬介(サンフレッチェ広島)と、常勝軍団鹿島アントラーズでポジションを奪った沖悠哉はもちろん実力者だが、彼等は現在ややパフォーマンスを落としていることと、やや好不調の波が見られるために選外とした。

DF:板倉、中山、旗手にフル回転を期待して超少数精鋭
センターバック吉田と右サイドバック酒井のオーバーエイジ組と、フル代表の主力CB冨安健洋はDFで不動の存在だ。メダルを狙うためにフル代表のレギュラー3名を揃えただけに、ここは動かせない。
そして、フル代表や女子同様に左SBだけがレギュラー不在の状況である。基本的には中山雄太と旗手怜央が務めているが、共に本職ではない。ただ、不動とはいえ、右SBが酒井ひとりの状況も負担が多き過ぎるため、MFやウイングが本職である攻撃的な旗手は、最終的に両SBの控えとして選出されると見る。
そのうえで攻守のバランスを考えて、左SBのレギュラーとしてCBやボランチも兼任できる中山を選ぶ。右SBの控えは旗手と冨安でこなし、CBの控えはボランチの控えでもある板倉滉が担う。
菅原由勢(AZアルクマール/オランダ)や橋岡大樹(シントトロイデンVV/ベルギー)といった右SBはCBもできるが、「できる」と「やったことがある」くらいの差を現時点では感じる。また、中山と板倉がいるためにCB専任の控えは選手枠が偏ってしまうために選外とした。

ボランチ:鉄板コンビの“水際対策”
このチームの強さは絶対的なボランチコンビにある。ドイツ・ブンデスリーガで1対1の競り合い「デュエル」勝利数でリーグナンバーワンとなった遠藤の、危機察知能力と球際の強さが光る。さらに、この“水際対策”が破られた”緊急事態”には吉田と冨安が身を挺して防いでくれる“保障”まで付いている。日本政府も見習って欲しいものだ。彼等にはU-24日本代表だけでなく異なる代表にも入って欲しいくらいだ。
そんな「デュエル王」遠藤に支えられ、「Jリーグナンバーワンの司令塔」田中碧がゲームメイクで違いを作る。田中は守備面でも穴を作ることがない激しい守備や運動量でもチームへ貢献できる。心配なのは大会直前にして川崎フロンターレからドイツ2部のフォルトゥナ・デュッセルドルフへのレンタル移籍が決まりそうで、すでに渡独してチームに早期合流すること。まさかの五輪辞退がなければ良いのだが・・。
ボランチの控えは板倉と中山ができるが、基本的には板倉が、遠藤か田中が欠場する時に入ると見て良いだろう。今季のオランダリーグのフィールド選手でたった2人だけのフルタイム出場を記録した板倉は、所属するフローニンゲンではCBとしてプレーしてきたが、オランダリーグのCBはボランチがちょうど良いくらいに攻撃センスに長けている。ボール奪取が得点直結になるダイナミックな選手だ。

FW2列目:前線に“川崎式”を導入、相手に的を絞らせない
基本布陣の[4-2-3-1]を崩さないこのチームの攻撃陣は、ワントップと2列目の3つ、合計4つのポジションで構成される。今大会は試合中の選手交代枠が5人可能なため、このルールをJリーグで最も有効活用してきた川崎フロンターレ式を導入したい。
具体的にはスーパーサブ枠を設けず、1つのポジションに2人の選手を割り当て、全員が毎試合45分ずつプレータイムをシェアできるようにしたい。川崎がレアンドロ・ダミアンと小林悠、三笘薫と長谷川竜也を併用しているように、ハーフタイムで前線の選手を毎試合2人ずつ交代させるくらいのイメージでとにかく替えまくる。上手くいっていても変えてもいい。相手に的を絞らせないことが戦略だからだ。
J1の監督たちは川崎を相手にしたハーフタイムで対策を打っても、後半開始から2人くらい選手交代をして来た川崎に再び対応できなくなって大量失点を食らうケースが多い。国際試合になればより一層、ハーフタイムの対策が重要になる。それを無効にすることがどれほど大きいか。
そう考えると一芸に秀でたスーパーサブのようなタイプは必要なく、明確な個の武器を持っている選手が対象となる。
メインキャストはその久保と堂安に加え、鹿島でも軸としてプレーし始めてより万能型FWへとプレースタイルの幅を拡げて来た上田綺世の3人。この3人と異なる武器を持つ選手としてスピードスターの前田大然とドリブルでの打開力や決定力では彼等3人よりも高いかもしれない三笘薫、現チームでのパフォーマンスが最も高い相馬勇紀は絶対に欲しい。
残り2枠は久保や堂安と同じ感覚で連携も合う三好康児、「最後の1枠」は馬力のある田川亨介か、スペイン1部のデポルティーボ・アラベスへの移籍が決定的な191cmの大型FW原大智(NKイストラ1961/クロアチア)をサプライズ招集するかになるだろう。

U-24日本代表、東京五輪予想登録メンバー18名
選手名/生年月日(年齢)/身長/体重/所属クラブ(☆はオーバーエイジ枠)
- GK谷晃生/2000.11.22(20歳)/190cm/84kg/湘南ベルマーレ(期限付き)
- GK鈴木彩艶/2002.08.21(18歳)/190cm/91kg/浦和レッズ
- DF吉田麻也/1988.08.24(32歳)/189cm/87kg/サンプドリア(イタリア)☆
- DF冨安健洋/1998.11.05(22歳)/187cm/84kg/ボローニャ(イタリア)
- DF酒井宏樹/1990.04.12(31歳)/183cm/70kg/浦和レッズ☆
- DF旗手怜央/1997.11.21(23歳)/171cm/70kg/川崎フロンターレ
- DF中山雄太/1997.02.16(24歳)/181cm/76kg/PECズヴォレ(オランダ)
- DF板倉滉/1997.01.27(24歳)/186cm/75kg/フローニンゲン(オランダ)
- MF遠藤航/1993.02.09(28歳)/178cm/76kg/シュツットガルト(ドイツ)☆
- MF田中碧/1998.09.10(22歳)/180cm/74kg/川崎フロンターレ
- MF堂安律/1998.06.16(23歳)/172cm/70kg/アルミニア・ビーレフェルト(ドイツ)
- MF久保建英/2001.06.04(20歳)/173cm/67kg/ヘタフェCF(スペイン)
- MF相馬勇紀/1997.02.25(24歳)/166cm/69kg/名古屋グランパス
- MF三好康児/1997.03.26(24歳)/167cm/64kg/ロイヤル・アントワープ(ベルギー)
- MF三笘薫/1997.05.20(24歳)/178cm/71kg/川崎フロンターレ
- FW上田綺世/1998.08.28(22歳)/182cm/76kg/鹿島アントラーズ
- FW前田大然/1997.10.20(23歳)/173cm/67kg/横浜F・マリノス
- FW田川亨介/1999.02.11(22歳)/182cm/80kg/FC東京