2021年9月に開幕した日本女子プロサッカーリーグ(WEリーグ)が、3シーズン目を迎える。2023/24シーズンのWEリーグは11月11日に開幕し、12クラブが全22節132試合を戦い抜く。
ここでは、WEリーグの現状や公式アプリ、WEリーガーの活躍などについてみていこう。

制限から解放されて迎える初のシーズン
シーズン開幕に先立ち、11月6日に「2023/24シーズン キックオフカンファレンス」が行われ、WEリーグの髙田春奈チェア(代表理事)が開幕に向けての思いを語った。コロナ禍でのスタートを余儀なくされたWEリーグ。振り返ると過去2シーズンはパンデミック真っ只中ということもあり、選手を含め運営側もリーグを進行するにあたり大変な苦労があったと想像できる。特に選手たちは、日本初の女子プロサッカーリーグ誕生という喜びを抱えながらも、コロナ禍での不安と常に戦う状況で試合に挑んでいたのではないだろうか。特別な制限のない中で迎える初めてのシーズン。観客席でも堂々と声が出せるようになり、活気ある開幕となりそうだ。
現在、今夏行われたFIFA女子W杯オーストラリア&ニュージーランド大会の影響もあり、日本国内だけでなく世界的に女子サッカーが盛り上がっている状況だ。女子W杯では、サッカー促進施策として2カ国での開催だったことやスタジアムの外でも観戦可能なファンフェスティバルを行ったことなど、初めての試みが大きな効果を生んだことは閉幕後に発表された「累計197万8,274人」という観客動員数でも証明されている。
加えて髙田チェアは、女子W杯後のWEリーグカップ(8月26日-10月14日)やアジア競技大会(9月15日-10月8日)、パリ五輪アジア予選(10月26日-11月1日)と、女子サッカーが世間の目に触れる機会が途切れることなく続いている中で、今シーズンのWEリーグが開幕できるのは非常に良いタイミングだと語った。

アプリでも楽しめるWEリーグ
今シーズン新たにセレッソ大阪ヤンマーレディース(C大阪)が加わり、全12クラブとなったWEリーグ。これまでなでしこリーグで戦ってきたC大阪は「究極の育成型クラブ」として活動しており、所属選手のほとんどが育成施設であるC大阪アカデミー出身者というめずらしいクラブだ。そのため若い選手が多く、昨2022シーズンの平均年齢は17.7歳とリーグ内でも最少。
前述のキックオフカンファレンスに登壇したジェフユナテッド市原・千葉レディースのDF林香奈絵が新加入のC大阪ついて「WEリーグカップでセレッソと対戦し、チームのプレー強度の高さを感じた。新チームだがメンバーがアカデミー出身ということもあって、基本的なコミュニケーション能力もありチーム力も高い」と語っている。アカデミー出身者の多い点がチーム全体の強さと比例しているかどうか、今シーズンのプレーに期待したい。
そんなWEリーグをより楽しめるのが、10月14日に初リリースとなったWEリーグ公式アプリ。基本的なリーグ情報はもちろん、各クラブの詳細情報やチケット購入、関連動画などのエンターテインメントも充実している。なかでも特に興味深いのが「ARスナップ」だ。スマートフォンの撮影ツールでバーチャル・フェイスペイントを楽しむことができる。
例えばスタジアムで観戦できない日でも、ARスナップでフェイスペイントした写真を撮影してSNSに投稿すれば、会場にいるような気分で一層試合を楽しむことができるだろう。フェイスペイントの種類は各クラブごとに異なるデザインになっていて、好みのものを選ぶことができる。是非ダウンロードして試してほしい。

世界へ羽ばたくWEリーガー
今夏の女子W杯後に2名のなでしこメンバーがイングランドの地へ渡った。MF宮澤ひなたがマイナビ仙台レディースからマンチェスター・ユナイテッド・ウィメンへ、FW植木理子が日テレ・東京ヴェルディベレーザからウェストハム・ユナイテッド・ウィメンへそれぞれ移籍。
男女ともにイングランドで活躍する日本人選手が増えたことで、プレミアリーグや女子スーパーリーグ(WSL)に興味を持った日本のサッカーファンも多いに違いない。パリ五輪に向け最終予選への進出を決めた日本女子代表。WEリーグから世界へ羽ばたく選手は今後ますます増えるだろう。集客面の問題などまだ課題も多いが、着実に一歩ずつ前進するWEリーグと選手たちの活躍に期待したい。果たしてWSLの盛り上がりに追いつけるか、今シーズンのWEリーグに注目だ。