2月26日に開幕した2021明治安田生命J1リーグは、シーズンの折り返しを迎えた。予定されている全38試合のうちの20試合が消化され、選手たちには重なった疲れも少しずつ出始める中、これから厳しい暑さも加わる夏期間に突入する。
とにかく体力が必要とされるサッカー選手だが、一般にはある程度以上の体格も重要視される。しかし世界には体格のハンデを物ともせず活躍する一流選手たちが存在し、Jリーガーも例外ではない。身長に着目すれば、Jリーガーの平均身長は約178cmと言われている。現在のJ1の最高身長選手と最小身長選手は、共に北海道コンサドーレ札幌に所属。200cmのGK中野小次郎と、158cmのMFチャナティップで、2人の間にはなんと42cmもの差がある。
ここでは、ハンデとされる低身長にも関わらずJ1リーグで活躍しているサッカー選手6人を紹介しよう。あなたのお気に入りの選手は含まれているだろうか?

吉田豊
クラブ:名古屋グランパス
身長:167cm
2019年にサガン鳥栖から名古屋グランパスへ完全移籍となったDF吉田豊。名古屋で欠かせない存在となり、今シーズンはここまでリーグ戦全試合にフル出場している。左サイドバックで起用されることが多いが、左ウイングバックとしてもプレーすることができる。
相手選手に簡単にクロスを上げさせないなど対人守備を得意とする吉田は、フィジカルも強いことから、大きな選手とマッチアップする時も身長差があることを忘れてしまう。
攻撃ではアジリティ、スピードを武器とし、サイドのドリブル突破からクロスまで持っていくことが多い。桁外れの運動量を兼ね備えており、90分間勝利だけに向かい、チームを全力で支えている。

マルコス・ジュニオール
クラブ:横浜F・マリノス
身長:167cm
ブラジル人FWマルコス・ジュニオールは2019年にカンピオナート・ブラジレイロ・セリエA(ブラジル1部)のフルミネンセを退団し、横浜F・マリノスへ加入。来日1年目に同クラブをJ1リーグ優勝に導いた上、15ゴールで得点王のタイトルを獲得。
トップ下を主戦場とするマルコス・ジュニオールは、守備と攻撃をつなぐ役割を果たす点で重要な選手である。DFやMFから受け取ったボールを前に運ぶなど、マリノスの攻撃を牽引している。
優れたゲームビジョンの持ち主でもあり、それを複数の形で生かしている。まずジュニオール自身が対戦相手の最も嫌がる場所に顔を出し、ワンタッチやツータッチで相手の守備を崩す。そして、スピーディな判断により一瞬で前線にパスを出し、多くのゴールチャンスを作っている。

マテウス
クラブ:名古屋グランパス
身長:167cm
横浜F・マリノスで2019年にマルコス・ジュニオールと共にプレーした経験を持ち、現在吉田豊のチームメイトであるもう一人の低身長選手は、名古屋グランパスでウイングまたはサイドハーフとしてプレーしているブラジル人FWマテウスだ。
抜群のスピードを兼ね備えており、縦に速いドリブルで相手を置き去りにする。ボールを持つと積極的にマッチアップする相手を自陣に押し込むほか、カウンターの局面でも対戦相手に脅威を与える。
マテウスを発見し、日本でサッカーをする機会を初めて与えることになったクラブは大宮アルディージャだった。2014年から2018年にかけて同クラブでJ1とJ2でのプレーを経験し、出場した112試合中に23得点15アシストを記録した。

町田也真人
クラブ:大分トリニータ
身長:166cm
プロとなった2012年から2018年にかけてジェフユナイテッド市原・千葉に所属し、1シーズン松本山雅でプレーした後、2020年に大分トリニータへ移籍したMF町田也真人。千葉在籍時は本職のトップ下のみならずサイドハーフでも出場していたが、直近数シーズンはトップ下で起用され続けている。
町田の武器は足元のテクニック、ポジショニング、そして味方や対戦相手のポジションを瞬時に把握する視野の広さだ。
更なる大きな特徴は、ボールをキープする時間が短いことだ。いつも必要とされている場所に顔を出し、パスをもらうとすぐにチームメイトに正確なパスをし、攻撃のテンポを生み出している。

仲川輝人
クラブ:横浜F・マリノス
身長:161cm
2015年に横浜F・マリノスに加入し、2016年と2017年に町田ゼルビアとアビスパ福岡にレンタル移籍したFW仲川輝人。2021シーズンは開幕当初から横浜FMのスタメンとして出場し活躍していたものの、第9節ベガルタ仙台戦で右ハムストリング肉離れの負傷をし約1ヶ月ピッチに立つことができなかった。
5月21日に行われた第15節柏レイソル戦で復帰するも、以降はスタメン出場が第16節の大分トリニータ戦の1試合にとどまっている。
それでも仲川は横浜FMにとって非常に重要な存在であり、今後は出場時間が増えるだろう。右ウイングでプレーする同選手の武器は速さであり、トップスピードに乗るまでが非常に早い。加速力のある彼のドリブルはなかなか止められない。

チャナティップ・ソングラシン
クラブ:北海道コンサドーレ札幌
身長:158cm
今や北海道民に愛されて止まない小柄なMFチャナティップ・ソングラシンだが、2017年にタイ・リーグ1(タイ1部)から札幌に移籍してきた時は、日本人選手よりもフィジカル面で劣り、J1の舞台では勝負できないと思った人が少なからずいただろう。
しかし158cmのチャナティップは、その努力と素晴らしい成長ぶりで日本人サポーターに驚きをもたらし、現在は札幌の要としてフロントやチームメイトからの信頼を得るまでになった。
同選手の武器は3つある。