そんな白熱の上位争いが繰り広げられたシーズン終盤のJ1リーグにおいて、苦しい残留争いに身を置いていたジュビロ磐田、北海道コンサドーレ札幌、サガン鳥栖のJ2降格が決まった。当然のことながら3クラブに求められるのは1年でのJ1復帰。しかし、主力選手の退団や移籍の話題も多く戦力ダウンも懸念される冬となっている。
そんな3クラブにとって、頼もしい存在となり得るのが今季期限付き移籍先で活躍を見せた選手たちだ。もちろん必ずしもチームに戻ることが決まっているわけではないが、移籍先での貢献度や成長ぶりを見れば、そんな選手の帰還を待ちわびるファンやサポーターは数多くいることだろう。ここでは、2024シーズンに期限付き移籍先で存在感を放った選手の中から、来季1年でのJ1復帰の原動力として期待できる選手たちを紹介していく(※12月19日時点の情報に基づく)

藤原健介
ジュビロ磐田からギラヴァンツ北九州へ期限付き移籍中
昨2023シーズンはJ2最終節で自動昇格圏の2位へと浮上し、劇的な形で1年でのJ1復帰を成し遂げたジュビロ磐田。今季はMF鈴木雄斗やFW大津祐樹(引退)といった選手がチームを離れた一方で、日本代表でも経験豊富なGK川島永嗣ら多くの新戦力を迎えスタートを切った。しかし、第3節から3連敗を喫すると以降も調子を上げられず残留争いへ。最終節まで残留の可能性を残す粘りを見せたが、ラストゲームではすでに降格の決まっていたサガン鳥栖を相手に0-3と完敗を喫し再びJ2への降格が決まった。そんな磐田にとって帰還が待ち遠しい選手と言えば、今シーズン途中からギラヴァンツ北九州へ期限付き移籍したMF藤原健介だろう。今季開幕は磐田で迎え、9試合に出場し1アシストを挙げていた藤原。6月に北九州へ加入するとJ3リーグ第19節の福島ユナイテッド戦で途中出場ながら1ゴール1アシストと早速勝利に貢献。以降はスタメンに定着し4ゴール5アシストと存在感を放った。
磐田の中盤で言えば、これまで長くチームを支え続けた背番号「10」MF山田大記が2024シーズン限りでの引退を発表しており、チャンスメイクや得点力の低下が予想される。そんな磐田だからこそ、J3とはいえ加入半年たらずで主力の座に就き多くのゴールに絡んだ20歳若手MFの帰還がチームにもたらす影響は大きいのではないだろうか。

福森晃斗
北海道コンサドーレ札幌から横浜FCへ期限付き移籍中
2016年シーズンにJ2で優勝し復帰を果たして以降、J1の座を守り抜いてきた北海道コンサドーレ札幌。しかし、残念ながら今季は開幕から5連敗を含む6戦未勝利と大きく出遅れ、さらに第15節からは8連敗とトンネルから抜け出せない期間もあり、夏に一時立て直すも浮上には至らず。第37節の結果を受けてJ2降格が決まった。そんな札幌は、チームを支えてきたMF駒井善成やFW菅大輝らとの契約満了を発表しており、来季に向けて戦力ダウンが懸念される。チームを離れる選手がいる一方で復帰の可能性を残す選手もいる。横浜FCへ期限付き移籍中のDF福森晃斗だ。福森は今季、横浜FCで開幕から全試合に出場。国内屈指のキック精度を武器にチャンスを量産し、J2トップの14アシストで横浜のJ1復帰の立役者となっている。
今季相次ぐ主力選手の負傷の影響もあり得点力不足に苦しんだ札幌にとって、帰還が叶えば福森の左足は大きな武器になり得る。なにより、今季の活躍は来季札幌が身を置くことになるJ2でのものであることから、再現性の高さでも頼もしい。

長澤シヴァタファリ
サガン鳥栖から水戸ホーリーホックへ期限付き移籍中
2011シーズンにJ2を2位で終えJ1昇格を果たして以降、1度も降格することなくJ1で戦い続けてきたサガン鳥栖。しかし、今季は序盤から苦戦が続き、夏には監督交代に踏み切るも主力選手の流出が多数発生したこともあり浮上のきっかけとはならず第34節が終了した時点でJ2降格が決定。シーズンラスト2試合で連勝するも最終順位は最下位のままシーズンを終えた。今冬は最低限夏に失った戦力の穴埋めを図りたいところだが、守護神GK朴一圭の横浜F・マリノス移籍が決まっており、さらなる戦力ダウンが懸念される。そんな鳥栖にとって希望となり得るのが、シーズン途中にJ2水戸ホーリーホックへ期限付き移籍したDF長澤シヴァタファリの存在だ。今季鳥栖での出場は2試合に留まったが、夏に水戸へと移籍するとJ2第22節のレノファ山口戦以降はスタメン出場を続けた。サイドでのプレーに限らず、セットプレーの場面でゴール前のターゲットとなるなど186cmの高さを活かしたプレーも披露し存在感を発揮。17試合に出場して2ゴール1アシストと数字も残している。
チームの現状を思えば、もちろん牽引してくれるようなベテラン選手も重要だが、失った戦力の多さを考えれば若手の活躍無くしてJ1復帰は難しいだろう。来季に向け、今季のシーズン後半戦で見せ場を作ったFW堺屋佳介らの成長にも期待がかかるが、J2で経験を積んだ長澤もさらなる飛躍を求められる選手であることは間違いない。