プレミアリーグ、チェルシーは7月13日、マンチェスター・シティからイングランド代表FWラヒーム・スターリングの獲得を発表した。

チェルシーでは5月末、ロシア・ウクライナ情勢を背景にロシア人オーナーのロマン・アブラモヴィッチ氏からトッド・ベーリー氏に経営権が移行。

新体制で実現した今夏の目玉補強と言える。他にもセネガル代表DFカリドゥ・クリバリのナポリからの獲得も実現させ、新2022/23シーズンに向けた準備が完了したようにも伺える。

リバプール(2012-2015)マンチェスター・シティ(2015-2022)と渡り歩いてきたスターリングは、イングランド屈指のスタープレーヤーであり、特にシティのジョゼップ・グアルディオラ監督の手により能力を引き出された結果、これまで幾多のゴールを量産してきた。ここではスターリングがチェルシーという新たなクラブで活かされるための、3つの起用法をご紹介したい。

ラヒーム・スターリング、新加入チェルシーでの3つの起用法とは

真骨頂「ウイング」での起用

最も明確なのがウイング(サイドの最前線)での起用であり、これこそがスターリングを短期的にチームに順応させる1つの手法であると考える。スターリングはマンチェスター・シティだけでなく、イングランド代表としても両ウイングでプレーすることができた。

FWロメル・ルカク(インテルにレンタル移籍)が離れた今、チェルシーではFWカイ・ハフェルツが「偽9番」としてセンターフォワードのファーストチョイスになることはほぼ間違いないだろう。ルカクができなかった中盤に下がり攻撃を流動化させるプレーが期待される。これによってスターリングの「サイドから中央へ侵入しゴールを脅かす特性」を活かすことができるだろう。

またMFハキム・ツィエクがまもなくクラブを離れる(今夏ミラン移籍を熱望しているとされる)ことや、MFメイソン・マウントやFWティモ・ヴェルナーが左サイドを得意としていることから、スターリングは右ウイングとして起用されることになると見ている。右サイドの職人でもあるDFリース・ジェームズがより攻撃時よりワイドにポジションを置くことができれば、スターリングはより危険なエリアで輝きを放つことができるだろう。

ラヒーム・スターリング、新加入チェルシーでの3つの起用法とは

「ストライカー」起用も可能では?

マンチェスター・シティでは、ここ数シーズン様々な選手がセンターフォワードの代名詞である9番のポジションで起用されてきた。ケビン・デ・ブライネ、ベルナルド・シウバ、フィル・フォーデンなど、グアルディオラ監督は様々な開発を仕上げてきた。

シティでのスターリングのセンターフォワード起用はそこまで多くなかったが、チェルシーのトーマス・トゥヘル監督は彼を9番として起用することを考えているかもしれない。

サイドの選手をサポートする動きで決定機を作る動きができるからだ。

カイ・ハフェルツと比較して空中戦には適していないものの、同じイングランド代表でも仲間であるDFベン・チルウェルやリース・ジェームズはスターリングとプレーすることを好むだろう。動き出しに定評がありペナルティエリアへの侵入は得意としており、空中戦以外での崩しは問題なく機能すると考える。

ラヒーム・スターリング、新加入チェルシーでの3つの起用法とは

「司令塔」起用がハマるかも?

あくまで希望的観測に留まるが、「司令塔」としてのスターリングの起用は1つのオプションとしては有効ではないだろうか。トゥヘル監督は2トップ起用を好まないが、これだけ前線のタレントが揃っている中で柔軟な攻撃を実現できる状況では、スターリングを司令塔として2トップの下に配置する可能性すら残されている。

スターリングはリバプール時代に司令塔としての役割を持つ10番として機能していた時期もあり、また2018年のワールドカップ時にはFWハリー・ケインの後ろでプレーしていた。チェルシーのアタッカーたちは足元でボールをもらうことを好まないが、スターリングにはそれができ相手ディフェンダーを引き付けることができる稀有な存在になるだろう。

もしかするとチェルシーで目撃するスターリングは、これまでのマンチェスター・シティで見られた姿とは全く異なる選手になっているかもしれない。どのようなプレーを繰り出すのか、新シーズンの働きぶりに注目していこう。

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