直近2年連続で3位となっているサンフレッチェ広島、連覇を狙うヴィッセル神戸、新興勢力の町田ゼルビアと3クラブを中心に優勝争いが注目される中、残留争いは次節にも新たな局面を迎えそうだ。
現時点では、勝ち点40に届いていない13位浦和レッズ以下8クラブに降格の可能性が高いと言えるが、2試合消化の少ない浦和は他クラブと比べ脱出のチャンスが多いことから残留のハードルは高くないと見られる。つまり、14位アルビレックス新潟以下の7クラブから今季のJ2降格チームが出る可能性は極めて高いと言えよう。ここでは、そんな7クラブの残り試合について展望する。

次節にも降格決定か:サガン鳥栖(現20位)
残りの対戦カード
- 京都、町田、横浜FM、名古屋、磐田
今季の鳥栖は、開幕して間もなく3連敗を含む6戦未勝利と出遅れ、その後も勝利のあとには連敗が続くという厳しい展開に。夏にはそんな状況を打破するために川井健太監督の解任に踏み切ったが状況は好転せず、監督交代後は未だ1勝もできていない。さらに今夏は、MF河原創やMF長沼洋一といった主力選手が相次いで流出。大幅な戦力ダウンも不調に拍車をかけた要因と言えよう。
鳥栖は次節、残留争いのライバルである京都との直接対決を控えている。この京都戦で敗れ、さらに15位湘南と16位柏が引き分け以上で終えるとその時点で降格が決定する。

後半戦好調も厳しい:北海道コンサドーレ札幌(現19位)
残りの対戦カード
- 名古屋、C大阪、湘南、広島、柏
ただし、消化試合数の違いから暫定で16位の柏と17位京都との勝ち点差は開く可能性もある。その中で、次節以降の対戦では湘南、柏と残留を争うライバルとの対戦も控えている。後半戦の流れのまま、この2試合を勝利で終えられれば残留の可能性は見えてくるが、そこまでの名古屋グランパス戦とセレッソ大阪戦で現状の勝ち点差を縮めることができなければ直接対決の構図は出来上がらない。
残りの対戦カードにおける今季の戦績は3分2敗と勝利がない。しかし、前半戦の札幌とはひと味違うチームになっていることも事実だ。最終盤に残るライバルとのゲームまで残留の可能性を残すためにも、第34節名古屋戦と第35節C大阪戦での勝ち点積み上げが必須となる。

J2へ逆戻りは回避したい:ジュビロ磐田(現18位)
残りの対戦カード
- C大阪、神戸、G大阪、横浜FM、FC東京、鳥栖
残留圏にいる中で勝ち点の並んでいる15位湘南から17位京都までのうち、唯一湘南とは消化試合数が異なることから見た目よりも勝ち点差を詰める要素が残っている。とはいえ、残りの対戦カード6つのうち4つがトップハーフ。勝ち点3はおろか引き分けに持ち込むことも簡単ではない相手ばかりだ。さらに残りのカードにおける今季の戦績も3分3敗と勝ちがなく、同じ結果で終えれば仮に残留圏にいるクラブが全敗したとしても追いつけない。
下位勢との直接対決が最終節(鳥栖戦)のみとなっている点も、磐田の状況が苦しいと言える要素。未消化の横浜F・マリノス戦も含め、上位勢との対戦でも勝ち点を稼げなければ残留は不可能となる。カギを握るのが直近の4戦では負けなしも後半戦に入り4連敗を含む8戦未勝利と不安定さを見せたC大阪と、同じく上位につけながら夏以降9戦未勝利で大きく失速したガンバ大阪の2つの対戦カード。今季調子の上がってこない横浜FM戦と最下位鳥栖戦での勝利を絶対条件に、後半戦不調を見せた大阪の2チームからどこまで勝ち点を稼げるかが分かれ目となりそうだ。

攻撃力爆発も…:京都サンガ(現17位)
残りの対戦カード
- 鳥栖、広島、川崎、鹿島、町田、東京V
残りの対戦カードでは次節の鳥栖戦以降、首位サンフレッチェ広島や3位の町田ゼルビア、4位につける鹿島アントラーズと上位勢との対戦が大半を占める。
チームの課題は明白に失点の多さ。前半戦とは異なり、相手と打ち合えるだけの火力はついたがそれでもなお複数失点のゲームが続いている。好調な時期も綱渡りなゲーム展開が多く、一歩間違えば勝ち点を取りこぼす試合も複数あった。直近の失速と好調な中でも見られた失点の多さは、上位勢を相手にする際大きな不安要素。最低でも勝ち点1を積み上げ続けられる守備の改善がなければ、降格圏に呑まれる可能性は高い。

中位勢との連戦がカギ:柏レイソル(現16位)
残りの対戦カード
- 町田、浦和、福岡、新潟、神戸、札幌
残りの対戦カードでは、町田、神戸と優勝争いの只中にいるクラブとの対戦を残している。
浦和レッズ、アビスパ福岡、アルビレックス新潟の3チームは直近5試合の中に連敗を含んでいる。特に浦和は無得点での3連敗、新潟は大量失点での4連敗と大きな課題を残しての連敗となっており付け入る隙は大いにあるだろう。上位勢との対戦で苦しい分、中位勢から確実に勝ち点を挙げることでむしろ浮上のきっかけとしたいものだ。

連勝で勢いに乗る:湘南ベルマーレ(現15位)
残りの対戦カード
- 広島、FC東京、札幌、横浜FM、神戸
そんな湘南だが、消化試合数の違いから勝ち点で並ぶ京都や柏と比較して不安要素を抱えている。現在降格のボーダーラインにいる18位磐田に加え、17位京都と16位柏の3チームは湘南と比較して1試合消化が少ない。未消化試合で勝ち点3を積み上げて来るならば一気にプレッシャーは跳ね上がる。
上位食いの勢いそのままに、次節広島戦でも連勝を伸ばせれば残留は大きく近づく。得失点差でも下位のチームとは差があることから、勝ち点で追いつかれても不安は少ないと言えよう。大量失点を避け、たとえ1ずつでも着実に勝ち点を積み上げて逃げ切りを図りたい。

守備の立て直しが急務:アルビレックス新潟(現14位)
残りの対戦カード
- 横浜FM、東京V、柏、G大阪、浦和
唯一残留を争うライバルたちと比べて優位性があるとすれば残りの対戦カードか。下位6クラブがそれぞれ優勝争いを繰り広げる広島、神戸、町田のいずれかとの対戦を残す一方で、新潟は5位G大阪との対戦はあるものの中位勢以下がメインとなる。もちろん大量失点で連敗中の現状では決して安心できない。しかし、他クラブが上位勢を相手に勝ち点を取りこぼすうちに、引き分けでも現時点での勝ち点差を維持あるいは広げられる点は大きなアドバンテージと言える。
ただし連敗を引きずってしまえば、消化試合数に違いがあることもあり現時点での勝ち点差は必ずしも安全圏とは言えない。連敗ストップを目指し戦う次節の対戦相手は、同じくここ最近のゲームで複数失点に悩む横浜FM。攻撃力に定評があるチームなだけに、この中断期間で守備の立て直しが図れているかの目安にもなり得ることから、残留に向けてカギとなる試合になるだろう。まずはここで連敗を止め再び守備の自信を取り戻すためにも、次節の結果が持つ意味は大きい。