12月28日に帝京高校vs京都橘高校の試合で幕を開ける第103回全国高校サッカー選手権大会。毎年、おらが街の代表校から出現するニューヒーローの活躍に釘付けとなる姿は、サッカーファンの“冬の風物詩”とも言えるだろう。


今大会予選では、夏のインターハイ優勝校である昌平高校(埼玉県)やパリオリンピック代表で来季はJ1ガンバ大阪に内定している名和田我空を擁する神村学園高校(今夏インターハイ準優勝)が地区予選で敗退するなど波乱が続いていた。東海大学付属相模高校(神奈川県)、金沢学院大学附属高校(石川県)をはじめ、激戦を制した初出場校の戦いぶりにも注目が集まる。

更に今年、高校サッカー最高峰の高円宮杯JFA U-18サッカープレミアリーグでチャンピオンとなり、高校年代日本一に輝いた大津高校(熊本県)や前年の選手権チャンピオンで大会2連覇がかかる青森山田高校(青森県)の戦いからも目が離せない。ここでは、そんな選手権大会で主役に名乗りを上げそうな14人の注目プレーヤーを各ポジション別にピックアップしていく。

全国高校サッカー選手権大会、注目のタレント選手14傑

FW編

高岡伶颯(宮崎県:日章学園高校)

2024年6月、高校生ながらイングランド1部のサウサンプトンに内定が発表された高岡伶颯(3年)は、今年のU-19日本代表や日本高校選抜にも選出されている。持ち味は何といっても相手DFを置き去りにするスプリントの速さと気の強さ。今年のインターハイは大会直前の怪我で出場が叶わず、過去2度の選手権も初戦敗退と人一倍悔しい思いをしている高岡は、今大会で20ゴールを目標に掲げている。この大会に賭けるナンバーワンストライカーのパフォーマンスに注目したい。

オノノジュ慶吏(群馬県:前橋育英高校)

今季の高円宮杯プレミアリーグEASTで得点を量産したオノノジュ慶吏(3年)。特徴はフィジカルの強さとスピードを生かした突破力である。昨年まではサイドでプレーすることが多かったが、今年は前線でプレーし才能が一気に開花した。昨年の選手権では2年生ながら立正大淞南高校(島根県)との対戦で2ゴールを挙げ初戦突破に貢献。今大会でも得点量産で前橋育英を救うことが出来るか。

大石脩斗(鹿児島県:鹿児島城西高校)

FW編3人目は、U-17日本代表のFW大石脩斗(2年)を挙げる。恵まれた体格を生かしたポストプレーが特徴。
相手DFを剥がす鋭い動き出しも備えており、両足やヘディングでのシュートも得意だ。そのスケールの大きさから「大迫勇也2世」とも呼ばれている。伸びしろ十分の2年生FWは、今大会でも大きな衝撃を与えてくれるだろう。

全国高校サッカー選手権大会、注目のタレント選手14傑

山下景司(熊本県:大津高校)

高円宮杯プレミアリーグWESTで大会得点王(20得点)に輝き、大津高校を初のプレミアリーグチャンピオンに導いたFW山下景司(3年)。スペースを見つける能力に長けており、相手DFとの駆け引きでは高校生らしからぬ技術を見せ、決定力にも優れているプレーヤーだ。今大会の熊本県予選でも準決勝・決勝と2試合連続ハットトリック(1試合3得点)挙げている。

加藤隆成(岐阜県:帝京大可児高校)

FW編の5人目には帝京大可児高校からFW加藤隆成(3年)を挙げる。1年次より強豪・帝京大可児の10番を背負い、入学後は全ての学年でインターハイ(夏)と選手権大会(冬)を経験している。相手DFの背後をとる動き出しに加え、秀逸な得点感覚が特徴。今大会の岐阜県予選でも、出場した5試合で21ゴールと圧倒的な得点力を見せつけた。全国大会を誰よりも知る男が高校最後の集大成に花を添えることが出来るのか。

全国高校サッカー選手権大会、注目のタレント選手14傑

MF編

嶋本悠大(熊本県:大津高校)

MFの1人目は大津高校MF嶋本悠大(3年)を挙げる。今年の高円宮杯プレミアリーグで日本一に輝いた大津で攻守の要として活躍している嶋本。足元の技術力や戦術眼が優れている点も武器であるが、何より90分ハードワーク出来る献身性が高校生の中で群を抜いている。夏には複数Jクラブの練習参加も経験しており、来季からJ1の清水エスパルスに内定している。
初の冬の選手権制覇に向け大津のキーマンとなるだろう。

南創太(宮崎県:日章学園高校)

U-18日本代表で来季からJ2ベガルタ仙台に内定している日章学園高校のMF南創太(3年)。細かく繰り出される緩急をつけたドリブルが特徴。また、得意のドリブルからカットインでフィニッシュやラストパスまで持っていける力は超高校級。まさに一人でチャンスメイクできるサイドアタッカーだ。FW編で取りあげた同校FW高岡伶颯とのコンビで初の選手権制覇を目指す。

全国高校サッカー選手権大会、注目のタレント選手14傑

亀田歩夢(千葉県:流通経済大学付属柏高校)

流通経済大学付属柏高校からはMF亀田歩夢(3年)を挙げたい。特徴は中学生までサッカーと掛け持ちしていたフットサルで身につけた足元の技術だろう。密集地でも相手を交わし、多くのチャンスメイクが出来る。ワントラップ、ワンタッチで状況を打開できる点においては見るものを魅了する。来季よりJ2カターレ富山に内定している今大会屈指のドリブラーから目が離せない。

笹修太(北海道:札幌大谷高校)

MF編の4人目は北の大地から札幌大谷高校のMF笹修太(3年)。高校年代屈指のインターセプト能力の高さに加え空中戦の強さを誇る選手だ。札幌大谷の主な攻撃パターンとして、笹のインターセプトからサイドに展開しチャンスメイクを多く構築してきた。その働きぶりは、現日本代表でリバプール(イングランド1部)に所属するMF遠藤航を彷彿とさせる。
1年次からスタメンで出場し攻守の要となっている笹の働きぶりが評価され、来季J2のFC今治に内定している。

全国高校サッカー選手権大会、注目のタレント選手14傑

DF・GK編

田所莉旺(東京都:帝京高校)

“カナリア軍団”帝京高校の砦、DF田所莉旺(3年)。特徴は、187センチの長身を生かした空中戦の強さに加え足元の技術を兼ね備えている点である。最終ラインから供給される精度の高いロングフィードや自らがドリブルで前線まで運ぶなど攻撃のタスクも担っている。小学生から高校2年生の昨シーズン直前まで川崎フロンターレの下部組織に在籍していた田所。昨年冬「帝京高校で全国制覇を成し遂げたい」との思いから同校サッカー部へ転籍している。U-18日本代表にも選出されるなど国際舞台の経験も十分で、世代屈指の万能型DFの呼び声も高い。冬の選手権には15年ぶりの出場となる帝京。名門復活のキーマンに注目だ。

五嶋夏生(熊本県:大津高校)

高校1年次から出場機会を掴んでいるDF五嶋夏生(3年)。190センチ・78キロの恵まれた体格を生かした空中戦の競り合いの強さに加え敏捷性に優れているのが特徴。今年、高円宮杯プレミアリーグWESTを初めて制した大津高校は、先日行われたリーグファイナルでもクロスボールやセットプレーで相手選手の前に入り、EAST王者の横浜FCユースにことごとくチャンスを作らせなかった。その結果、3-0と完封勝利で初めて真の高校年代日本一に輝いた。今大会もプレミアリーグ同様、五嶋の守備からチームのリズムを作り出し、選手権優勝を掴み取りたい。


松本果成(千葉県:流通経済大学付属柏高校)

DF・GK編の3人目には、流通経済大学付属柏高校から来季J1湘南ベルマーレに内定しているDF松本果成(3年)を挙げる。恵まれたフィジカルを生かした対人の強さに加え、自慢のスピードと無尽蔵のスタミナを併せ持っており、右サイドを制圧することができる。なかでもスプリントの回数は毎試合チームトップクラス。今年はクロス精度にさらに磨きがかかっている印象があり、攻撃面においてもワンランク上がったように感じられる。普段は右サイドバックを主戦場とするが、持ち前の攻撃力を生かしてサイドアタッカーとしても起用されることがある。今大会で他のプレーヤーを凌駕することは間違いないだろう。

全国高校サッカー選手権大会、注目のタレント選手14傑

小沼蒼珠(青森県:青森山田高校)

昨冬の選手権日本一を経験しているDF小沼蒼珠(3年)。対人の強さや豊富な運動量を誇っているが、その飛距離に会場が沸くロングスローは小沼の代名詞といえるだろう。今年は主将としてチームを牽引し、同大会2連覇を目指す。

藤間オタビオ広希(栃木県:矢板中央高校)

U-18日本代表にも選ばれており、今大会で筆者が最も注目しているGK藤間オタビオ広希(3年)。ブラジル系の両親から譲り受けた高い身体能力が特徴の選手だ。187センチの身長を生かしたパンチングや鋭い反応で数多くのセーブを記録してきた。なかでも今大会の栃木県予選決勝で藤間のPKストップがチームを本選出場へと導いたシーンは記憶に新しい。最後の砦としてゴールマウスの前に立ちはだかる藤間は、相手選手にとって相当なプレッシャーとなるだろう。


今回挙げた選手以外にも主役候補が数多く潜んでおり、大会中にブレイクする可能性も十二分にある。今年の冬も高校生の勇姿から目が離せない。
編集部おすすめ