毎年冬になると、日本サッカー界における重要な大会がはじまる。全国高校サッカー選手権大会である。
今2022年は12月28日に開幕戦を迎え、2023年1月9日までの開催が予定されている選手権。ここでは開幕を前に、第101回全国高校サッカー選手権大会における注目校を前編と後編に分けて紹介しよう。
プロと違い、毎年チーム編成が大きく変わっていく高校チーム。果たして2022年はどんなドラマが待っているか。高校生たちの熱い冬が始まる。

青森山田高校
黒田剛監督のラストイヤーを飾れるか
昨2021年、高校三冠(インターハイ・高円宮杯・選手権)を達成した青森山田高校。MF松木玖生(FC東京)やMF宇野禅斗(町田ゼルビア)ら多くのタレントがいた。昨年のチームは歴代最高と称され、それを越えることはそう簡単なことではない。後輩たちには相当のプレッシャーがあったに違いない。
今2022シーズン序盤は、高円宮杯JFAU18プレミアリーグEAST(通称プレミアリーグ:4月2日~12月4日開催)で、同校は開幕3連勝するもそのあと5連敗。連覇のかかったインターハイ(全国高校総体:7月24日~30日開催)でも2回戦で帝京高校(東京)に敗れるなど、非常に苦しい夏を過ごしていた。
しかしチームは立て直しを図り、プレミアリーグでは最終4位と、高体連チームでは最高順位でフィニッシュ。
そんななか10月末に、長年指揮を執った黒田剛監督の退任が発表された。1994年から青森山田を強豪校に育てあげてきた同監督は、2023シーズンよりFC町田ゼルビアの監督に就任することが決まっている。青森山田での最後の冬。有終の美を飾ることができるか。
全国高校サッカー選手権
— 【公式】飯塚高校サッカー応援団 (@iizuka_fc) November 12, 2022
福岡大会 決勝
飯塚1ー0東福岡
1前半0
0後半0
得点
池田③バイエルンツネイシ
試合終了
選手権福岡大会 初制覇!!! pic.twitter.com/5zFGj4hzua
飯塚高校
福岡の歴史を変えた新勢力
東福岡高校、筑陽学園高校、九州国際大付属といった高円宮杯JFAU18プレミアリーグWEST(通称プレミアリーグ)や高円宮杯JFAU18プリンスリーグ九州(通称プリンスリーグ)に所属する高校が多くある福岡は、激戦区の1つでもある。そんな福岡の歴史を変えたとも言える新勢力が、飯塚高校だ。
何よりも注目すべき点は守備力である。選手権の福岡県予選では、準決勝で対九州国際大付属を3-0で撃破。決勝では東福岡相手に1-0のウノゼロで勝利した。同予選での失点数はなんと0。2022年の福岡県リーグでの失点数は8。
注目選手は、DF片山敬介。堅守を支える主将である。身長は178㎝と決して大きい方ではないが、競り合いの強さはピカイチ。まずは選手権初戦突破を目指す。

前橋育英高校
夏の覇者が冬でも力を発揮するか
今2022シーズンが始まる段階で、高校三冠(インターハイ・高円宮杯・選手権)に1番近かったチームが前橋育英高校(群馬県)である。中盤には、MF徳永涼というU18日本代表にも選出された高校年代トップクラスの選手を擁す。この徳永を支える相方は、FW小池直矢とFW高橋善だ。タイプの違うFW同士で様々な得点パターンを持つ。
攻撃陣に注目が集まるが、守備陣も素晴らしい仕上がりである。12大会ぶり2回目の優勝を果たした夏のインターハイでは、5試合で失点はわずか1。
今シーズンから初参戦となったプレミアリーグを経験することで、リーグ戦で体感する試合強度を上げることができたのも、チームにとって大きなプラスになっていることは間違いない。目指すは「高校二冠」である。
高円宮杯Uー18サッカー熊本県3部リーグ
— 【公式】大津高校サッカー部~進化するブルー軍団~ (@kumamoto_ohzu) December 3, 2022
大津高校4th【H】 熊本農業高校
⏳前半キックオフ⏳
本日のスターティングメンバーはこちら! pic.twitter.com/n1uZgiy2pB
大津高校
前回選手権準優勝校、目指すは頂点
前回選手権で準優勝の大津高校(熊本県)。昨2021年はメンバーのほとんどが3年生であり、2022年は1からチーム作りをする必要があった。そのなかでも力をつけ、インターハイではベスト8進出。高円宮杯JFAU18プレミアリーグWEST(通称プレミアリーグ)は6位でフィニッシュ。この1年間で大きく成長したチームであることは間違いない。
特に今シーズンの成長ポイントは、DF坂本翼とDF田辺幸久の両サイドバックである。攻撃参加はもちろんのこと、守備面での貢献度が高い選手である。攻撃のキーマンはU17日本高校選抜にも選ばれた10番MF田原瑠衣。決してサイズが大きい選手ではないが、ラストパスが出せるレフティーだ。
公立高校の雄として、大津高校が目指すは前回大会を越えること。それは優勝である。