プレミアリーグ、マンチェスター・ユナイテッドのレジェンド指揮官であるサー・アレックス・ファーガソン元監督(1986-2013)の教え子が、ついにクラブから1人もいなくなった。最後の1人となったのが、7月8日に退団を発表した元スペイン代表GKダビド・デ・ヘアだ。

若くしてアトレティコ・マドリード(2009-2011)での活躍が認められ、スペイン国内のビッグクラブに興味を持たれていたデ・ヘアは、2011年6月に国外(イングランド)の厳しい環境に自らの身を置くことを決断し、ユナイテッドと5年契約を交わした。加入当初は、身体の線が細くプレミアリーグ特有のプレースタイルに苦戦。ハイボールやクロス対応では不安定さが見られ厳しい声が飛び交うも、ファーガソン元監督は信頼して起用し続けた。

結果、ユナイテッド所属年数は12年となったデ・ヘア。2023年には誰もがクラブのレジェンドとして認める世界屈指のGKにまで成長して去っていった。ここでは、そんなデ・ヘアが残した功績を4つに分けて紹介しよう。

マンU退団のGKデ・ヘアが残した4つの功績

プレミアリーグ制覇(2012/13)

元オランダ代表GKエドウィン・ファン・デル・サール(2005-2011)の後釜として、2011年にアトレティコからユナイテッドに移籍した当時弱冠20歳のデ・ヘア。ファーガソン監督の元、加入当初から正ゴールキーパーのポジションを獲得し、デビューの2011/12シーズンから存在感を発揮すると、翌2012/13シーズンにプレミアリーグ優勝を果たしている。

ファーガソン監督が退任した2012/13シーズン以降のユナイテッドの「暗黒時代」にも、FAカップ(2015/16)、EFLカップ(2016/17、2022/23)、ヨーロッパリーグ(2016/17)、FAコミュニティ・シールド(2011、2013、2016)でタイトルを獲得し、チームを支え続けた。

マンU退団のGKデ・ヘアが残した4つの功績

クラブ史上最高の守護神記録

ユナイテッド史上最高の守護神といえば、元イングランド代表GKアレックス・ステップニー(1966-1978)、元デンマーク代表GKピーター・シュマイケル(1991-1999)、そして前述のファン・デル・サールの名前が挙がるだろう。

派手さやタイトル獲得数を見ると3人に劣るデ・ヘアだが、あるスタッツでは彼らを上回るクラブ史上1位の記録を保持している。それはクリーンシート数だ。3位はステップニーの175回、2位はシュマイケルの180回、そして1位がデ・ヘアの190回である。デ・ヘアがクラブ史上最高の守護神に名を連ねて異論はないだろう。

ファーガソン監督以降も、デイビッド・モイーズ監督(2013-2014)、ルイス・ファン・ハール監督(2014-2016)、ジョゼ・モウリーニョ監督(2016-2018)、オーレ・グンナー・スールシャール監督(2018-2021)、エリック・テン・ハフ監督(2022-)と在籍時の全指揮官から信頼を寄せられ続けたデ・ヘア。加入2011/12シーズンからクリーンシート率でリーグトップ。2017/18、2022/23シーズンにはクリーンシート数でリーグトップを記録した。

マンU退団のGKデ・ヘアが残した4つの功績

クラブ史上最多GK公式戦出場数

デ・ヘアがユナイテッドで信頼されていた1番の証拠はこの記録だろう。前述したクラブ史上最高の守護神たちを上回る、GKとしての最多公式戦出場数記録を保持している。ピーター・シュマイケルは398試合、ファン・デル・サールは266試合、ステップニーは539試合、デ・ヘアはそれらを上回る545試合だ。

さらにデ・ヘアはプレミアリーグでは415試合出場しており、フィールドプレイヤーを含めた通算リーグ出場試合数ランキングでもクラブ3位を記録。イギリス出身以外の選手がプレミアリーグ400試合以上出場したのは、同クラブ史上初の快挙でもある。

マンU退団のGKデ・ヘアが残した4つの功績

個人賞の数々

デ・ヘアが獲得してきたのは、チームタイトルだけではない。2017/18、2022/23シーズンには、プレミアリーグ・ゴールデングローブ(年間最優秀GK賞)を受賞。PFA年間ベストイレブンに5回(2013、2015、2016、2017、2018)選ばれ、リーグを代表する守護神として名を広めた。

他にも、サー・マット・バスビー(ファン投票による)年間最優秀選手賞をクラブ最多タイの4度(2013/14、2014/15、2015/16、2017/18)受賞。選手投票によるクラブ年間最優秀選手賞にも同じく4度(2013/14、2014/15、2017/18、2021/22)選出されている。

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