プロ1年目から多くの出場機会を得られるサッカー選手はごくわずか。現在主力として活躍する選手も、その多くはどこかのタイミングで大幅に出場数を増やしたり、1度は失ったスタメンの座を奪還したりして現在に至っている。
そこでこの記事では、2023シーズンのJ1で出場数が10試合未満の若い選手の中から、2024シーズンが転機となりそうな7人をピックアップ。いずれも限られた出場数でありながら期待を感じさせた選手たちだ。
※記事内のクラブ表記(選手名右側)は2023シーズン所属クラブ

植中朝日(横浜F・マリノス)
1人目は、横浜F・マリノス1年目で3得点を記録したFW植中朝日。JFAアカデミー福島育ちのストライカーは、V・ファーレン長崎でプロ2年となる2021シーズンにブレイクすると10得点を記録した。翌2022シーズンも5得点を挙げ、横浜FMへ移籍を果たした。
横浜での2023シーズンは、前線の分厚い層に阻まれ9試合302分間の出場だったが、短い時間で3得点を挙げJ1の舞台でも通用することを証明している。1月7日時点では横浜との契約更新が発表されておらず、他のJ1クラブからの需要が気になるところ。シュートセンスとスピードを備える22歳はどのような選択をするだろうか。

熊田直紀(FC東京)
2人目は、U-20日本代表のストライカーFW熊田直紀。2023年はAFC U20アジアカップに出場すると5得点を獲得し得点王に輝いた。しかし下部組織からトップチームへ昇格したFC東京では、すべて途中出場で8試合1得点。期待の大きさを考えると、ほろ苦い1年目となった。
それでも、183cmの恵まれた体格と左足から放たれる強烈なシュートは、すでに高レベル。周囲との連携を深め活かされることで、得点を重ねるだけのものは持っている。

木村勇大(京都サンガ)
3人目は、U-22日本代表にも選出されたFW木村勇大。2022年にプロ1年目を過ごした京都サンガと今夏に期限付き移籍したツエーゲン金沢では、ともに定位置を掴むことができなかった。しかし、金沢ではリーグ戦初得点を記録。185cmと長身ながらスピードと推進力も完備し、関西学院大学時代から注目を集め特別指定選手としてJ1で出場機会を得た逸材だ。
12月28日には東京ヴェルディへの期限付き移籍が発表され、2024シーズンはJ1を舞台に戦うことが決まった。スケールの大きなストライカーは、J1初得点をはじめとして多くの得点に絡むことが期待されている。

久保藤次郎(名古屋グランパス)
4人目は、J3からキャリアをスタートさせJ1まで辿り着いた久保藤次郎。2021年6月に翌シーズンからの藤枝MYFC(当時J3)入団が内定すると、同月には特別指定選手としてJリーグデビューを果たし、9月にはJ3第19節の福島ユナイテッド戦(1-0)でJリーグ初得点を飾り、チームを勝利に導いた。
翌2022シーズンは、ルーキーながら10得点6アシストを挙げJ2昇格の立役者の1人となり、2023シーズンも継続して活躍を続けたことで、久保が少年時代にアカデミーへ所属し憧れていた名古屋グランパスへの移籍を叶えた。バネのような身体能力を活かしたドリブル突破や、右サイドから中央に侵入しての得点力はJ1でも魅力的。大型補強を敢行した名古屋のなかでも、その個性は光るはずだ。

重見柾斗(アビスパ福岡)
5人目は、U-22日本代表としてアジア競技大会にも出場したMF重見柾斗。2023年3月、2024シーズンからアビスパ福岡への加入内定が発表された。2023シーズンは特別指定選手として5試合のスタメン出場を経験。J1でも安定したボール捌きをみせ、試合を経るごとに安定感も向上。ボランチに離脱者が相次いだチームを救った。
福岡大学では2列目でのプレーも増えユーティリティ性が増しているが、ベンチ入りでは物足りない。パリ五輪出場を叶えるためには、プロ1年目からのレギュラー奪取が求められる。

溝口修平(鹿島アントラーズ)
6人目は、鹿島アントラーズのアカデミー出身、19歳のDF溝口修平。前への推進力があり、積極的なインナーラップと効果的な縦パスでチャンスを生み出すサイドバックだ。左利きの左サイドバックのためクロスの精度も期待できる。2023シーズンは怪我や体調不良があったものの、先発4試合を含む5試合(309分)に出場。
今冬の移籍市場では選手の移籍が相次いだ鹿島だが、圧倒的なスタミナを誇るライバルのDF安西幸輝は健在。ポジション争いは容易ではないものの特徴が異なるため、負傷さえなければチャンスはあるだろう。

西尾隆矢(セレッソ大阪)
7人目は、U-22日本代表の主力を担うDF西尾隆矢。
それでもフィジカルとメンタルの強さはライバルに一切引けを取らず、昨シーズンの悔しさを胸にスタメンを奪還しパリ五輪への決定打とするはずだ。