2021シーズン、明治安田生命J1リーグの得点王に輝いたのは、23得点を挙げたレアンドロ・ダミアン(川崎フロンターレ)と前田大然(当時横浜F・マリノス)だった。史上2番目の若さでJ1得点王になった前田は、その後2021年12月31日スコットランドの強豪セルティックへ移籍を果たしている。
2月18日に開幕を迎える今2022シーズンには、どの選手が得点を量産することになるのだろうか。ここではJ1得点王を獲得する可能性十分な選手7名を個別に紹介。さらに伏兵となり得る選手達についても紹介する。

レアンドロ・ダミアン(川崎フロンターレ)
得点王の大本命はもちろん、この選手レアンドロ・ダミアンだ。2021年の最優秀選手賞(MVP)および得点王であることはもちろん、その他にも特筆すべきことが多い。
まず、さほどプレー時間が長くない。2021年の全38試合のうち、スタメン出場は28試合。途中出場した試合を含めてもプレー時間は2293分に留まり、これは同じく得点王を受賞した前田大然よりも500分以上短い。また、アシストが多いことも挙げられる。昨年は8アシストを記録しており、自らが決めるだけでなくチームメイトのお膳立てをすることが可能。守備での貢献度も高く、戦術上のキーマンとなっている。
つまりアクシデントによる欠場を抑えられることさえできれば、得点・アシスト・それ以外においても、チームの勝利に貢献してくれる可能性が非常に高い選手だと言える。得点への意識が非常に高い川崎のチームを、この元セレソン(ブラジル代表)が最前線から引っ張ってくれることだろう。

上田綺世(鹿島アントラーズ)
レアンドロ・ダミアンの最大の対抗馬となりそうなのが鹿島アントラーズの上田綺世だ。2021年は得点ランキング4位の14点を記録しており、プロになって以降毎年数字を伸ばしている。
2021年は19試合にスタメン出場し、途中出場を合わせても出場したのは29試合。プレー時間はレアンドロ・ダミアンよりもさらに500分以上短い。これは負傷が多かったためだが、怪我なく年間を通してプレーできれば得点数が大きく伸びる可能性を秘めているということになる。
リーグ随一の動き出しやシュート技術を持っており、事前合宿に呼ばれるなど日本代表定着も見えてきた。J1得点王に輝き、飛躍の1年にすることはできるだろうか。

鈴木優磨(鹿島アントラーズ)
紆余曲折あったが、2022年1月古巣である鹿島アントラーズに復帰となった鈴木優磨。実力は確かで、2020/21シーズンのベルギー1部リーグでは17得点を挙げ得点ランキング4位タイに入っている。しかしそこからステップアップを果たすことはできず、このタイミングで日本へ復帰となった。
中山雅史や岡崎慎司といった「闘うFW」のDNAを受け継ぐ選手であり、時としてマイナスに働くこともあるが、それが大きな魅力にもなっている。
今年の新体制発表会では鹿島のタイトル獲得を明言。それを有言実行し、自らも得点を積み重ねることはできるか。上田綺世と持ちつ持たれつの関係性を築くことができれば、お互いの得点数増加に繋がるだろう。

キャスパー・ユンカー(浦和レッズ)
2021年の開幕後に浦和レッズへの加入が発表された元デンマーク代表キャスパー・ユンカーは、瞬く間にトピックスの1つとなった。巧みなボールタッチとスピード、さらにゴール前での冷静さを兼備し、リーグ戦デビューから4試合連続でゴールを決めたのだ。
その後怪我を負ってしまい二桁得点とはならなかったが、それでも同シーズン21試合の出場で9得点を記録した。
今年はキャンプから参加する初のシーズンとなり、昨年以上に得点を重ねられる公算は大きい。二桁得点、そして得点王へと昇り詰めることができれば、浦和の成績にも直結するはずだ。

ディエゴ・オリベイラ(FC東京)
Jリーグで7年目のシーズンを迎えるFC東京所属のディエゴ・オリベイラ。なんといっても安定感が最大の魅力だろう。毎年コンスタントに出場を重ね、ゴール数もほぼ出場時間に比例したものになっている。2021年は得点ランキング5位の13点を記録。
武器は強靭なフィジカルとスピード、そしてシュートテクニック。加えて守備でも貢献できる、貴重な選手である。
6年間で4度の二桁得点と安定した活躍をみせている一方で、得点王のタイトルとは無縁。FC東京の補強が上手くいったこともあり今季はチャンスの年だが、果たして。

チアゴ・サンタナ(清水エスパルス)
大型補強を敢行しながら成績が振るわなかった2021シーズンの清水エスパルス(結果14位)において、チアゴ・サンタナの存在は非常に大きなものだった。
37試合にスタメン出場し13得点。
清水が中盤を中心に戦力アップをすることができた今季、チアゴ・サンタナの前にはより多くのチャンスが舞い込んできそうだ。

レオ・セアラ(横浜F・マリノス)
冒頭に書いたように、2021シーズンJ1得点王を受賞した前田大然を手放した横浜F・マリノス。ベガルタ仙台から西村拓真を獲得するなどしたが、前田の穴を得点数という意味で埋めてくれそうなのはレオ・セアラだ。
横浜FMで2シーズン目を迎えるレオ・セアラは、2021年は前田の半分ほどの出場時間で10得点。特に8月は7試合で6得点3アシストと大活躍しJ1月間MVPに選出された。爆発的なシュートを最大の強みとし、周りを使うことも上手い。
純粋なストライカーというタイプではないかもしれないが、周りを使うからこそのリターンが来る可能性もある。そして何より、横浜FMが攻撃的なサッカーをしているため最前線に立つFWにはチャンスが多く訪れるに違いない。

その他期待したい選手達
いきなりJ1得点王に輝くのは簡単ではないが、2021年のJ2リーグで猛威を振るった2名に期待したい。ルキアン(アビスパ福岡)とピーター・ウタカ(京都サンガ)だ。ルキアンは2021年のJ2得点王。
J1で2年目のシーズンを迎える加藤陸次樹(セレッソ大阪)にも要注目である。動き出しが巧みで、2021年はワンタッチでのゴールを中心に7得点を決めた。周囲との連携で輝くタイプであり、今年は更なる活躍が見られるのではないだろうか。
環境を変えたドウグラス(柏レイソル)の活躍にも期待がかかる。サンフレッチェ広島時代の2015年にJ1得点ランキング2位になった実力者だ。合計6年半活躍したクリスティアーノ(V・ファーレン長崎)が離れた柏レイソルで、スタメン出場を重ねられる可能性は高い。
2021年サガン鳥栖で活躍し、大きなブレイクを果たしそうな酒井宣福(名古屋グランパス)は応援したくなる。元々FWだったにも関わらず他のポジションでの起用が続き、2020シーズン後にJ2大宮アルディージャを契約満了に。その後サガン鳥栖がFWで起用すると、中心選手として8得点を挙げた。
例年に比べFWの移籍が少ない移籍市場だが、得点王に輝くのはどの選手になるのだろうか。