清水エスパルスの優勝で幕を閉じた2024明治安田J2リーグ。J1への自動昇格圏争い、昇格プレーオフ圏をめぐる争い、そして残留争いと上位下位問わず熱戦が繰り広げられた。
また、プレーオフ準決勝では6位ベガルタ仙台が3位V・ファーレン長崎に、5位ファジアーノ岡山が4位モンテディオ山形にそれぞれ勝利するという下剋上も起きた。

長いシーズンを通して数々のドラマが生まれるなか、ゲーム終盤でのゴールが勝敗を分けるケースなど1試合の中で見られる劇的瞬間も少なくない。そしてそれは、ファンやサポーターにとって印象深く記憶に残るものに違いない。ここでは、2024シーズンのJ2リーグの中からそんな劇的ゴールによって決着のついたゲーム10試合を紹介する。

劇的ゴールで幕切れとなった試合10選【J2リーグ2024】

第4節:水戸ホーリーホックvs徳島ヴォルティス(1-2)

劇的勝利で初白星

開幕から3連敗と苦しい立ち上がりとなった2024シーズンの徳島ヴォルティス。第4節は水戸ホーリーホックとのアウェー戦に臨んだ。前節と同様に幸先良く立ち上がりの時間帯に先制点を奪い前半を折り返すも後半は立ち上がりに失点。その後は互いに決定機を作りながらも決めきれないまま時計の針が進んだ。

そして迎えた後半アディショナルタイム。ラストプレーという時間帯で待望の瞬間が訪れる。セットプレーの場面で、ゴール前へと供給されたボールに対し水戸のGK松原修平が拳を突き出し弾こうとするも落下位置を見誤ったかボールは背後へ。そのままゴールネットを揺らしタイムアップ、徳島は開幕から4戦目にして今季初の勝ち点を白星で手にした。

劇的ゴールで幕切れとなった試合10選【J2リーグ2024】

第11節:ジェフユナイテッド千葉vsブラウブリッツ秋田(1-2)

ゲーム最終盤の2連続得点

4戦負けなしでジェフユナイテッド千葉のホームへ乗り込んだ第11節のブラウブリッツ秋田。しかし、今季もFW小森飛絢ら強力な攻撃陣を擁する千葉に多くのチャンスを作られる難しいゲームとなった。
後半の立ち上がりには数的不利にも立たされ、さらに後半なかばの時間帯にはついに堅守を破られ先制を許してしまった。

そんな敗色濃厚ムードのなか、途中投入されたばかりのFW半田航也が強烈なミドルシュートで土壇場に同点とすると後半アディショナルタイムにはPKを獲得。残念ながらこのPKは相手守護神にセーブされるも直後のコーナーキックからこちらも途中投入のDF才藤龍治が頭で合わせついに逆転。ゲーム終盤に交代選手の連続得点で白星をもぎ取った。

劇的ゴールで幕切れとなった試合10選【J2リーグ2024】

第13節:藤枝MYFCvsザスパ群馬(2-1)

エースが魅せた

6試合ぶりの勝利を挙げた第12節からシーズン2度目の連勝を狙う藤枝MYFC。第13節はザスパ群馬をホームに迎えた。しかし、互いにスコアレスで折り返すも後半開始早々にスローインの流れの中から先制点を許してしまう。

そんな難しいゲーム展開でチームを救う働きを見せたのが、アルビレックス新潟から期限付きで加入していたFW矢村健だった。失点して間もない時間帯、クロスに技ありのヘッドで合わせてシーズン初ゴールで同点をマーク。さらに後半アディショナルタイムには混戦の中で右足を振り抜き土壇場での逆転ゴールも決め、目を覚ましたエースの働きにより白星を掴んだ。

劇的ゴールで幕切れとなった試合10選【J2リーグ2024】

第13節:ベガルタ仙台vsレノファ山口(2-1)

途中出場からPK獲得の大仕事

2連敗で第13節のレノファ山口戦を迎えたベガルタ仙台。この日も前半なかばの時間帯に先制点を許す展開となった。それでも、前半のアディショナルタイムにFW中島元彦のゴールで振り出しに戻し折り返した。だが、後半は決め手に欠き、互いに得点を挙げられないまま試合終了の笛を待つ時間帯へと突入。


そんなゲーム最終盤で仙台指揮官の采配が的中する。投入されたばかりのMF名願斗哉が左サイドから果敢な仕掛けでエリア内へ侵入して倒されPKを獲得。ベテランFW中山仁斗がこれを冷静に沈めて逆転に成功した。若手とベテランが限られた時間の中で起用に応え、チームに3試合ぶりの勝利をもたらした。

劇的ゴールで幕切れとなった試合10選【J2リーグ2024】

第18節:横浜FCvs愛媛FC(2-1)

セットプレーで勝利を呼び込む

シーズン初の3連勝を目指す横浜FCは、第18節で愛媛FCをホームに迎えた。試合は序盤から横浜が攻勢に出て、セットプレーも含め決定機も作ったがゴールを割ることができずに時間が進む。すると前半終盤に入った時間帯には愛媛に先制点を奪われてしまう。

しかし、好調なチームは先行されても揺るがなかった。後半早い時間にMF山根永遠の強烈なミドルシュートで同点とすると、ゲーム終了間際には再三高さを活かしてチャンスに絡んでいたFW櫻川ソロモンがコーナーキックから頭で合わせて逆転ゴールをマーク。得意な形からの得点で連勝を伸ばすことに成功した。

劇的ゴールで幕切れとなった試合10選【J2リーグ2024】

第20節:鹿児島ユナイテッドvsモンテディオ山形(2-1)

久々の勝利を手にする逆転劇

8試合勝利がない鹿児島ユナイテッドは第20節でモンテディオ山形をホームに迎えた。序盤から山形にチャンスを作られる展開の中で、前半なかばにはミドルシュートで先制点を許す厳しいゲームとなった。後半に入ってからもゴールを脅かされる場面も複数あり、鹿児島は決定機をなかなか作れない状況が続いた。

しかし、交代選手が流れを大きく変える。
ゲームも終盤に入った時間帯、途中出場のFW有田光希が同点ゴールを挙げるとアディショナルタイムにはセットプレーを同じく途中出場のDF井林章が頭に合わせて逆転ゴールをマーク。起用に応える働きを示した選手の活躍により、9試合ぶりの勝利を掴み取った。

劇的ゴールで幕切れとなった試合10選【J2リーグ2024】

第23節:いわきFCvs大分トリニータ(0-1)

10試合ぶりの勝利

9試合未勝利かつ4試合ノーゴールと苦しむ中、第23節でいわきFC戦に臨んだ大分トリニータ。ゲーム序盤から積極的に得点に狙う姿勢を見せたがゴールを割ることができず、後半に入ってからは反対にいわきの攻撃を受ける時間も増えあわや失点という場面も多くあった。

だが、ゲーム最終盤耐え続けた大分にチャンスが巡ってくる。途中出場のMF保田堅心が中央で起点となりボールを右に展開。そこからのクロスをFW鮎川峻が折り返し最後はFWキム・ヒョンウが押し込み先制に成功。土壇場で相手守備陣を翻弄するような見事な崩しを披露して、実に10試合ぶりとなる勝利を掴み取った。

劇的ゴールで幕切れとなった試合10選【J2リーグ2024】

第25節:横浜FCvsジェフユナイテッド千葉(2-1)

終了間際の連続ゴール

10試合無敗と好調を維持したままシーズン後半戦も走り続ける横浜FCは、第25節でジェフユナイテッド千葉との上位対決に臨んだ。今季最初の対戦では0-1と接戦の末敗れた相手に対し調子の良さを見せつけたいところだったが、前半終了間際に先制を許してしまう。

巻き返しを図りたい横浜だったが、後半も千葉の守備陣が高い集中力を見せてなかなかゴールを割ることができない。しかし、後半アディショナルタイムにゲームが動く。途中出場のFW村田透馬が隙間を通すようなミドルシュートで同点とすると、直後にはFW伊藤翔が冷静にゴールへ流し込むシュートで逆転ゴールをマーク。終了間際の連続得点で無敗継続に成功した。


劇的ゴールで幕切れとなった試合10選【J2リーグ2024】

第26節:大分トリニータvsロアッソ熊本(2-1)

今季前半戦と同様の終盤決着

シーズン終盤に入ろうかという時期に来ても調子が上向かず下位に苦しむ大分トリニータは、第26節で同じく低迷するロアッソ熊本をホームに迎えた。今季第12節で対戦した際には、大分がゲーム終盤のゴールで勝利したこのカード。順位も近いこともあり大いに注目の九州ダービーとなった。

前半は互いにGKの好セーブなどもありスコアレスで折り返すも、後半なかばに入った時間に大分はオウンゴールで先制を許してしまう。しかし、ドラマはゲーム終盤に待っていた。アディショナルタイムに入ろうかという時間帯、コーナーキックからMF保田堅心のボールがそのままゴールに吸い込まれる形で同点弾を挙げると、終了間際にはDFペレイラがヒールでシュートを放ち逆転ゴール。技ありの一発で激闘を制した。

劇的ゴールで幕切れとなった試合10選【J2リーグ2024】

第32節:栃木SCvs鹿児島ユナイテッド(2-1)

若手の躍動

残留を目指しシーズン終盤を戦うチーム同士の直接対決となった第32節栃木SCと鹿児島ユナイテッドの一戦。ホームということもあり栃木としては負けられないゲームだったが、開始直後に鹿児島に先制を許す厳しい展開となった。

1点ビハインドのまま試合を折り返し、後半に入ってからもなかなか決定機を作れない中で若手が大仕事をやってのける。最終盤に入る時間帯に途中出場のFW小堀空がロングスローの流れから頭で合わせて同点ゴールを挙げると、アディショナルタイムにはFW南野遥海が突破で得たPKを自ら沈めて逆転ゴールをマーク。互いに譲れない一戦は劇的な形で決着となった。
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