2月18日に開幕が迫る2023シーズンの明治安田生命J2リーグ。今季は異例のレギュレーションで、従来のリーグ戦1位、2位に加え、3位~6位で争われるプレーオフを勝ち進んだクラブも入れ替え戦なしでJ1リーグに昇格できる大会方式となっている。
さらに今季のJ2には、昇格争いと同じくらい楽しみな戦いがある。得点王争いだ。昨2022シーズンは、FW小川航基(横浜FC)が26得点を挙げ2位以下に大差をつけて得点王のタイトルを獲得。しかし、小川の所属する横浜FCはJ1昇格を果たした。その他ランキング上位にいたロアッソ熊本FW高橋利樹も浦和レッズに個人昇格するなどし、J2ストライカーの勢力図には間違いなく変化が出るだろう。
特に、新加入の選手や昨年J1からの降格に見舞われたクラブ(清水エスパルス、ジュビロ磐田)の選手には、これまでの経歴や実績から到底J2クラスとは思えない選手も多い。ここでは、2023シーズン新たに移籍や降格によってJ2の戦いに参戦する、注目の外国籍ストライカーを4名紹介していく。

チアゴ・サンタナ(清水エスパルス)
2023シーズンのJ2得点王最有力候補と言えば、直近の実績から清水エスパルスのFWチアゴ・サンタナの名が挙がるだろう。昨年は降格という結果に終わった清水だが、チアゴ自身は14ゴールを挙げJ1得点王に輝いた。今冬移籍の噂も出たものの結果的には残留となり、クラブ側から見ればどんな補強より実りのある慰留成功と言える。
守備陣には移籍動向の結果大きく選手の入れ替えもあったが、昨年チアゴとホットラインを構築していたDF山原怜音は今季も健在。加えて周囲を固める攻撃陣はその多くがチームに残る選択をしており、チアゴにとって少なくともチーム内の環境面で大きな変化が無いのも好材料となるだろう。

ピーター・ウタカ(ヴァンフォーレ甲府)
6つの国内クラブを渡り歩き、Jリーグファンに愛されるFWピーター・ウタカ。経験豊富な元ナイジェリア代表のストライカーは、新シーズンに向けて過去にも1シーズンだけ所属していたヴァンフォーレ甲府への復帰を決めた。
ウタカは2016年にJ1で、2020年にJ2で、それぞれ得点王を獲得。昨2022シーズンも久々のJ1を戦う京都サンガで、序盤戦は9試合7ゴールと決定力の高さを見せつけ、最終的にチームトップスコアラーにもなった。39歳と大ベテランになったが、エリア内の存在感と高いシュート技術に衰えは見られない。
甲府は昨季天皇杯制覇を成し遂げたものの、リーグ戦は18位と苦しいシーズンを過ごした。経験と実績十分のストライカーであるウタカの加入は、J2の長いリーグ戦の武器になるはずだ。また、開幕に先立って2月11日に行われたスーパーカップ(FUJIFILM SUPER CUP 2023)では、昨季のJ1王者である横浜F・マリノスと対戦。1-2で敗れはしたものの一時はウタカの得点で同点とするなど、王者を苦しめる戦いを披露した。リーグ戦でも開幕からゴールを奪えるか、ウタカの活躍から目が離せない。

エリキ(町田ゼルビア)
かつて横浜F・マリノス(2019-2020)で活躍したFWエリキ。今冬、長春亜泰(中国)から町田ゼルビアへの移籍が発表され、3年ぶりとなるJリーグ復帰を果たすこととなった。
横浜FM時代は、2019シーズン途中加入ながら12試合8ゴールと高い決定力を誇り、翌シーズンも13ゴールを挙げチームトップスコアラーとなっている。
町田は今冬、エリキ以外にも即戦力を獲得。2022FIFAワールドカップカタールでも活躍したオーストラリア代表のFWミッチェル・デュークや、昨季レノファ山口でチームトップタイの7ゴールを挙げたFW沼田駿也などが加わっており、ポジション争いも間違いなく激しいものとなることが予想される。そんなチーム状態でエリキにも火が点くことになれば、J2での得点王も十分ありうるのではないだろうか。

フアンマ・デルガド(V・ファーレン長崎)
2018年以来5年ぶりにV・ファーレン長崎への復帰を果たしたFWフアンマ・デルガドも、今シーズン注目の選手だ。これまで決して爆発的な得点能力を発揮しているわけではないが、188cm、90kgという巨体が最前線にいることは相手にとって脅威。DFにとって常に気を張らなければならない相手であることは間違いない。
長崎は昨2022シーズン11位と昇格争いに加われず、悔しいシーズンを過ごした。その反省もあってか、今冬はフアンマ以外にも攻守両面で積極的な補強の動きを見せ、J1クラブからも期限付き移籍を含めて多くの選手を獲得。久々のJ1昇格に向け、準備を整えたと言っていいだろう。
フアンマは以前長崎に所属していた2017シーズン11得点を挙げ、クラブ史上初となるJ1昇格に大きく貢献している。