2月23日に開幕戦を迎える2024明治安田J1リーグ。参加クラブは昨2023シーズンから2つ増え、全20チームが優勝や残留を争うこととなる。
このシリーズでは、今シーズンJ1リーグで戦うクラブの補強に注目。今冬の移籍市場(1月22日時点)における戦力変化について相対評価5段階(A:大きくプラス、B:プラス、C:ややプラス、D:マイナス、E:大きくマイナス)で4クラブずつまとめていく。なお、順位予想やクラブ全体の戦力診断ではなく、移籍状況による戦力評価ランキングとなっている。
関連記事:2024シーズン全J1クラブの補強診断&ランキング(16~13位)
関連記事:2024シーズン全J1クラブの補強診断&ランキング(20~17位)
12位:京都サンガ
移籍・加入による戦力評価:C
主な移籍選手(OUT)
- GK若原智哉(V・ファーレン長崎へ期限付き移籍)
- DFイヨハ理ヘンリー(サンフレッチェ広島へ復帰)
- DF井上黎生人(浦和レッズへ完全移籍)
- MF荒木大吾(FC岐阜へ完全移籍)
- MF山田楓喜(東京ヴェルディへ期限付き移籍)
- FWパトリック(名古屋グランパスへ完全移籍)
- FW木下康介(柏レイソルへ完全移籍)
主な加入選手(IN)
- GKク・ソンユン(北海道コンサドーレ札幌から完全移籍)
- DF鈴木義宜(清水エスパルスから完全移籍)
- DF松田佳大(水戸ホーリーホックから完全移籍)
- MF塚川孝輝(FC東京から期限付き移籍)
- MF鈴木冬一(ローザンヌ・スポルトから完全移籍)
- FWマルコ・トゥーリオ(セントラルコースト・マリナーズから完全移籍)
12位は、苦戦した時期もありながら2年連続のJ1残留を達成した京都サンガ。今冬の移籍市場では、10得点のFWパトリックや左ウイングとして3得点を挙げたFW木下康介、右ウイングで一定の出場機会を得たMF山田楓喜など攻撃的な選手が数多くチームを離れた。
その他にもセンターバックの主力だったDF井上黎生人、同じくセンターバックのDFイヨハ理ヘンリーなども移籍したが、絶対的な選手の移籍はなかった。
前線にはオーストラリアで11得点7アシストを記録していたFWマルコ・トゥーリオ、センターバックにはDF鈴木義宜とDF松田佳大、左サイドバックにはMF鈴木冬一を獲得し、ある程度のスケールアップを果たした。新戦力がどれほど競争に打ち勝ち主力となれるかが、順位に直結しそうだ。
11位:ジュビロ磐田
移籍・加入による戦力評価:C
主な移籍選手(OUT)
- DF中川創(藤枝MYFCへ完全移籍)
- MF鈴木雄斗(湘南ベルマーレへ完全移籍)
- MF遠藤保仁(引退)
- MFドゥドゥ(ジェフユナイテッド市原・千葉へ完全移籍)
- MF山本康裕(松本山雅へ完全移籍)
- FW後藤啓介(RSCアンデルレヒトへ期限付き移籍)
- FWファビアン・ゴンザレス(ヴァンフォーレ甲府へ完全移籍)
主な加入選手(IN)
- GK川島永嗣(無所属から新加入)※2023年6月、契約満了に伴いストラスブール退団
- MF高畑奎汰(大分トリニータから完全移籍)
- MF中村駿(アビスパ福岡から完全移籍)
- MFレオ・ゴメス(ECヴィトーリアから完全移籍)
- MF平川怜(ロアッソ熊本から完全移籍)
- MFブルーノ・ジョゼ(グアラニから完全移籍)
- FW石田雅俊(大田ハナシチズンから完全移籍)
- FWマテウス・ペイショット(アトレチコ・ゴイアニエンセから完全移籍)
11位は、補強禁止処分を乗り越えJ1復帰を達成したジュビロ磐田。就任1年目の横内昭展監督は現有戦力を適材適所で起用し個々の強みを発揮した。J1へと舞台を移す2024シーズンに向けては積極的に補強を敢行。
新守護神候補には日本人選手随一の経験を持つ元日本代表GK川島永嗣、MF遠藤保仁が引退を決断したボランチには安定感がありセットプレーのキッカーとしても優れるMF中村駿と守備の安定感をもたらすMFレオ・ゴメス、FW後藤啓介がベルギーに旅立ったストライカーには190cmの高さを誇るFWマテウス・ペイショットを獲得した。ロアッソ熊本で心身ともに成長を遂げたMF平川怜も期待の1人だ。
最大のネガティブ材料は、左サイドハーフの位置から幾多のチャンスを作り出したMFドゥドゥ(2024シーズンの登録名はエドゥアルド)の移籍。これがなければB評価も考えられたほど不可欠な存在だった。穴を埋めることになりそうな新加入のMFブルーノ・ジョゼがどれほどフィットするかに注目したい。
10位:セレッソ大阪
移籍・加入による戦力評価:C
主な移籍選手(OUT)
- DFマテイ・ヨニッチ(契約満了に伴い退団)※去就未定
- DF松田陸(ガンバ大阪へ完全移籍)
- DF山中亮輔(名古屋グランパスへ完全移籍)
- DF丸橋祐介(サガン鳥栖へ完全移籍)
- MF鈴木徳真(ガンバ大阪へ完全移籍)
- MF原川力(FC東京へ完全移籍)
- MF西川潤(いわきFCへ期限付き移籍)
- FW藤尾翔太(町田ゼルビアへ完全移籍)
主な加入選手(IN)
- DF田中駿汰(北海道コンサドーレ札幌から完全移籍)
- DF登里享平(川崎フロンターレから完全移籍)
- MF平野佑一(浦和レッズから完全移籍)
- MFルーカス・フェルナンデス(北海道コンサドーレ札幌から完全移籍)
- FWヴィトール・ブエノ(アトレチコ・パラナエンセから完全移籍)
10位は、2023年12月にクラブ創設30周年を迎えたセレッソ大阪。センターバックのDFマテイ・ヨニッチ、サイドバックのDF松田陸、DF山中亮輔、DF丸橋祐介が次々と退団となり、ベテランDFの多くがチームを離れたことで一時代の終焉を感じさせた。ボランチのMF鈴木徳真やMF原川力、将来のエース候補だったFW藤尾翔太が完全移籍で去った影響も小さくないだろう。
新加入選手では、FWヴィトール・ブエノとDF田中駿汰に注目したい。前者はブラジル1部で主力を務めていた選手で、報道されている移籍金は約2~5億円とメディアによって幅があるものの、Jリーグでは高額であることは間違いない。トップ下に君臨し明確な数字を残すことが期待される。
北海道コンサドーレ札幌では右センターバックだった新加入のDF田中駿汰(C大阪ではMF登録)は、アンカーを担う可能性が高い。中央に陣取るこの新加入の2選手がどれだけ力を発揮できるかが分岐点となりそうだ。また、右サイドバックには盛り上げ役でもあるDF登里享平、ウイングやサイドハーフには突破力を備えるMFルーカス・フェルナンデスが加わった。獲得した人数は少数だが力のある選手が多く、主力の移籍が少ないため10位評価となった。
9位:川崎フロンターレ
移籍・加入による戦力評価:C
主な移籍選手(OUT)
- DF山根視来(ロサンゼルス・ギャラクシーへ完全移籍)
- DF登里享平(セレッソ大阪へ完全移籍)
- MFジョアン・シミッチ(サントスへ完全移籍)
- MF山村和也(横浜F・マリノスへ完全移籍)
- FWレアンドロ・ダミアン(契約満了に伴い退団)※去就未定
- FW宮代大聖(ヴィッセル神戸へ完全移籍)
主な加入選手(IN)
- DF丸山祐市(名古屋グランパスから完全移籍)
- DF三浦颯太(ヴァンフォーレ甲府から完全移籍)
- DFファン・ウェルメスケルケン・際(NECナイメヘンから完全移籍)
- MF山本悠樹(ガンバ大阪から完全移籍)
- MFゼ・ヒカルド(ゴイアスから完全移籍)
- MFパトリッキ・ヴェロン(バイーアから完全移籍)
- FWエリソン(サンパウロから完全移籍)
9位は、久しぶりに優勝争いに絡めず8位でシーズンを終えた川崎フロンターレ。毎年のように上位獲得や優勝を争ってきたチームは、1つの転換期を迎えた。12人と多数が退団し同数が加入。内訳をみると、上記に挙げた選手のうち30代の退団選手は4人、加入選手ではDF丸山祐市のみだ。経験を疎かにするわけでないが、若い風を招いたと言える。
新加入選手での注目は、MF山本悠樹と左サイドバック2人。ガンバ大阪から加わった山本は、川崎の強みであった中盤の構成力を引き上げる存在。DF登里享平が去った左サイドバックには、DF三浦颯太とDFファン・ウェルメスケルケン・際というスケールの大きな2人を加えた。昨季アンカーとして質の高さを見せたMFジョアン・シミッチと勝負強さと献身性は健在だったFWレアンドロ・ダミアンの後釜には、やはりMFゼ・ヒカルドとFWエリソンという外国籍選手2人を据えた。
トップ下を本職とするMFパトリッキ・ヴェロンを含めいずれもJリーグ初参戦となるが、川崎は獲得する外国籍選手の質の高さに定評があるクラブ。多少の主力移籍はあれど、即戦力を獲得したことで9位とした。