サッカーの枠を越えて名声を不動のものにしているロナウドは、選手契約以外にスポンサー収入もあり、世界で最もお金を稼ぐアスリートとも言われている。あらためて何が凄いのか、ロナウドのプレースタイルと武器について考察してみよう。
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心技体と三拍子揃っている
ロナウドは、高い身体能力とテクニック、そして情熱を兼ね備えているのが強みだ。サッカーへの思い入れは並大抵ではなく、試合後ならともかく試合の最中にも涙を流してしまうこともある。しかし、その影響でプレーに乱れが生じないから不思議だ。スピードがあり、右利きだが左足のキックも遜色がなく、背丈があるためヘディングも強く、これといった死角が見当たらない。縦に抜け出してクロス。あるときはドリブルでカットインからシュート。また、あるときはゴール前で競り合ってヘディングシュート。相手にとっては、なかなかに対策が難しい厄介な選手だ。

テクニックの引き出しが多い
ロナウドは、とにかく相手を惑わせるトリッキーなテクニックの引き出しが多い。シザーズ(またぐフェイント)。エラシコ(足アウトサイドで触れて一連の動きでインサイドへの切り返し)。ラボーナ(軸足の後ろ側で交差させるキック)。
とりわけ巧みなのがドラッグバック(足の裏のコントロール)だ。足の裏で細かく触ってヒールキックすることもある。足の裏はボールに触れている時間が長くなるため、究極に柔らかいタッチができる。ボールを引き寄せて360度あらゆる方向に転換できるため、相手にとっては予測が難しい。難易度が高い技だが、ロナウドはスピードに乗った状態でも足の裏で高水準のコントロールができる稀有な能力を持つ。
また、187cmと長身だが、驚くほど細かく素早いステップを得意とする。身体が大きいと動作が鈍くなる傾向があるが、ロナウドの膝から下の動きは時には肉眼では捉えられないほどに高速回転する。
ブレ球もロナウドの大きな武器になっている。キックする際に足の甲全体で押し出すようにボールを捉えることで無回転になり不規則な動きをするため、GKは球の軌道が読めずに対処が極めて難しくなる。無回転シュートを意図的に蹴れるのは、プロ選手でも限られている。
すね当てが下がってこないように足首にホワイトテープを巻いているが、キックの際に当たってミスしないように配慮してのことだ。とりわけ無回転ボールは、ちょっとした不具合でも成功しないため細心の注意を払っているのだろう。

徹底的な体調管理と身体的な素質
ロナウドはキャリアが進むにつれて胸板が厚くなり大腿筋が隆々と大きくなった。肉体のコンディショニングに余念がなく、これは努力の賜物だ。パーティーに参加しても、お酒を口にしないことから、つまらない男だと思われることもあるようだ。しかし、負けず嫌いのロナウドにとっては、自分の気持ちが緩んで試合に敗れることのほうがよっぽどつまらないに違いない。
規則正しい生活スタイルや栄養管理を徹底し、チームの練習以外にも自主トレーニングを行っている。サッカー選手は体脂肪率10%未満が理想と言われるが、ロナウドの腹筋は常に割れている状態だ。度々、ひざを故障しているが現在も高いパフォーマンスを維持している。
実はロナウドの曽祖母はカーボ・ヴェルデ出身でロナウドにはアフリカ系の血がわずかに流れている。類まれな身体的素質の秘密は、アフリカにあるのかもしれない。

環境に適応し結果を出し続ける力
ロナウドは環境への適応能力も高いことを証明している。これまで所属した全てのクラブで結果を出してきたロナウド。出身国のポルトガル、イングランド、スペイン、イタリア、サウジアラビア。異なる国々で活躍するためには、サッカーの実力だけではなく生活環境に適応する能力も必要になってくる。
スペインやイタリアはポルトガルと言語や環境が似ている部分もある。しかしイングランドはだいぶ勝手が異なり、サウジアラビアは全くの別世界だ。しかし、ロナウドはうまく順応している。
ロナウドは大西洋に浮かぶポルトガル領マデイラ諸島の出身だが、子供時代に才能が認められて名門スポルティングCPのアカデミーに加入するためにリスボンに上京した。しかし、田舎なまりがあるためにいじめられた。逆境をはねのける強さや環境が異なる様々な国で高いパフォーマンスを維持する基礎は、少年時代に首都に移住した経験により育まれたものだろう。