5月12日~14日にかけて行われた2023明治安田生命J1リーグの第13節。国立競技場ではFC東京と川崎フロンターレの「多摩川クラシコ」を始めとする複数のダービーマッチや、Jリーグ発足時から加盟している「オリジナル10」の2クラブ、鹿島アントラーズと名古屋グランパスの試合(2-0)が開催され、大いに盛り上がりを見せた。
ここでは、そんなJ1第13節で活躍した選手たちをベストイレブン形式で紹介していく。

GK:スベント・ブローダーセン(横浜FC)
PKで得た「虎の子の1点」を守り抜き、2023シーズン2勝目を挙げ最下位を脱した横浜FC(対柏レイソル1-0)。苛烈な攻撃を受ける場面も多い中、守備陣の集中力の高さが目立った今第13節。特に守護神GKスベント・ブローダーセンは、DFラインの背後を取られた場面や強烈なボレーなどにも、冷静かつ素早い反応でこれをしのぎ続けた。ここまでリーグワーストの失点数となっている横浜において、ブローダーセンがもたらしたと言っても過言ではない1-0の勝利は、チーム全体の大きな自信となるだろう。

DF:田中駿汰(北海道コンサドーレ札幌)
守備面ではリーグで3番目に失点が多く、課題も残る2023シーズンの北海道コンサドーレ札幌。しかし、DF田中駿汰は守備以上に攻撃でチームの勝利に貢献している。得点数でリーグトップに立つチームにあって、ディフェンダーながら攻撃面で存在感を示している。今第13節では、距離のある位置からのピンポイントクロスで同点弾を演出し、長い距離から強烈なミドルシュートでゴールを狙うなど、積極的に攻撃へ参加。湘南ベルマーレとの打ち合いを制する原動力となった(4-2)。

DF:関川郁万(鹿島アントラーズ)
今第13節で5試合連続無失点となり、安定感抜群の守備陣を誇る鹿島アントラーズ(対名古屋グランパス2-0)。その強固な守備陣の中でも、DF関川郁万はベテランDF植田直通の傍らで成長し、もはや中核と呼べる存在となりつつある。今節も切れ味鋭い名古屋の攻撃を前に、決死のシュートブロックや簡単には前を向かせない強さでゴール前に立ちはだかり続けた。上位陣を相手にしながら圧倒的な存在感を見せたと言えよう。

DF:徳元悠平(FC東京)
国立競技場で開催となった多摩川クラシコ。金曜開催にも関わらず多くのサポーターが集まる中、調子が上向いてきていた川崎フロンターレをFC東京が2-1で下し、次節に向け弾みをつけた。

MF:山口蛍(ヴィッセル神戸)
サンフレッチェ広島との上位対決を制し、他の上位陣も含め勝ち点差を広げることに成功したヴィッセル神戸(2-0)。そんな勝利に、MF山口蛍が豊富な運動量で大いに貢献している。攻守に渡り広範囲に顔を出し、先制点の場面ではゴール前に迫力あるスプリントでプレッシャーをかけオウンゴールを誘発。別の場面でも、チャンスと見るや前へ出ていく判断力と走力を見せるなど、分厚い攻撃の創出に貢献した。

MF:香川真司(セレッソ大阪)
勝ちが続かず、思うように波に乗れないセレッソ大阪。今第13節も決して楽ではない1点差の試合展開ながら辛くも勝利を収めた(対京都サンガ1-0)。しかし、そんな中でもMF香川真司の冷静かつ的確な働きぶりは、チームに安定感をもたらしていたと言えよう。サイドまで出て行き前を向かせない守備の強度と、パスコースに入りつなぎを簡単に許さない働きで、守備陣の負担軽減に貢献した。

MF:大久保智明(浦和レッズ)
今第13節は、前半戦思うように流れを掴めない中で後半頭から出場した浦和レッズのMF大久保智明。浮き球に反応してのゴールはもちろん、前半にはなかなか見られなかった突破力、さらには高精度のパスやクロスで決定機を作るなど躍動。結果的に勝利を呼び込んだ逆転ゴールを含め、攻撃面で改めて能力の高さを示す活躍を果たした(対ガンバ大阪3-1)。

MF:伊藤涼太郎(アルビレックス新潟)
2023シーズンここまで、J1リーグの盛り上がりに一役買っているアルビレックス新潟のMF伊藤涼太郎。王者である横浜F・マリノスが相手であっても、その輝きは際立っていた。的確なポジショニングでボールを集め、距離にかかわらず正確かつスピード感のあるパスでチャンスを演出。さらにゴール前でも変わらぬ冷静さで得点も挙げ、4戦未勝利だったチームに久々の勝利をもたらした(2-1)。

MF:浅野雄也(北海道コンサドーレ札幌)
2023シーズンここまで爆発的な攻撃力を誇る北海道コンサドーレ札幌。第13節でも、最終的には4得点を奪い湘南ベルマーレとの打ち合いを制した(4-2)。途中逆転を許す難しい展開の中にあって、好調のMF浅野雄也は勝利を呼び込む逆転ゴールをマーク。相手ディフェンダーに寄せられながらも、ここしかないというコースへ蹴り込み、決定力とシュートセンスを見せつけた。

FW:武藤嘉紀(ヴィッセル神戸)
開幕から好調が続くヴィッセル神戸は、今第13節でサンフレッチェ広島との上位対決に臨み2-0と勝利。上位勢が軒並み敗北した今節において勝ち点差を広げることに成功した。そんな序盤戦から中盤戦に移行するこの時期の大一番を制する立役者となったのがFW武藤嘉紀だ。いつも通りの献身的なプレスや守備はもちろん、攻撃でもオウンゴールを誘発するパスや試合を決定づける鮮やかなミドルシュートを決めるなど、全得点に絡み勝利に貢献した。

FW:鈴木優磨(鹿島アントラーズ)
一時期の不調が嘘のように4連勝と波に乗って迎えた、オリジナル10同士である名古屋グランパスとの一戦。鹿島アントラーズはまたも無失点で勝利を収め、連勝を5に伸ばした(2-0)。この上位との大一番、勝利を引き寄せ先制点を挙げたのは、やはり今の鹿島を牽引するFW鈴木優磨だった。