ドイツ代表MFトニ・クロース(レアル・マドリード)は、引退宣言をしてUEFA欧州選手権(ユーロ2024)に臨んだ。ノックアウトステージで敗れれば、それが現役最後の試合になることを意味していた。
試合前にはスペイン側が、この試合がクロースの現役最後の試合になると宣言していたが、それが現実となってしまった。前哨戦もあってかクロースはこの試合で並々ならぬ気合の入りようだったが、奇しくもこれがクロースの引退を早める要因になってしまったのである。
ここではユーロ2024準々決勝ドイツ対スペインにおける現役最後のクロースの気合の様を振り返ろう。
67分には、オルモが裏に走り込み突破をはかると、クロースが手で掴んで今度はイエローカードが提示された。アディショナルタイムに入ってからは自陣ペナルティエリアの目前で、明らかにスペイン選手の臀部にニーパッドを食らわせたのだが、ノーファウルだった。
得点機で、まったくボールと関係ない部位に強くタックルしているためイエローカードもありえそうなシーンだったが、スペインの選手はなかなか倒れなかった。もしイエローカードなら2枚目で退場になるところだ。ドイツのホームであり、クロースの最後の試合になる可能性がある。
しかし、スペインの選手もドイツの選手も怒るような素振りはない。敵と味方に分かれて真剣勝負をしながらも、クロースという偉大な一人の選手の往生に最大限のリスペクトを払っていた。
クロースは自分の現役最後になるかもしれないこの試合で、最初から飛ばしていた。延長戦はまったく計算に入れていなかったのだ。34歳のベテランらしくないが、ペース配分しないで燃え尽きることだけを考えていたのだろう。
そしてクロースのパスを受けたFWトーマス・ミュラー(バイエルン・ミュンヘン)がクロスを入れると、FWニクラス・フュルクルク(ボルシア・ドルトムント)が頭で合わせるも枠の右に外れた。これが、クロース最後のハイライトプレーとなった。得点にはつながらなかったが、ドイツはしっかりとシュートまでもっていった。
試合後は疲労感をみせつつ、晴れ晴れとした表情と感涙が混ざったような複雑な表情をみせたクロース。ピッチでスペインの主将であるFWアルバロ・モラタ(アトレティコ・マドリード)と長い抱擁を交わした。チームは違えど、2人ともマドリードの住人だ。
現役時代の最後の所属となったレアル・マドリードでは、UEFAチャンピオンズリーグ(CL2023-24)で優勝を果たした。しかし人生はそんなに全てがうまくいくものではない。代表では志半ばで敗れた。しかし、この試合でクロースが完全燃焼したことは誰の目にも明らかだった。母国ドイツで開催されたユーロを引退の場所に選んだクロース。この無念は、次のキャリアの原動力になることだろう。
ペドリと同じトップ下のポジションでプレーしたため、オルモはクロースとも多くのマッチアップがあった。またブンデスリーガでプレーするオルモは、ドイツ代表を知り尽くしている。これほど頼もしいスーパーサブもいないだろう。
クロースは自分のファウルで途中出場することになったオルモの大活躍を目の当たりにした。そして結果的に、これが自身の現役最後の試合になってしまった。オルモは、クロースのあまりの意気込みのため、早々と召喚してしまった大魔神だったのかもしれない。
優勝してクロースのために現役引退の花道を作ることを目指していたドイツだったが、実際には準々決勝で1-2でスペイン代表に敗れ、8強でユーロを去ることになった。
試合前にはスペイン側が、この試合がクロースの現役最後の試合になると宣言していたが、それが現実となってしまった。前哨戦もあってかクロースはこの試合で並々ならぬ気合の入りようだったが、奇しくもこれがクロースの引退を早める要因になってしまったのである。
ここではユーロ2024準々決勝ドイツ対スペインにおける現役最後のクロースの気合の様を振り返ろう。

立ち上がり早々にペドリに強烈タックル
クロースはドイツの守備的MFとして先発した。試合4分に早速、左足で強烈なタックルをすると、スペインのMFペドリ(バルセロナ)は膝が歪み宙を舞い回転しながら落下する。やがてペドリは立ち上がれなくなり、8分にFWダニ・オルモ(ライプツィヒ)と交代して退いた。ファウルにはなったが、クロースにはイエローカードも提示されずにスペインは早々と交代枠を使った。67分には、オルモが裏に走り込み突破をはかると、クロースが手で掴んで今度はイエローカードが提示された。アディショナルタイムに入ってからは自陣ペナルティエリアの目前で、明らかにスペイン選手の臀部にニーパッドを食らわせたのだが、ノーファウルだった。
得点機で、まったくボールと関係ない部位に強くタックルしているためイエローカードもありえそうなシーンだったが、スペインの選手はなかなか倒れなかった。もしイエローカードなら2枚目で退場になるところだ。ドイツのホームであり、クロースの最後の試合になる可能性がある。
笛を吹くプレッシャーも並大抵ではないだろう。審判も人の子だ。

けいれんで度々試合が中断
延長戦に入って数分後、クロースは脚がけいれんして倒れ込んで、なかなか立ち上がれない。しかし、ドイツはすでに交代枠を使い切っており、皆に促されてどうにか立ち上がる。112分にクロースは、再びけいれんでピッチに倒れ込んだ。しかし、スペインの選手もドイツの選手も怒るような素振りはない。敵と味方に分かれて真剣勝負をしながらも、クロースという偉大な一人の選手の往生に最大限のリスペクトを払っていた。
クロースは自分の現役最後になるかもしれないこの試合で、最初から飛ばしていた。延長戦はまったく計算に入れていなかったのだ。34歳のベテランらしくないが、ペース配分しないで燃え尽きることだけを考えていたのだろう。

引退を覚悟した瞬間
クロースは、試合119分にスペインの2点目が入ると顔を横に振った。引退の時を覚悟したのだろうか。終了間際、中央から右サイドにパスを散らすが軸足も蹴る足もぎこちない。けいれんしそうなのを抑えながら無理してのプレーだ。そしてクロースのパスを受けたFWトーマス・ミュラー(バイエルン・ミュンヘン)がクロスを入れると、FWニクラス・フュルクルク(ボルシア・ドルトムント)が頭で合わせるも枠の右に外れた。これが、クロース最後のハイライトプレーとなった。得点にはつながらなかったが、ドイツはしっかりとシュートまでもっていった。
試合後は疲労感をみせつつ、晴れ晴れとした表情と感涙が混ざったような複雑な表情をみせたクロース。ピッチでスペインの主将であるFWアルバロ・モラタ(アトレティコ・マドリード)と長い抱擁を交わした。チームは違えど、2人ともマドリードの住人だ。
現役時代の最後の所属となったレアル・マドリードでは、UEFAチャンピオンズリーグ(CL2023-24)で優勝を果たした。しかし人生はそんなに全てがうまくいくものではない。代表では志半ばで敗れた。しかし、この試合でクロースが完全燃焼したことは誰の目にも明らかだった。母国ドイツで開催されたユーロを引退の場所に選んだクロース。この無念は、次のキャリアの原動力になることだろう。

スペインのスーパーサブ、オルモという存在
クロースのタックルにより、早くも試合4分に出番がまわってきたスペインのオルモは、この試合で1得点1アシストを決めた。ペドリと同じトップ下のポジションでプレーしたため、オルモはクロースとも多くのマッチアップがあった。またブンデスリーガでプレーするオルモは、ドイツ代表を知り尽くしている。これほど頼もしいスーパーサブもいないだろう。
クロースは自分のファウルで途中出場することになったオルモの大活躍を目の当たりにした。そして結果的に、これが自身の現役最後の試合になってしまった。オルモは、クロースのあまりの意気込みのため、早々と召喚してしまった大魔神だったのかもしれない。
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