町田ゼルビアの優勝で幕を閉じた2023明治安田生命J2リーグ。町田には、今季よりチームを率いる黒田剛監督が青森山田高等学校時代に指導した教え子たちが複数いる。

以前から在籍しているMF宇野禅斗や浦和レッズから期限付きで獲得したDF藤原優大に加え、夏にはMFバスケス・バイロンを東京ヴェルディから獲得。さらに、長く海外で活躍していたMF柴崎岳鹿島アントラーズ)の獲得も一時は噂されるなど、町田の選手編成では度々「教え子」がキーワードとして挙げられている。

そろそろ冬の補強の噂も聞こえてきており、そこにも青森山田高校を卒業し現在はドイツで活躍するDF室屋成や現在J1首位を走るヴィッセル神戸のDF菊池流帆の名も挙がっている。そこで今回は、J1昇格を機にさらなる大型補強に動くであろう町田について、去就が注目される黒田監督の教え子である青森山田高校出身のJリーガーを4名、現在所属しているチームでの立ち位置も踏まえて紹介していく。

町田ゼルビアのさらなる教え子獲得はある?青森山田出身Jリーガー4選

松木玖生(FC東京

近年の青森山田高校出身者として真っ先に名前が挙がる選手の1人と言えばMF松木玖生ではないだろうか。昨2022シーズンは高卒ルーキーながら開幕スタメンを勝ち取り、以降今季も変わらずFC東京の主力の一角を担っている。U-20ワールドカップではキャプテンも務め、パリ五輪代表入りの可能性も高く、今後はA代表でも主軸を任される存在として期待されている。

魅力はその強靭なフィジカル。J1で相対する屈強な外国籍選手と対峙しても引けを取らず、中盤の門番として躍動。加えて高い攻撃力も併せ持ち、チャンスと見るや前線でフィニッシュに関わることも多い。プロになり攻守ともに一層バランスの良い選手となっているだけに、欲しがるクラブは町田に限らず多いことは間違いない。しかし、すでにJ1で主力を張り海外移籍の噂も囁かれる松木にとって、今さら国内移籍を選ぶ可能性は極めて低いと言える。黒田監督の率いるチームに松木の名があってほしいと願うサッカーファンも多いだろうが、少なくとも今すぐに実現することはなさそうだ。

町田ゼルビアのさらなる教え子獲得はある?青森山田出身Jリーガー4選

郷家友太(ベガルタ仙台

今2023シーズンより、地元宮城県のクラブでもあるベガルタ仙台へ加入したMF郷家友太。昇格争いはもちろん、優勝争いに絡むような躍進を期待されたが、チームはまさかの低迷で結果はJ2リーグ16位と厳しいシーズンとなった。そんな中でも、郷家はチームトップの10ゴールを挙げて攻撃を牽引。加入初年度ながら確かな存在感を示していた。

ヴィッセル神戸時代から見せている攻撃への貢献度もさることながら、複数のポジションを高いレベルでこなせることも大きな魅力。実際に今季も中盤のサイドと中央、加えて最前線とそれぞれで出番を得ており、改めて能力の高さを発揮してきた。同じJ2の舞台で1年間戦ってきた町田の黒田監督からすれば、その活躍に成長度合いの大きさを感じたことだろう。

当然、仙台としては1年目で期待通りの働きをみせた郷家を手放すことは考えたくない。しかし、恩師が初めて挑むJ1の舞台。すでに神戸でJ1のレベルを肌で感じたことのある選手を求めるのも、当然と言えるのではないだろうか。

町田ゼルビアのさらなる教え子獲得はある?青森山田出身Jリーガー4選

三國ケネディエブス(アビスパ福岡

11月4日に行われたYBCルヴァンカップ決勝で浦和レッズを下し、クラブ史上初となる国内3大タイトルの1つを獲得したアビスパ福岡。そんな福岡の青森山田高校出身選手と言えばDF三國ケネディエブスが挙げられる。高さを武器に学生時代はFWとしても鳴らした選手で、2019年に福岡へ入団して以降も度々最前線で起用される姿が見られている。

しかし、いずれのポジションでも定位置を掴むまでには至らず、2021シーズンから翌2022シーズン途中までは栃木SCへの武者修行に出ていた。

昨季途中で福岡に戻るもスタメンで出場している選手たちの壁は高く、今2023シーズンもスタメン出場はわずかに5試合のみ。持っている魅力の割に活躍の場が限られている。恩師である黒田監督率いる町田では、今季センターバックとして出場した選手のうちDFカルロス・グティエレスが夏に移籍。また、浦和から期限付き移籍中のDF藤原優大(青森山田高校出身)の去就も不透明だ。それだけに、23歳という年齢的にも評価できる三國を町田が望んだとしても不思議はない。

町田ゼルビアのさらなる教え子獲得はある?青森山田出身Jリーガー4選

武田英寿(水戸ホーリーホック

今2023シーズンは、所属元である浦和レッズから水戸ホーリーホックへ期限付き移籍中のMF武田英寿。

彼もまた黒田監督の教え子である。昨年は大宮アルディージャで31試合に出場。ゴールに直結する働きこそ少なかったが、チームのJ2残留に貢献している。今季水戸では、J2で2位タイとなる9アシストをマーク。質の高いキックにはますます磨きがかかり、セットプレーやクロスなどで多くのチャンスを演出している。高校時代には背番号「10」を背負い、浦和でもカップ戦で早々にデビューを飾ったが、2021年途中に武者修行に出てから早くも3シーズン目となっている。

武田自身が確実にレベルアップしていることを踏まえてもなお浦和の選手層は分厚い。中盤には今年日本代表としてもデビューを果たしたMF伊藤敦樹や今季はスタメンフル出場も多くなっているMF安居海渡など、年齢的にも高い評価を得ている選手が多くいる。武田がチームに戻ったとして、必ずしも出場機会が確保されているとは言い難い現状だ。チームへの高い貢献度から、水戸としても当然帰したくない選手だろうが、恩師でありJ1昇格を果たした黒田監督からの誘いがあれば気持ちが揺れることも間違いないだろう。