明治安田生命J1リーグ、2022シーズンの開幕が間近に迫っている。
ここでは全18クラブの順位予想とプレビューを紹介しよう。
J1リーグ、2022シーズン順位予想
1位:浦和レッズ
2位:川崎フロンターレ
3位:FC東京
4位:名古屋グランパス
5位:横浜F・マリノス
6位:ガンバ大阪
7位:鹿島アントラーズ
8位:アビスパ福岡
9位:セレッソ大阪
10位:ヴィッセル神戸
11位:湘南ベルマーレ
12位:清水エスパルス
13位:北海道コンサドーレ札幌
14位:サンフレッチェ広島
15位:京都サンガF.C.
16位:柏レイソル
17位:サガン鳥栖
18位:ジュビロ磐田

進化を遂げる浦和、鬼木体制6年目の川崎
2022シーズンのJ1リーグを制すると予想したのは、3年計画の3年目を迎える浦和レッズ。選手の入れ替えが多く完成形まではもう少しかかるだろうが、2年目となるリカルド・ロドリゲス監督のサッカーは昨年の今の時期よりも確実に浸透している。犬飼智也や松尾佑介、馬渡和彰らの獲得で層も厚くなった。そして監督のサッカーを知り尽くした岩尾憲が加わり、ラストピースが加わった印象だ。序盤から快走とはならなくとも「FUJIFILM SUPER CUP(富士フイルムスーパーカップ)」で川崎を破ったチームがJ1リーグのタイトルに最も近いとみる。
2連覇中の川崎フロンターレは次点に置いた。優勝候補であることは間違いないが、各チームが打倒・川崎を狙ってくるうえに、Jリーグ最高のユーティリティプレーヤーだった旗手怜央が移籍。さらに長期政権が難しいと言われるサッカーにおいて成功を続けてきた鬼木達体制も、今年で6年目を迎えている。レアンドロ・ダミアンや谷口彰悟らを擁しチャナティップや瀬古樹と的確な補強を行ったにしても、やや失速し惜しくも優勝を逃すと予想した。
ACLがないFC東京と名古屋
毎年のことだがAFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場組(今年は川崎、浦和、横浜FM、神戸)は過密日程になってしまう。そのため、ACLに出場しないクラブも優勝争いに絡むのではないだろうか。中でも補強が上手くいったFC東京と名古屋グランパスを上位に予想した。
FC東京は、アルビレックス新潟を率いていたアルベルト・プッチ・オルトネダ氏が新監督に就任。
同じく監督交代が行われた名古屋グランパス。マッシモ・フィッカデンティ前監督から長谷川健太監督への交代では志向するサッカーが大幅には変わらず、すんなりとフィットするのではないか。最前線に入る選手が得点を重ねられれば、頂に辿り着く可能性もある。
数年後が楽しみな横浜FMとG大阪
前田大然やチアゴ・マルチンスといったリーグ屈指の実力者がチームを離れた横浜F・マリノスは、エドゥアルドや西村拓真らを獲得したとはいえ昨年より順位を落とすと予想した。とはいえ獲得した中には将来性豊かな選手が多いため、長期的にみれば良い循環なのではないだろうか。
大分トリニータを率いていた片野坂知宏氏が、新監督に就いたガンバ大阪。戦術の浸透にはもう少し時間がかかりそうだが、それでも個の能力と指揮官の確かな手腕によって昨年から順位を上げると予想。こちらも本格的に上位を狙っていくのは来季以降か。

守備が不安な鹿島とC大阪、得点力がもう少し欲しい福岡
予想が難しかったのは鹿島アントラーズ。レネ・ヴァイラー新監督が就任し、さらに鈴木優磨の復帰で攻撃陣は確実にスケールアップしたが、一方で守備陣には不安を抱える。町田浩樹と犬飼智也という昨年のセンターバックコンビが抜け、さらに永戸勝也も移籍した。昨年から若手が成長していることは間違いないが、監督不在となりそうな序盤戦を中心に難しい試合が増えてしまいそうだ。
主力の流出を防げたアビスパ福岡は昨年と同じ順位と予想。守備の固さを維持しつつ、新加入のルキアンや田中達也の活躍によって得点が若干増えるとみる。ただしより上の順位のクラブと比べると、戦力面での差は否めない。ここから先に進むためには、得点を増やす明確な策が必要だ。
サイドの強化を進めたセレッソ大阪は、昨年から多少順位を上げそうだ。獲得した山中亮輔と毎熊晟矢にはともにサイドから相手の脅威となれる質がある。ただ、瀬古歩夢が抜けたセンターバックに一抹の不安。またJ2リーグで活躍しセレッソに加わったという共通点を持つ上門知樹は、昨季の加藤陸次樹を超える活躍をみせてくれるかもしれない。
ACLとの両立が不安な神戸、戦力アップした湘南
昨年3位に入ったヴィッセル神戸は順位を落とすと予想した。プレーオフを勝ち抜くとACL参戦が決まるが、トーマス・フェルマーレンが抜けたこと、主力の平均年齢が高いこと、両立を考えると選手層に不安が残る。昨季並み、昨季以上の成績を残すためにはチーム内の激しい競争が求められる。
昨年最後の最後まで残留争いに巻き込まれた湘南ベルマーレは、今年はもう少し安心できるシーズンとなるのではないか。派手さはないが、瀬川祐輔、米本拓司、永木亮太など実力者の獲得に成功。
出遅れた清水、守備が課題の札幌、監督不在の広島
鹿島と同じく予想が難しかった清水エスパルスは、12位と予想。神谷優太や岸本武流の獲得、髙橋大悟の復帰、情熱溢れる平岡宏章監督体制の継続など単純にみるとポジティブな要素は多い。しかし昨年も戦力を活かしきれておらず、選手の入れ替えが多かったことでチームの完成度を上げるにはまだ時間がかかりそうだ。序盤戦をある程度の位置で乗り切れるかが重要になる。
チャナティップが移籍したものの、小柏剛や金子拓郎といった面々に興梠慎三やガブリエルシャビエル、西大伍らを加えた北海道コンサドーレ札幌の攻撃力は健在だ。ただし課題の失点減への材料は乏しい。柳貴博や岡村大八といった昨年定位置を獲れなかった選手がレギュラー陣を脅かさなければ、安定しての残留が精一杯か。
14位には静かな移籍市場を過ごし、戦力の収支がプラスマイナスゼロに近い印象のサンフレッチェ広島を予想した。2018年以来年々順位を落としている状況下で選手達をあまり刺激できておらず、ミヒャエル・スキッベ新監督の来日がキャンプに参加できなかったことも相まって難しいシーズンとなるかもしれない。

堅守次第な京都、厳しい移籍市場を過ごした柏と鳥栖
2021年のJ2リーグで2位に入った京都サンガ。ヨルディ・バイスの退団はあったがメンデスを獲得するなど手当てが素早く、金子大毅や豊川雄太など楽しみな選手を獲得している。来季をJ1リーグで迎えられるかは持ち前の堅守と、入れ替えが多いなか早く完成度を上げられるか次第になりそうだ。
柏レイソルとサガン鳥栖は移籍市場で最も難しい時を過ごした2クラブだろう。
柏レイソルは攻撃陣を引っ張ったクリスティアーノを筆頭に瀬川祐輔、神谷優太、仲間隼斗などの攻撃陣が移籍。ドウグラスや小屋松知哉を獲得したとはいえ、戦力ダウンと言わざるを得ない。昨季非常に不安定だった守備の整備が進めば残留も見えてくるが。
サガン鳥栖は小屋松知哉、大畑歩夢、樋口雄太、仙頭啓矢、山下敬大ら主力の多くが移籍した。ただこれはクラブの経営状況が非常に厳しく、戦力補強より優先すべきものがあるためやむを得ない。期限付き移籍で獲得した宮代大聖、垣田裕暉、西川潤擁する攻撃陣は十分に通用するだろうし、先日も森谷賢太郎を獲得するなど、できる限りの手は尽くしている。最大のネックはエドゥアルドまでもが移籍した守備面。川井健太新監督のもと、組織力でカバーできるかがカギとなる。
昨年のJ2リーグで優勝したジュビロ磐田はしかし、得点源のルキアンが移籍。黒川淳史や杉本健勇らを獲得したが、明確な戦力アップには至っていない。実力者である新外国籍選手2人も、来日未定の状況が続いている。また伊藤彰新監督が確かな実績を持つにしても、監督交代の影響も考えられる。
2022シーズン良い結果を残すためのカギは
新型コロナウイルスの影響で、日本での経験がない外国籍選手や外国人監督の来日が遅れている。そのため以前の移籍市場とは異なる状況に適応し、日本人選手を中心に十分な戦力を持つ浦和や川崎、Jリーグでの経験がある外国籍選手らを獲得したFC東京や名古屋を上位と予想した。
反対に、新たに外国人監督を迎えた鹿島と広島は順位を落とすとみている。例年通り、いや例年以上に様々な波乱が起きるシーズンとなりそうだ。2022シーズンのJ1リーグが、ついに始まる。