2022年11月21日から12月18日に開催されるFIFAワールドカップ・カタール大会(カタールW杯)を控え、グループリーグの組み合わせも決定した。ここから各大陸の最終予選を突破し出場を決めた国々では、どの選手が出場するのか、限られた代表枠を争う選手間サバイバルへの注目が高まっていく。
一方、自国が予選敗退を喫したことでカタールW杯には出られないことが決定した世界的なスター選手も多い。ここでは、カタールW杯では見られない、欧州のトップリーグで活躍する10選手を紹介していく。

ズラタン・イブラヒモビッチ(スウェーデン)
スウェーデン代表の最年長選手としてW杯欧州予選を戦ったFWズラタン・イブラヒモビッチ。現在40歳にして欧州トップクラブ(ミラン)でキャリアを続け、スウェーデン代表の歴代最多得点選手でもある。ユーロ2016(UEFA欧州選手権)の際に一度は代表引退を表明しており、最後のW杯チャンスと言われるも、残念ながら結果は敗退となった。
スウェーデンは、欧州予選でスペインと同組のグループBで2位。欧州予選プレーオフに回っての初戦ではチェコに延長戦の末に1-0で辛勝するも、続く決勝ポーランド戦にて0-2で敗北。カタールへの道は断たれた。

ジャンルイジ・ドンナルンマ(イタリア)
イタリア代表の若き守護神ジャンルイジ・ドンナルンマ。長くゴールを守ってきたGKジャンルイジ・ブッフォンの後継者として、ユーロ2020(UEFA欧州選手権)では全試合に出場。準決勝、決勝のPK戦ではスーパーセーブも見せ大会最優秀選手に選出されるなど、優勝に大きく貢献した。
欧州王者としてW杯での躍動に期待がかかっていたイタリア。しかし欧州予選では1位通過スイスとの試合で勝ち切ることができず。ブルガリア戦(2021年9月3日)や北アイルランド戦(2021年11月16日)でも、圧倒的に試合を支配するも引き分け、2位でプレーオフへ。
ドンナルンマは23歳とまだまだ若く、GKというポジションは比較的年齢を重ねてなお、代表へ招集される可能性が高い。W杯2026年大会では、さらに成長した姿が見られることだろう。

アーリング・ハーランド(ノルウェー)
ブンデスリーガの名門ボルシア・ドルトムントの若き点取り屋アーリング・ハーランド。欧州予選では、ノルウェー代表の一員として高い得点能力を発揮。オランダ戦(2021年9月2日)の貴重な先制点や、ジブラルタル戦(2021月9月8日)でのハットトリックなどで、存在感を示した。
しかし、予選の終盤には怪我の影響もあってかハーランドの出場がなく、ノルウェーのフランスW杯(1998年)以来となる本大会出場は夢と消えた。
ノルウェーにはハーランド以外にも、アーセナルで活躍を続けるマルティン・ウーデゴールなど、若くして代表の主軸となっている選手も多い。W杯はもちろん欧州選手権などでも、ノルウェーが、そしてハーランドが今後台風の目になる日は近く期待できるだろう。

ハカン・チャルハノール(トルコ)
セリエAのインテルに所属するMFハカン・チャルハノールは、トルコ代表の主軸として今欧州予選でも活躍した。キック精度を武器に、ゲームメイクやプレースキックでチャンスを量産するその能力は、一級品である。
トルコは、欧州予選ではオランダやノルウェーと同じグループGで2位。進んだプレーオフでは、結果的に本大会出場を決めたポルトガルに1-3で敗れ、カタールW杯にはたどり着けなかった。
チャルハノールは現在28歳。今予選に挑んだメンバーは下の世代も多く、チャルハノールを中心とした現戦力を軸に熟練度を増すことで、トルコはかつての輝きを取り戻せるはずだ。

ダビド・アラバ(オーストリア)
2021/22シーズンより、長年所属したバイエルン・ミュンヘンからレアル・マドリードへと活躍の場を移しているDFダビド・アラバ。オーストリア代表では主将を務める。
オーストリアは今欧州予選プレーオフまで進出するも、初戦ウェールズ相手に1-2で敗北し、敗退が決定した。オーストリアはフランスW杯(1998年)以降、本大会出場から遠ざかっている。
個人のキャリアとしては順風満帆と言えるアラバだが、未だW杯出場の機会を得られていない。次回2026年W杯時には33歳となり、残されたチャンスは決して多いとは言えないだろう。少ない機会を生かして、自国を久々のW杯出場に導けるか。さらなる成長に注目だ。

ハメス・ロドリゲス(コロンビア)
ポルト、レアル・マドリード、バイエルン・ミュンヘンと、欧州の名門クラブを渡り歩いたMFハメス・ロドリゲス。現在はW杯開催地であるカタールのアル・ラーヤンに所属。コロンビア代表として、W杯直近2大会での決勝トーナメント進出の立役者でもある。
30歳となって迎えた強敵ひしめく今南米予選は、思うように進められず。ブラジルとアルゼンチンが順当に突破を決める中、コロンビアは大混戦の残り2.5枠の争いに巻き込まれ、惜しくもプレーオフ圏内の5位にも入れず、3大会連続のW杯出場は叶わなかった。
ハメスは2014年のブラジルW杯で得点王とベストイレブンを獲得し、一躍スター選手の仲間入りを果たした。かつての輝きを取り戻すためにも、再びのW杯での活躍が期待されていただけに、残念な結果となってしまった。

アルトゥーロ・ビダル(チリ)
ユベントス、バイエルン・ミュンヘン、バルセロナなど欧州の名だたるクラブでプレーし、現在所属しているインテルも含め、全てでリーグ優勝も経験するなど、屈指のキャリアを持っているMFアルトゥーロ・ビダル。チリ代表の中心選手として今予選でもチームをけん引した。
2015年の南米選手権(コパ・アメリカ2015)と、2016年に開催された南米選手権の100周年記念大会(コパ・アメリカ・センテナリオ)の覇者であるチリ。W杯南米予選では最終節でウルグアイに0-2と敗れて7位、2大会連続での予選敗退となった。
34歳を迎えたビダルにとって、次の2026年大会をは必ずしも充実したコンディションで迎えられるとは限らない。ビダルをはじめ主力選手の多くが30代を超えたチリにとって、今大会に出られないことは相当な痛手と言える。

モハメド・サラー(エジプト)
リバプール所属のエジプト代表FWモハメド・サラー。エジプトは、アフリカネイションズカップでは優勝7回準優勝3回を誇る屈指の強国だが、W杯出場は3回と少ない。サラーは前回2018年のロシアW杯時に、出場枠を争うコンゴ共和国との試合(2017年10月8日)で2ゴールを挙げ、エジプトを7大会ぶりとなる本大会出場へ導いている。
しかし2大会連続の出場が期待されていたエジプトは、アフリカ最終予選でセネガルに敗れて敗退。
一部報道によれば、敗退決定後にサラーは代表引退を示唆する発言もしている。所属クラブでは充実したキャリアを過ごしていることもあり、もしサラーが代表から退くことになれば、エジプトの大きな損失となるだろう。

リヤド・マフレズ(アルジェリア)
マンチェスター・シティに所属するアルジェリア代表FWリヤド・マフレズ。元日本代表の岡崎慎司とレスター・シティ時代の同僚でも知られる。2014年ブラジルW杯での出場経験がある。
「奇跡」と呼ばれたレスターのリーグ優勝の2016年には、イングランド国内でプレーする選手を対象とした最高の賞、PFA年間最優秀選手賞を受賞したマフレズ。2017年にはアフリカ年間最優秀選手賞を受賞するなど、アフリカでも屈指の名選手だ。
今アフリカ予選でも、2次予選で6試合で5得点を挙げ、アルジェリアの最終予選進出に貢献。しかし、最終予選でカメルーンを相手に2戦合計2-2となり、アルジェリアはアウェーゴール差で涙を飲んだ。突破がかかったホーム戦でスタメンフル出場を果たしたマフレズにとっては、極めて悔しい結果となった。
ケレチ・イヘアナチョ(ナイジェリア)
レスター・シティに所属するナイジェリア代表FWケレチ・イヘアナチョ。
4大会連続出場がかかったナイジェリアは、アフリカ最終予選でガーナと対戦。試合結果は1戦目0-0(ガーナホーム)、2戦目1-1(ナイジェリアホーム)と両者譲らず。しかし、アウェーゴール方式によってナイジェリアの敗退が決まった。
2018年ロシアW杯に出場しているが、得点は奪えていないヘイアナチョ。変わらず欧州で活躍を続けている勢いも経験もある25歳として、カタールW杯へ向けての期待も大きかったはずだ。本大会出場を逃したことは、個人のキャリアから見ても残念な結果となった。