来2023シーズンのJリーグは、史上初めて「サッカー王国」静岡のクラブが1つもトップカテゴリーに居ない状況となる。2022シーズン静岡の清水エスパルスとジュビロ磐田が同時にJ2降格となった。
早急にチームの立て直しを図るべく構想を練らなければならないわけだが、磐田は現在2つの大きな問題を抱えている。1つは次期監督が未だに決まっていないことだ。2022シーズンJ1復帰にあたっては、鈴木政一監督の退任に伴い伊藤彰監督を招聘。新体制でのスタートを切ったが、成績不振もありシーズン途中で渋谷洋樹監督へ交代。その渋谷監督も来季は契約更新しないことが決まっており、現状後任は未定の状態だ。
2つ目の大きな問題は、コロンビア人FWファビアン・ゴンザレスの契約トラブルを巡って国際サッカー連盟(FIFA)から通達された補強禁止処分についてだ。同選手は2021年1月に磐田に加入しているが、それよりも前にタイのクラブとの契約を結んでいたことから、FIFAはタイのクラブとの契約解除を磐田が誘発したと判断し、今後2度の移籍期間での選手獲得を禁じた。磐田はこれに対して不服申し立てを行っているが、現状進展は不明。来季加入が内定していた選手の仮契約を解除するなど、すでに影響は出ており、現時点では今冬の補強が不可能となっている。
そんな状況の磐田にとって、降格したクラブの選手が他クラブに引き抜かれるというよく見る事象が加わることは、まさに死活問題と言えるだろう。

5位:伊藤槙人
2022シーズン、チーム内で最も出場時間の長かったDF伊藤槙人。ベテランで長く磐田の最終ラインを支えてきたDF大井健太郎の退団が決定している中にあっては、伊藤の果たすべき役割はこれまで以上に大きなものになるだろう。守備陣の統率とハードワークはもちろん、高さと強さを併せ持ち攻撃面でもセットプレーのターゲットとして貴重な存在。MF遠藤保仁をはじめキッカーに恵まれているチームなだけに、伊藤の流出は攻守両面で痛手となる可能性が極めて高い。

4位:ジャーメイン良
2021シーズンのJ2得点王で磐田J1昇格の立役者であったFWルキアン(アビスパ福岡)が移籍したり、ルーキー時代から期待しながらも2021年冬に手放したFW小川航基(横浜FC)が今季J2得点王と大暴れするなど、放出した選手の大きさに気付かされたこの1年。補強の出来ない今、覚醒の期待も込めて手放したくないのはFWジャーメイン良ではないだろうか。2022シーズン挙げたゴールは3と決して多くはないが、いずれも途中出場から試合終盤でのゴールと勝負強さと決定力には大いに期待が持てる。攻撃面も建て直しが必要なだけに、高い得点能力を持つジャーメインの慰留は重要と言える。

3位:松本昌也
主に左サイドを司るMF松本昌也。一方で、右でも中央でもプレーできポリバレントな選手ともいえるだろう。降格に伴う選手の流出も見え隠れする状況の中、複数ポジションを高いレベルでこなせる能力の高さは、松本への慰留の優先順位が高い大きな理由の1つだ。新監督の考え方による部分も多いが、移籍期間が明けチームが始動したとき松本をフィールドのどこに置くのか。それによって来季の磐田の戦い方を見ることができ、浮沈をも左右すると言っても過言ではない。

2位:上原力也
2022シーズン、ベガルタ仙台での期限付き移籍から帰還したMF上原力也。主力選手として多くの試合に絡んだが、クラブやサポーターからすれば、ポジション的にも仕事ぶりからしてもチームの心臓であり顔として今以上の活躍を期待する選手ではないだろうか。ボールの供給役としては、元日本代表であるMF遠藤保仁の存在は確かに大きい。しかし、42歳という年齢的に90分間高いクオリティでプレーできる保証はない。だからこそ、視野の広さと正確なパスやクロスを供給できる上原には、遠藤に代わり磐田の未来を作る選手としても残留が求めれらる。

1位:鈴木雄斗
2022シーズン、チーム最多の6ゴールを挙げたMF鈴木雄斗。さらにアシストも4つでチームトップ。文句なしで今季磐田の攻撃を牽引した選手と言える。得意の裏への抜け出しはスタート位置がサイドだからこそ、DFは捕まえづらく一気に好機を演出できる。もちろん抜け出し以外のプレー精度も高く、中央付近であればゴールに直結するプレーに関われる。明確な点取り屋、得点源がいない磐田だからこそ、鈴木の高い攻撃力は決して失ってはならない武器と言えるのだ。