毎年様々なサプライズがあるプレミアリーグ。予想だにしないチームが上位に食い込むのも大きな楽しみの1つだ。
昨2023/24シーズンは、ウナイ・エメリ監督率いるアストン・ビラが絶対王者マンチェスター・シティやアーセナルを倒し、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場権を獲得するサプライズをもたらした。

今2024/25シーズンもシティのつまずきや、新体制になったリバプールの躍進など、話題に事欠かない。そして現在期待感をもたらしてくれているのが、ノッティンガム・フォレストである。12節が終了した時点で7位に位置しているフォレスト。首位リバプール相手に今シーズン唯一勝ち星を挙げているチームでもある。

現在プレミアリーグでは、2位シティが勝ち点23、11位ブレントフォードは勝ち点17。2位から11位の差がわずかに6ポイントで、2勝分しかない。唯一30ポイント越えの首位リバプール(勝ち点31)を除き、上位争いは非常に面白くなっている。

ここでは今2024/25シーズン、台風の目となる、かもしれないフォレストの状況や戦い方を見ていこう。

ノッティンガム・フォレストは台風の目となれるか【プレミア2024/25】

2024/25シーズン、ここまでのフォレスト

プレミアリーグ第12節を終え、5勝4分3敗で19ポイントのフォレスト。

リバプールをはじめ、サウサンプトン、クリスタル・パレス、レスター・シティ、ウェストハム・ユナイテッドに勝利。ブライトン・アンド・ホーブ・アルビオンやチェルシーなど強敵相手にも、引き分けで勝ち点を稼いできた。

また、10月のリーグ最優秀選手にはFWクリス・ウッドが選出され、リーグ最優秀監督にはヌーノ・エスピーリト・サント監督が選ばれた。


データから見るフォレストの攻撃

フォレストの現時点での総得点数は15。これは、リーグ11位だ。前述した2位シティから11位ブレントフォードまでの中では2番目に低い(最も低いのはニューカッスル・ユナイテッドの13)。

ただ、『Opta』によると、ニューカッスルのゴール期待値が16.52なのに対して、フォレストは14.63(11節終了時点でのデータ)。ニューカッスルのゴール数が期待値を下回っているのに対して、フォレストは若干上回っている。

また、フォレストはこれまでリーグ7位である157本のシュートを打っている。しかし、シュートあたりのゴール期待値は0.09。この数値はクリスタル・パレス、エバートンと共にリーグ最下位を記録している。

フォレストは得点を取ることが強烈なストロングポイントではない。これまで、12試合のリーグ戦と1試合カップ戦を戦ったが、半分以上の7試合でフォレストは1得点しかしていない。

ノッティンガム・フォレストは台風の目となれるか【プレミア2024/25】

データから見るフォレストの守備

では、なぜフォレストが現時点で上位争いに参加できているのか。結論は単純である。点をたくさんは取れないが、それ以上に点を取られないからである。

現時点での総失点数は13。
トッテナム・ホットスパー、ニューカッスルと並び、リーグ3位の失点数の少なさである。

同じく『Opta』によると(11節終了時点)、フォレストは10失点に対して、期待値は11.41。リバプールの6ゴール、期待値9.47に次ぐ、失点数の少なさと期待値の低さである。また、フォレストに対する、シュートあたりのゴール期待値は0.08。アーセナルと並びリーグで最も低い数字だ。

さらに、ボックス内でシュートを打たれた割合も57.93%とリーグ内で最も低かった。非保持の時間が多いチームでありながら、シュートを簡単に打たせていないことが分かる。

ノッティンガム・フォレストは台風の目となれるか【プレミア2024/25】

持たざる者:平均支配率は41.64%

注目したいのが、フォレストのスタイルである。上位に位置しているリバプールやシティ、アーセナル、チェルシーなどはボールを持つことで試合を支配することができるチームであるが、フォレストはむしろ支配される側である。今シーズンの平均支配率は、41.64%。これは、エバートン、イプスウィッチに次ぐ3番目に低い数字である。

ボールを持ちゲームを支配できるチームが多くの大きなチャンスを作り出しやすいことは、それぞれのクラブの得点数を見るとよく分かる。逆に持てないチームがその餌食となることも。
そのうえで、フォレストの強さは、ボールを持たないチームとしての戦い方を高いレベルで行えているということになる。

ノッティンガム・フォレストは台風の目となれるか【プレミア2024/25】

守備の修正が急務

11月10日のニューカッスル戦(1-3)、24日のアーセナル戦(0-3)と、連続で3失点を許しているフォレスト。直近の2試合の失点数が今シーズンの総失点数の約半分を占めている。

ヌーノ監督はアーセナル戦後のインタビューで、過去数週間と比べ失点数が増えているのは「相手選手に時間とスペースを与え過ぎたことが原因だ」と語った。特に2失点目のアーセナルMFトーマス・パーティのゴールを挙げ、相手選手へのプレスなど守備面の改善が最重要事項であるとした。

次節イプスウィッチ・タウン戦(12月1日)後には、シティ、マンチェスター・ユナイテッド、アストン・ビラ、ブレントフォードと厳しい相手との試合が続くフォレストの今後の日程を考えると、守備面の改善は非常に重要になる。

直近2試合のように簡単にゴールを許してしまえば、シーズンは一気に厳しいものになる。逆に、この連戦を上手く切り抜けられれば、上位への進出はより現実味を帯びるだろう。フォレストは分水嶺に差し掛かっている。
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