2024シーズン明治安田J1リーグで残留が確定し、来季J1で連続5シーズン目となるアビスパ福岡。それまでJ1に昇格した翌年必ずJ2に降格する「5年周期」を繰り返したチームは、確実にJ1定着への道を歩んでいる。
2023年にはルヴァンカップを制し、クラブとして初タイトルも獲得した。

これまで福岡には多くの助っ人外国人選手が在籍したが、ここでは直近10年間で特に活躍した助っ人外国人選手を紹介していく。

アビスパ福岡の歴代助っ人外国籍選手5選。5年周期からJ1定着へ

セランテス(2019-2020)

2019年にスペインのCDレガネスから福岡に加入したGKセランテス(現FC今治)は、2シーズン福岡でプレーし、公式戦67試合に出場している。それまで外国籍のGKといえば、2016年に韓国代表経験のあるGKイ・ボムヨン(2024年引退)が在籍していたことがあったが、スペイン人GKはチーム初となった。

2019シーズンに就任したファビオ・ペッキア監督の元で開幕からスタメン出場すると正GKとしてプレー。さらに2020シーズンは12試合でクリーンシートを達成し、チームのJ1昇格に大きく貢献した。J1昇格が決まった2020年12月に契約満了により退団が発表されたが、セランテスの活躍なしに2020シーズンの昇格はなかっただろう。

アビスパ福岡の歴代助っ人外国籍選手5選。5年周期からJ1定着へ

フアンマ・デルガド(2020-2022)

GKセランテスと同じくスペイン出身のFWフアンマ・デルガド(現V・ファーレン長崎)は、2020年に福岡に加入。2022シーズンまで在籍し、通算100試合以上に出場、22ゴールを挙げている。2021年と2022年のJ残留に大きく貢献したと言える。

2023シーズンには、古巣の長崎でJ2得点王を獲得したファンマ。現在長崎にはJ1昇格の可能性が残っており、再び彼がベススタ(ベスト電器スタジアム)のピッチに立った際にはリスペクトの意味を込めて大きな拍手で迎えられることだろう。

アビスパ福岡の歴代助っ人外国籍選手5選。5年周期からJ1定着へ

ジョルディ・クルークス(2021-2022)

2021年に福岡に加入したベルギー出身のMFジョルディ・クルークス(現ジュビロ磐田)は「クルークスゾーン」と呼ばれる左サイドからの強烈なシュートでスタジアムを熱狂させた。

印象的だったのは2021年8月15日のJ1第24節、ホームでのセレッソ大阪戦。後半途中から出場したクルークスは1-1で迎えた後半アディショナルタイムに、得意の左サイドでボールを受けるとペナルティーエリア外から強烈な左足でミドルシュート放つ。
するとボールはそのままゴール右側へ突き刺さり値千金の勝ち越しゴールを挙げ、これが決勝点に。福岡は2-1で勝利した。

クルークスが挙げたゴールの中でもこのゴールは多くの福岡サポーターの記憶に残っているのではないだろうか。

アビスパ福岡の歴代助っ人外国籍選手5選。5年周期からJ1定着へ

ジョン・マリ(2021、2022)

MFクルークスと同じく2021年に福岡に加入したFWジョン・マリ(現梅州客家)は、強靭な身体と高い得点力を持ち合わせていたストライカーとして記憶に残っている人も多いだろう。

2021年5月1日のJ1浦和レッズ戦では、クロスをそのままトラップし振り向きざまのシュートをゴールネットに突き刺すという驚異的な身体能力を見せた。2022シーズン前には期限付き移籍満了により退団が発表されるも、2022年夏には完全移籍加入にて復帰した。

試合中にもかかわらずリフティングをして監督に怒られると、即座に相手ベンチに謝罪に行くなどのエピソードもあり、その見た目とは裏腹に素直な性格だったジョン・マリ。彼もまたサポーターに愛されたストライカーの1人だろう。

アビスパ福岡の歴代助っ人外国籍選手5選。5年周期からJ1定着へ

ウェリントン(2015-2017、2023-)

近年の福岡を語る上で欠かせない外国籍選手といえば、やはりFWウェリントンだ。

2015年に福岡に加入したウェリントンは、同シーズンのJ2リーグで7ゴールを記録。彼の活躍もありこの年の福岡はJ1自動昇格とはならなかったもののJ1昇格プレーオフに進む事となる。ホームでの昇格プレーオフ、V・ファーレン長崎戦(1-0)。ウェリントンは見事自身のゴールでチームを勝利に導く。
そしてその後の昇格プレーオフ決勝、セレッソ大阪戦(1-1)。多くの福岡サポーターがヤンマースタジアム長居に詰めかけた1戦で、チームは5年ぶりとなるJ1昇格を決めた。

2016シーズンにチームは戦いの舞台をJ1に移すも、1年でのJ2降格。2018年にウェリントンはヴィッセル神戸へ移籍し、その後は母国ブラジルのボタフォゴ、湘南ベルマーレでプレー。2023年に福岡へ復帰した。36歳となった今でも衰えのないプレーを見せている。

ウェリントンのプレーの特徴について多くの人は、強靭な身体の強さと打点の高いヘディングなどを挙げるだろう。確かに2015年から2017年に在籍していた間はフィジカルの強さで相手圧倒し、時にはタックルに来たDFを吹き飛ばす程の身体の強さを武器にしていた。

しかし近年のウェリントンのプレーを見ると、身体の強さは健在だが、それ以外にも中盤に下がって攻撃の起点となるポストプレーなども見受けられる。かつては前線のターゲットとなっていた彼は年齢と経験を重ねるにつれ、プレーの幅を広げているのかもしれない。

J1昇格プレーオフ、1年でのJ2降格、そして2023年のルヴァンカップ決勝。サポーターの記憶に残るシーンには必ずウェリントンがいた。
彼は間違いなく福岡の歴代助っ人の中でも多くの人の記憶に残る選手だろう。

その他にもDFエミル・サロモンソン(2020-2021)、DFウォン・ドゥジェ(2017-2019)、FWドゥドゥ(2018)。さらにクラブの歴史を辿ればMFウーゴ・マラドーナ(1995-1996)やMFトログリオ(1994-1996)、MFフェルナンド(1998-1999)、MF盧廷潤(2001-2002)、MFホベルト(2004-2007)、MFグラウシオ(2005-2006)と、数多くの外国籍選手がプレーしてきた福岡。

チームは今季限りで長谷部茂利監督の退任が決まっており、来2025シーズン以降の監督人事にも注目が集まる。新たな監督を迎えて臨む来シーズンは、外国籍選手を含めどのようなチーム構成となるのか期待したい。
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