サッカー日本代表が出場を目指す、2022FIFAワールドカップカタール(カタールW杯)。最後の関門、10月に予定されていたアジア最終予選の2試合が終了して(サウジアラビア戦0-1、オーストラリア戦2-1)約1週間が経過した。

アジア最終予選A・B各グループのそれぞれ2位までがW杯本大会の出場権を得られ、3位はプレーオフ進出となるなか、Bグループを戦う日本は10試合中4試合を終えて現在4位。依然厳しい状況は続くものの、気迫溢れる戦いを見せてくれたオーストラリア戦(10月12日)の記憶がまだまだ鮮明な方も多いのではないだろうか。

一方、先週末(10月16、17日)から、日本代表の活動期間は中断していた明治安田生命J1リーグが再開。J2リーグ、J3リーグを含め、いよいよ2021シーズンの佳境を迎えている。

スタジアムに行ったことがない方はぜひ一度、現地に試合を観に行ってみてほしい。現在、47都道府県のうち40都道府県にJリーグのクラブが存在しており、残りの7県にもJリーグを目指すクラブが存在している。あなたの身近に必ずクラブがあるのだ。「日本代表みたいに知っている選手がいないから」と考える方もいるだろうが、本当にそうだろうか。その日本代表でいえば、サウジアラビア戦、オーストラリア戦のメンバー22人のうち4人はJ1でプレーしている選手だった。

日本サッカー古今東西:日本代表戦後こそのJリーグ観戦のススメ

Jリーグでプレーする日本代表選手

サウジアラビア戦、オーストラリア戦の代表戦2試合で共に守護神としてゴールを守ったGKの権田修一(32)。彼が所属しているのは、静岡県静岡市にホームタウンを置く清水エスパルスである。現在、チームは20チーム中15位とJ1残留争いに巻き込まれているが、権田は非常に安定したパフォーマンスを見せている。

同じく最終予選の2試合に出場。

右SBとして堅実なプレーをみせた酒井宏樹(31)が所属するのは、埼玉県さいたま市にホームタウンを置く浦和レッズ。現在好調なチームは5位に付けており、酒井は圧巻の働きで右サイドを支配している。また、本拠地の埼玉スタジアム2002はオーストラリア戦でも使用された、日本屈指のサッカー専用スタジアムだ。

酒井と共にSBを担い、オーストラリア戦では積極的な上下動を繰り返した左SBの長友佑都(35)が所属するのがその名の通り東京都にホームタウンを置くFC東京。現在20チーム中9位とまずまずの位置につけており、この夏に加入したばかりの長友も左SBの定位置を確保している。

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代表戦2試合共に最前線で身体を張り続け、ゴールこそなかったものの何度も好機に絡んだ大迫勇也(31)が所属するのが兵庫県神戸市にホームタウンを置くヴィッセル神戸。残念ながら大迫はオーストラリア戦で負傷してしまったが、それでも元日本代表の武藤嘉紀と元スペイン代表のボージャン・クルキッチが2トップを形成しており、またトップ下には元スペイン代表のアンドレス・イニエスタ(37)が君臨。その他にも元日本代表の酒井高徳(30)、元バルセロナのセルジ・サンペール(26)らが所属している。チームも20チーム中3位と、3位以内のクラブが得られるACL(AFCアジアチャンピオンズリーグ)出場権獲得の現実味が増している。

10月の2試合において出場機会はなかったものの、東京オリンピックのサッカー日本代表において正GKを務めた谷晃生(20)が所属するのは神奈川県の平塚市ら9市11町をホームタウンとする湘南ベルマーレ。20チーム中17位と残留争い真っ只中だが、谷は最後の砦として好セーブを連発している。

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Jリーグでプレーする現役代表選手たち

また、先の日本対オーストラリアでオーストラリア代表としてプレーした選手をJリーグで観ることもできる。

日本戦でスタメンに名を連ね、61分までFWとしてプレーしたアダム・タガート(28)は、現在J1で12位の大阪府大阪市と堺市にホームタウンを置くセレッソ大阪所属だ。

またセレッソには、負傷により招集メンバーからは外れてしまったものの日本と同じくグループBを戦うベトナム代表のGKダン・バン・ラム(28)、元日本代表でこの夏10年ぶりにセレッソへ復帰したばかりの乾貴士(33)、元日本代表の清武弘嗣(31)らも所属している。

日本戦でそのタガートと交代し61分から出場したミッチェル・デューク(30)は、J2のファジアーノ岡山所属。岡山県の岡山市、倉敷市、津山市を中心に県内全域をホームタウンとするファジアーノは現在、22チーム中の11位。昇格争いには絡めていないが、J2残留はほぼ間違いない位置だ。

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また、グループAで最終予選を戦う韓国代表においても、Jリーグでプレーする2人の選手が主力を担っている。GKのキム・スンギュ(31)は、千葉県柏市にホームタウンを置くJ1柏レイソルの絶対的な守護神。チームは現在13位とやや苦しんでいるが、残留争いからは一歩抜け出した印象だ。

レイソルのすぐ下、J1で14位に位置するのは大阪府の吹田市、茨木市、高槻市ら7市をホームタウンとするガンバ大阪。同クラブに所属するのはDFのキム・ヨングォン(31)。シーズン序盤は負傷による欠場が続いたが、復帰後レギュラーに返り咲いている。

これ以外にも、最終的にW杯予選を戦うメンバーからは外れたものの、カメルーン代表合宿に呼ばれたジョン・マリ(28)が所属するのが、福岡県福岡市をホームタウンとするJ1で現在8位のアビスパ福岡。タイ代表の英雄とも呼ばれるチャナティップ・ソングラシン(28)が所属する、北海道札幌市をホームタウンとする、現在J1で11位の北海道コンサドーレ札幌

同じくタイ代表の、ティーラトン・ブンマタン(31)が所属する横浜F・マリノス。神奈川県の横浜市、横須賀市、大和市をホームタウンとしているクラブは現在J1で2位と、優勝争いに絡んでいる。

各国の代表選手を観られるというところは分かりやすいJリーグの魅力ではないだろうか。

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終盤戦だからこその、おいしいとこ取り

「自分が住んでいる都道府県のチームには知っている選手がいない」という方も大丈夫だ。まずはこれまでに挙げたチームと対戦する時に観戦に行ってみるという手が1つ。

また、J1・J2・J3共に、現在シーズンは終盤戦。この時期だからこその「おいしいとこ取り」もアリだ。優勝争い、昇格争い、残留争い、とそれぞれの目標に向かって目の色を変えて戦っている時期であり、非常に熱い試合が観られる可能性が高い。悲喜こもごもの物語の、エンディングだけを観ることだって可能なのである。

それぞれに特色があるスタジアムグルメ、それぞれのクラブに居る個性的な選手、カテゴリーやクラブによって異なるスタジアムの雰囲気。他にもJリーグにはサポーターの数だけ楽しみ方が存在する。

10月22日(金)の浦和レッズ対柏レイソル(19:00~埼玉スタジアム)を皮切りに、今週末もJ1からJ3までの試合が全国各地で開催される。

2021シーズンの物語を垣間見つつ、あなただけの楽しみ方を探しにスタジアムを訪れてみてはいかがだろうか。

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