2024明治安田J2リーグは第16節までが終了。今季もシーズンの3分の1を過ぎ中盤戦へと移行している。
現時点では昨年J1昇格まであと一歩と迫った清水エスパルスが首位。次いで昨年惜しくもプレーオフ進出を逃したV・ファーレン長崎が2位でリーグを牽引し首位争いを繰り広げている。そんな上位勢を含め、今季もJ1クラブからJ2クラブへ期限付きで加入している選手たちの活躍が目覚しい。

昨シーズン、J2で優勝を果たした町田ゼルビアではFW藤尾翔太、プレーオフを勝ち上がり16年ぶりにJ1復帰を果たした東京ヴェルディではFW染野唯月やMF中原輝といった期限付き移籍中の選手たちが大きくチームに貢献していた。まだまだ長いシーズン、今季も昨年同様に期限付きでJ2へやってきた選手たちの働きが上位争いを左右する要素となることだろう。

ここでは、J2リーグで今季序盤戦から定位置を掴みチームを支えている期限付き移籍中の選手を5名紹介していく。


J2リーグ序盤戦で大活躍!期限付き移籍中の選手5選【2024】

中村亮太朗(清水エスパルス)

現在J2で首位を走る清水エスパルス。昨季J1昇格を逃した影響もあってか、複数の主力選手がJ1クラブへと移籍したものの期限付きも含めて新加入選手の活躍も大きく開幕から好調を維持している。今季から新天地で躍動する選手の1人が鹿島アントラーズから期限付きで加入したMF中村亮太朗だ。

昨季は自身がプロキャリアをスタートさせたヴァンフォーレ甲府へ期限付き移籍していた中村。リーグ戦はもちろん、AFCチャンピオンズリーグでも経験を積み今季は清水でその技術の高さを発揮している。開幕からMF宮本航汰とボランチでコンビを組み、長短のパスで攻撃を活性化。守備面でも素早い切り替えでのボール奪取など、攻守両面で多くの見せ場を作っている。


第15節の鹿児島ユナイテッド戦ではフリーキックを頭で合わせて移籍後初ゴールもマーク。待望のゴールも生まれたことで、個人としてもさらに勢いづくことは間違いない。ますます期待が高まるであろう中村の活躍から目が離せない。

J2リーグ序盤戦で大活躍!期限付き移籍中の選手5選【2024】

田中隼人(V・ファーレン長崎)

昨季はプレーオフ進出を逃したV・ファーレン長崎。それだけに、昇格への想いが一段と増した中で開幕を迎えたに違いない。今季はスタートこそ1分1敗と後れを取ったが、第3節からは5連勝を含む14戦負けなしと一気に遅れを取り戻し現在は2位につけている。昨年のJ2得点王FWフアンマ・デルガドのほか、FWエジガル・ジュニオ、MFマテウス・ジェズスら外国籍選手の働きが目覚しい中、柏レイソルから期限付きで加入したDF田中隼人もまた大きな存在感を放っている選手の1人だ。


188cmというサイズももちろん魅力だが、目を見張るのは足元の技術と前方へ差し込む意識の高さ。正確かつ鋭い縦パスで後方から攻撃にリズムをもたらし、第9節のロアッソ熊本戦では正確な浮き球パスからアシストもマーク。前線に強力な選手が揃う陣容なだけに、シーズンを通して連携面でさらなる充実が図れれば攻撃の起点としても一層の活躍が期待できる。首位との勝ち点差「4」と射程圏内に捉える長崎。昇格そして優勝に向けて、田中には今以上に攻守への貢献が求められる。

J2リーグ序盤戦で大活躍!期限付き移籍中の選手5選【2024】

西川潤(いわきFC)

昨シーズンはクラブ史上初のJ2リーグに挑んだいわきFC。J3からカテゴリーを上げた初年度は、最終18位と苦しい戦いを強いられた。
それでも夏場は7戦負けなし、シーズン終盤には昨季タイトルを獲得した町田ゼルビアから白星を挙げるなど一年を通して十分に存在感を見せていた。チームとして躍動した影響もあってか、冬には主力選手の多くがJ1やJ2他クラブへ流出。代わりに若く有望な選手たちを多く獲得したが、主軸が抜けた懸念を抱えての開幕だったことは間違いないだろう。

ところが、いざシーズンが始まってみると第16節終了時点で7位と躍進を果たしている。そんなチームの中心にいるのが、セレッソ大阪から期限付きで加入したMF西川潤だ。ドリブルでの推進力に加え、丁寧なラストパスや精度の高いミドルシュートで相手守備陣を脅かし攻撃を活性化。
ポテンシャルを考えればここまで2ゴール2アシストと数字で見ると若干の物足りなさはあるが、チームの好調要因の1つであることは間違いない。パリ五輪世代の1人でもある西川。勝負の1年で好スタートを切っただけに、さらに個人としての評価を高められるか注目だ。

J2リーグ序盤戦で大活躍!期限付き移籍中の選手5選【2024】

住吉ジェラニレショーン(清水エスパルス)

2023シーズン終了後、守備の要でありキャプテンでもあったDF鈴木義宜が京都サンガへ移籍してしまった清水エスパルス。今季は守備陣の再構築が必要となっていたが、サンフレッチェ広島から期限付きで獲得したDF住吉ジェラニレショーンの存在によってより攻撃的な守備陣へと変貌を遂げた。

圧倒的な身体能力の高さで前線へ供給されるボールを弾き返し、相手FWが起点になることを許さない。また、アグレッシブにボールを奪いに行くプレーで実際にゴールの起点にもなっている。
第9節のヴァンフォーレ甲府戦では、ゲームの最終盤に値千金の先制点という形で移籍後初ゴールもマーク。

守備で見せる空中戦の高さに加え、優れたキッカーのそろう清水では今後もセットプレーを中心に得点源としても大いに期待できる。すでに清水のDF陣にとって、いなくてはならない選手の1人となっている住吉。早くもシーズン終了後の去就を心配するファンやサポーターも多いのではないだろうか。

J2リーグ序盤戦で大活躍!期限付き移籍中の選手5選【2024】

福森晃斗(横浜FC

今季J1からJ2クラブへ期限付き加入した選手が多くいる中でも抜群の存在感を示しているのが、北海道コンサドーレ札幌から横浜FCへと加入したDF福森晃斗だ。もともと高精度の左足には定評があり、セットプレーでのアシストはもちろん直接フリーキックから美しいシュートを数多くゴールネットへ突き刺してきた。

久々にJ2クラブでシーズンを迎えた今季、ここまでゴールこそないもののその左足の威力は健在。セットプレーを中心に質の高いキックを披露し、すでに8アシストとチームの勝利に大きく貢献している。今季の横浜FCには、開幕直後に怪我を負ってしまったFW森海渡も含め、FW櫻川ソロモンや開幕後に加入したFW髙橋利樹など高さと強さを持ち合わせるターゲットが多く在籍しており、誰が出場していても福森のキックが活きる環境となっている。

むしろ、所属元の札幌が得点力不足に陥っている現状を考えれば、今すぐにでも帰ってきてほしい存在ではないだろうか。1年でのJ1復帰を目指す今季の横浜FC。その目標達成は福森の左足に懸かっていると言っても過言ではない。