松本山雅FCのOBである田中隼磨氏が、昨年12月に同クラブのエグゼクティブアドバイザーを辞任した理由を公表。今月6日開催の明治安田J3リーグ第8節ツエーゲン金沢戦で1-6と大敗を喫し、霜田正浩監督の解任論、神田文之代表取締役社長の辞任論が湧き起こる中、クラブへの怒りをあらわにしている。


 田中氏は横浜F・マリノス名古屋グランパスを経て、2014シーズンから9年間にわたり松本でプレー。横浜FM時代のチームメイトである松田直樹氏の背番号「3」を受け継ぎ、2度のJ1昇格に貢献するなど、今もなお松本の功労者としてファン・サポーターから絶大な支持を得ている。

 引退後にはエグゼクティブアドバイザーとして松本に関わり続けていたものの、昨年12月に同職を辞任した田中氏。チームを離れたとはいえ、金沢戦後にX(旧ツイッター)で「松本山雅に反町康治さんや田中隼磨さんが戻ってきてほしい」「山雅は反町さんや隼磨さんがいた頃のようなチームには戻れないのかな?」といった声に対して、「戻れます」と反応。「私と反さんと同じ考えをもち松本の流儀がどういうことなのかを理解して言動できる人間がいなければいけません。松本山雅ファン、サポーターのみんながどうして応援、後押ししてくれているのかをピッチ内外で示さなければ戻れません」と私見を述べていた。


 金沢戦後の投稿により、ファン・サポーターの間で田中氏の復帰待望論が加速。同氏とクラブの関係にも注目が集まる中、本人は8日に再びXを更新。「本当のことをSNSで話すべきか非常に悩みましたが、きちんと説明することが皆様に対しての誠意、そして今後の山雅がより良い方向に進んで欲しいという希望を持ち、今回皆さまに対し説明することを決意しました」として、エグゼクティブアドバイザー辞任の理由を以下のように説明している。

 「2023年12月23日に行われたサポーターミーティングで、私がクラブを辞めた経緯についてクラブ側が説明を行いました。内容は『コーチが試合後、サポーターに対して失礼なことを言ったことに対し、ダメなものはダメという認識はクラブも田中氏も同じだった。そのコーチに対して11月に厳重注意をした』と言うものです。
しかし、この説明は私がクラブから聞いたこと、話したこととは全く違います」

 「私はクラブに対し、何度も訂正をお願いしてきましたが、クラブは訂正に応じてくれませんでした。私は、問題になったコーチの発言はファン、サポーターに対してのものでありダメな暴言である、間違っていると感じ、12月7日クラブと話し合いの場を持ちました。その時のクラブの回答は、『問題の発言はファン、サポーターに対してのものではない、中に向けて発したことだから、逆にどう処分したら良いか教えてよ。処分なんてできない』というものでした」

 「私は『クラブとしてきちんとした処分をしないとその人の為にもならない、クラブの為にもならないのでしっかり教育をして欲しい』と何度も繰り返し伝えました。状況は違いますが、以前山雅のアカデミー選手がアカデミーコーチに対し、今回厳重注意を受けたトップチームのコーチと同じ発言をした際、クラブはそのアカデミー選手に対し、厳重注意ではなく退会勧告を言い渡しました」

 「トップチームのコーチには厳重注意に留まり、未来あるアカデミー選手には退会勧告という現状に憤りを感じてなりません。人によって処分を変えてしまえば、整合性がなくなり、クラブの規律も乱れてしまうということもずっと伝えてきました。
私はこのコーチを辞めさせて欲しいとは一切言っておりません。そのコーチのため、クラブの為にもきちんとした処分をしたほうが良いということを伝えました」

 「しかし、クラブは動いてくれなかった為、私はクラブを辞める決意をしました。辞めた理由は他にもまだありますが、このことが辞めるきっかけになった理由、経緯です。ところが、突然サポーターミーティングにおいて『コーチがファン、サポーターに向けて失礼なことを言った、11月に厳重注意処分をしていた、ダメなものはダメをいう認識はクラブも彼も同じだった……』など全く違う説明がされていて大変驚きました。ダメなものはダメと言ったのは私で、クラブではありません」

 最後に「クラブ側がYouTubeに上げているサポーターミーティングの発言を訂正し、これからは規律を守り、アカデミーを含めすべてにおいてきちんとした対応をとってくれることを願います」と、クラブの改善に期待を寄せた田中氏。今回の説明に対しては、ファン・サポーターから「クラブの対応が間違っている」「田中さんがこんな想いをするなんて寂しい…」「とても誠意を感じましたし、腑に落ちました」といったメッセージが寄せられている。