プレミアリーグの歴史を通じて、私たちは数々の驚異的な出来事を目撃してきた。30年以上前に設立されたイングランドのトップリーグは、今や世界最高峰のリーグとしてその地位を確立している。


初期の頃はマンチェスター・ユナイテッドがリーグを席巻し、アーセナル、チェルシー、そして現在ではマンチェスター・シティがそれぞれの時代を築いてきた。また、5000倍の賭け率を覆し、レスター・シティがリーグ優勝を果たすという物語も生まれた。

しかし、トロフィーを掲げることだけが全てではない。リーグの歴史は良い意味でも悪い意味でもいろいろな形で刻まれるものだ。ほとんどのことが記録として残る時代となった現在、ここで紹介するのは、今後も“おそらく”破られることがなさそうなプレミアリーグの記録7選だ(2024年11月30日時点)。

おそらく破られることのないプレミアリーグの驚異的な記録7選

1試合でのゴールポストやクロスバー直撃最多回数記録

ダルウィン・ヌニェス(リバプール)4回
記録日:2024年1月31日リバプール対チェルシー(4-1)

FWダルウィン・ヌニェス(リバプール)は、アンフィールドでのプレー期間中、比較的簡単なチャンスを決めきれないことをたびたび批判されてきた。予測不可能なプレーを特徴としており、決定的なチャンスを逃す一方で、難しい状況からゴールを決める場面も見られるストライカーだ。

2023/24シーズン、チェルシーをホームで4-1で圧倒した試合で、ヌニェスが多くのチャンスを決めていれば、リバプールの得点はさらに増えていたかもしれない。この試合でヌニェスはクロスバーに2回、ポストに2回ボールを当て、合計4回の決定機を逃した。その中にはペナルティスポットからのシュートも含まれている。この記録は、プレミアリーグ史上で1試合においてゴールポストやクロスバーを4回直撃した初の例となっている。

おそらく破られることのないプレミアリーグの驚異的な記録7選

連続無敗試合数の最多記録

アーセナル、49試合 
記録期間:2003年5月7日~2004年10月24日

シーズンを無敗で終えたのは、これまでのところアーセナルだけだ。いずれ他のチームが同じ偉業を達成する可能性は十分にあり得るが、49試合連続無敗という記録は驚異的だろう。この記録が生まれた当時、アーセン・ベンゲル監督が率いていたチームは、技術的に優れていただけでなく、勝利が必要な場面では激しい競り合いにも対応できる強さを持ち合わせていた。


2024/25シーズンのプレミアリーグの競争の激しさを考えると、この記録を超える50試合連続無敗に到達するのは想像を絶する偉業ではないだろうか。ジョゼップ・グアルディオラ監督率いる全盛期のシティですら、それを成し遂げられなかったことを考えると、この記録の凄さが一層際立つ。

おそらく破られることのないプレミアリーグの驚異的な記録7選

ホームでの連続無敗試合数の最多記録

チェルシー(スタンフォード・ブリッジ)86試合
記録期間:2004年3月20日~2008年10月5日

ホームで86試合無敗とは、まさに“要塞”と呼ぶにふさわしい記録だ。この記録は2008年、シャビ・アロンソ(現バイエル・レバークーゼン監督)のゴールでリバプールが勝利を収めたことで終わりを迎えた。2017年4月から2021年1月までの期間には、そのリバプールがホームのアンフィールドで68試合連続無敗を達成したが、それでも記録には17試合及ばなかった。

このチェルシーの86試合ホーム無敗記録達成において、当時のジョゼ・モウリーニョ監督(2004-2007、2013-2015)の功績は非常に大きい。“スペシャル・ワン”と呼ばれた同監督は2004/05シーズンと2005/06シーズンにプレミアリーグを連覇し、スタンフォード・ブリッジをイングランド中のチームが恐れる場所へと変えていた。このスタジアムには独特の雰囲気があり、対戦相手は試合開始前からすでに敗北を予感してしまうほどだったといわれている。

おそらく破られることのないプレミアリーグの驚異的な記録7選

最速ハットトリック記録

サディオ・マネ(サウサンプトン)2分56秒 
記録日:2015年5月16日サウサンプトン対アストン・ヴィラ

FWサディオ・マネ(現アル・ナスル)が、世界最高峰のリーグで残した3分未満でのハットトリックは驚異的な記録といえるだろう。この記録に近づける選手は今後現れる気がしない。もっとも、1994年に19歳のロビー・ファウラー(2012年引退)がリバプール対アーセナル戦で4分32秒でハットトリックを達成したときも、同じことがいわれていたが。

2014/15シーズン、当時マネが所属(2014-2016)していたサウサンプトンは成長著しいクラブだった。一方でアストン・ヴィラは、EFLチャンピオンシップ(イングランド2部)降格に向かう厳しい状況にあり、この両者の実力差は試合で如実に表れ、サウサンプトンが圧勝。その中でマネはヴィラの守備陣を翻弄し、見事な3ゴールをたったの2分56秒の間に決めた。
今後もプレミアリーグの偉大な記録の1つとして語り継がれていくだろう。

おそらく破られることのないプレミアリーグの驚異的な記録7選

1シーズンでの最多失点数記録

シェフィールド・ユナイテッド、104失点 
記録シーズン:2023/24

プレミアリーグの1シーズンでの最多失点記録は、この記録が生まれるまで100失点が最高だった。この不名誉な記録を保持していたのは1992/93シーズンのスウィンドン・タウンで、42試合制の中で自陣ゴールから100回もボールを拾う羽目になった。ちなみに同チームは、現在イングランド4部(EFLリーグ2)にまで降格している。

シェフィールド・ユナイテッドはさらにその記録を超え、38試合制で104失点を喫してしまった。この結果、同クラブにとってプレミアリーグ復帰は苦いものとなり、2023/24シーズン終了後にすぐさまチャンピオンシップへ降格することとなった。このような脆弱な守備では、降格は避けられなかったといえるだろう。

おそらく破られることのないプレミアリーグの驚異的な記録7選

開始1分以内に得点した連続試合数記録

ブレントフォード、3試合 
記録期間:2024/25シーズン第4節から第6節まで

2018年からトーマス・フランク監督が指揮するブレントフォードは、プレミアリーグで堅い守備を誇るチームとして知られているが、攻撃面でも驚異的なスピードを見せた。なんと、彼らは3試合連続で開始1分以内に得点するという快挙を成し遂げたのである。

2024/25シーズン第4節アウェイでのシティ戦、試合開始22秒でFWヨアネ・ウィサはエティハド・スタジアムでゴールを決めた。次の第5節アウェイでのトッテナム・ホットスパー戦、試合開始23秒でFWブライアン・ムベウモが見事なシュートを決めてこれに続いた。この2試合はいずれも敗北を喫したが、それでも気落ちすることなく、第6節のホームでのウェストハム・ユナイテッド戦でも再びムベウモが試合開始38秒で先制ゴールを挙げ、引き分けで連敗を止めた。この驚異的な速攻の記録は、チームの攻撃力の新たな一面を示した。

おそらく破られることのないプレミアリーグの驚異的な記録7選

1試合での最多PKゴール数記録(1選手による)

ジャスティン・クライファート(ボーンマス)3ゴール 
記録日:2024年11月30日ボーンマス対ウルヴァーハンプトン・ワンダラーズ

近年のサッカーでは、特にここ数シーズン、審判がカードや判定を控えめにする傾向があるといわれている。
「試合の流れを大事にしたい」という解説者の決まり文句もあり、1試合で複数のPKが与えられることはほとんど考えられない。

過去にPKでハットトリックに近づいた例として、2013/14シーズンにおけるリバプールのスティーブン・ジェラード(現アル・イテファク監督)が挙げられる。この試合では、マンチェスター・ユナイテッドを相手に2本を成功させたが、3本目を外した。

しかし、それから10年後、ついにその偉業を成し遂げた選手が現れた。FWジャスティン・クライファート(ボーンマス)が2024/25シーズン第13節のボーンマス対ウルヴァーハンプトン・ワンダラーズ戦で、プレミアリーグ史上最多となる1試合で3本のPKを成功させた。さらにこの試合では、ボーンマスのFWエヴァニウソンが、同一試合で3本のPKを”獲得”した初のプレミアリーグ選手としても記録されている。
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