イングランド2部リーグのチャンピオンシップ第2節で、MF坂元達裕が所属するコベントリー・シティが日本時間8月12日、古豪ミドルズブラとホームで対戦。コベントリーは前半11分に幸先よく先制し、坂元は65分に途中出場し好機を演出して今2023/24シーズン初白星獲得に貢献した(3-0)。

ここまで勝利のなかったコベントリーは、公式戦2試合連続で1点を先制しながらも逆転負けを喫していた。この記事ではコベントリーが初勝利に至った要因を見ていこう。

坂元達裕の評価上々!コベントリー初白星の要因&現地反応【2023/24】
コベントリーVSミドルズブラのスタメン

コベントリーVSミドルズブラ:試合展開

ミドルズブラは、マンチェスター・ユナイテッドで長くプレーしキャプテンも務めたマイケル・キャリック監督が率いる。2021/22シーズンに当時ユナイテッドのオーレ・グンナー・スールシャール監督が解任された際に暫定監督を務めたこともある同監督は、昨2022/23シーズンにミドルズブラに就任し4位の好成績を納めたが、プレミアリーグを昇格かけたプレーオフでコベントリーに敗れ昇格を逃していた。

同試合、キャリック監督は[4-2-3-1]のシステムを採用。一方、ホームのコベントリーは前節レスター・シティ戦に引き続き[3-4-1-2]で臨む。

コベントリーでは中盤2ボランチの要だったMFグスタボ・ヘイメルが前日の11日、プレミアに昇格したシェフィールド・ユナイテッドへの移籍が決定。これに伴い前節レスター・シティ戦(1-2)では右ウィングバックを務めたMFジョシュ・エクルズが守備的MFに入り、右ウィングバックには新加入のオランダ人MFミラン・ファン・エヴァイクが今季リーグ戦初先発を果たした。

坂元達裕の評価上々!コベントリー初白星の要因&現地反応【2023/24】

レスター戦では5バック気味だったコベントリーだが、ミドルズブラ戦ではエヴァイクとMFジェイ・ダシルバの両ウィングバックが高い位置を取ることでそれを回避。中盤のスペースを相手に支配されることがレスター戦では逆転負けをする要因となったが、今節ではディフェンスラインを高く保つことで中盤をコンパクトにまとめることに成功した。前節に比べてポゼッション率が高くなり、ゲームをコントロールできた。

前半11分にエクルズの放ったシュートが相手にあたり、FWマット・ゴッデンが流し込んで幸先よく先制したコベントリー。その後はミドルズブラの10番で元マンチェスター・シティ所属のMFモーガン・ロジャーズを中心としたサイド攻撃に苦しみ、危ない場面がいくつか訪れたがなんとか失点を免れる。

坂元達裕の評価上々!コベントリー初白星の要因&現地反応【2023/24】
コベントリーVSミドルズブラ 65分のフォーメーション

後半65分、コベントリーのマーク・ロビンズ監督はエヴァイクに代えて坂元を、FWエリス・シムズに代えてFWハジ・ライトを投入する。前節のレスター戦ではトップ下に入った坂元だったが、今回は右ウィングバックでのプレーとなった。

坂元は68分には、得意とするドリブルと切り返しで相手DFを翻弄。70分には相手陣地の深い位置から切り返しを見せてゴール前に左足でクロスを供給した。ボールはライトに合わなかったがコーナーとなり、コーナーキックからのこぼれ球にライトが合わせてコベントリーが2点目を決めた。ライトにとってコベントリー移籍後初ゴールとなった。

坂元達裕の評価上々!コベントリー初白星の要因&現地反応【2023/24】
コベントリーVSミドルズブラ 80分以降のフォーメーション

2点目を決めるとロビンズ監督がすかさず動く。左ウィングバックのダシルバを下げてDFジェイク・ビッドウェルを投入し、MFケイシー・パルマーを下げて守備的MFリアム・ケリーをアンカーの位置に入れる。システムも変更し、坂元とDFジェイク・ビッドウェルをディフェンスラインまで下げて5バックを形成し、中盤センターハーフを3枚とする[5-3-2]の守備的布陣にした。

対するミドルズブラも、ロジャーズと左サイドハーフのMFサミュエル・シルヴェラを中心にサイド攻撃を仕掛けるも得点には至らず。

91分、カウンターから右サイドでフリーとなったコベントリーのFWマット・ゴッデンにボールが供給されると、ゴッデンのクロスボールがミドルズブラDFダラー・レニハンに当たってオウンゴールとなり、コベントリーが3点目を追加して3-0で試合が終了した。

坂元達裕の評価上々!コベントリー初白星の要因&現地反応【2023/24】

現地サポーターの心を掴んだ坂元

前節のレスター戦では試合終了間際の出場で7分程度のプレーしかできなかった坂元だが、同試合前には日本時間10日に行われたカラバオカップのウィンブルドン戦でフル出場を果たしている。

しかしコベントリーは4部リーグに所属する格下相手にまさかの逆転負け(1-2)。坂元は前半にトップ下に入り、後半は左ウィングバックに入ったが、相手選手のクロスをブロックしきれずこれが決勝点となってしまった。

シーズン早々カラバオカップ敗退が決まってしまったが、現地メディアからの坂元へ評価は上々だ。現地紙『コベントリーライブ』は、ウィンブルドン戦での坂元に7点の高評価を与え「初めて坂元をしっかりと見ることができた。辛抱が大事だ。この選手はボールを持つと明らかに才能溢れるフットボーラーであることが分かるが、まだイングランドのフットボールに慣れている最中。チームメイトとの波長も合わせようとしている段階だ。後半は改善点が見られた」と綴っている。

坂元達裕の評価上々!コベントリー初白星の要因&現地反応【2023/24】

今ミドルズブラ戦では、65分の早い段階から最初の選手として坂元が投入されたことに、ロビンズ監督の期待の高さをうかがわせる。特に印象的だったのが、坂元がボールを持ってドリブルを仕掛け切り返しで相手DFを翻弄させると、スタジアムから歓声が沸き起こったことだ。

68分に得意の切り返しを見せると一瞬にしてコベントリーサポーターの注目を集め、坂元がボールをもつと盛り上がる。目の肥えたイングランドサッカーファンが特定の選手に盛り上がることは少ないが、坂元への何かを起こしてくれるという期待感が彼らににひしひしと伝わっているのが分かる。

また、80分に5バックの右サイドに入った坂元は、しっかりと守備もこなした。相手選手に素早く寄せ右サイドを死守。88分には左サイドから崩されてゴール前の相手選手に供給されたボールをしっかりとクリアし、相手の絶好の得点チャンスを阻止した。ボールを保持している場面ではリスクを冒さず味方選手に指示を出すなど、高い守備への意識と周囲との連携の向上が見られたのもポジティブな材料だろう。

ミドルズブラ戦終了後、同現地紙は坂元の出来に7点を与え「途中出場すると生き生きとしているのが見られた。相手選手を翻弄すると見ている観客を立ち上がらせた」と評価した。一方、同じポジションで先発したエヴァイクは6点の採点となった。

シーズン初白星をつけたコベントリーは、次節アウェイでスウォンジー・シティと対戦する。現地のサポーターの心を掴みつつある坂元には、今後も出場時間を徐々に伸ばしていき、チームの主力となって活躍することを期待したい。

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