3年ぶりにJ1の舞台へと帰る清水エスパルス。2023シーズンはJ2リーグ最終節で引き分け自動昇格圏から陥落し、昇格プレーオフ決勝では終了間際に同点ゴールを許して昇格を逃す悪夢を味わった。
しかし、悔しさから立ち直った2024シーズンは序盤から好調を維持。アウェーで苦しむ時期もあったが第36節の栃木SC戦で昇格を決め、次節のいわきFC戦でも勝利しJ2優勝でJ1への返り咲きを果たした。

そんな名門復権に向け新たなスタートを切る2025シーズンの清水は積極的な補強の動きを見せている。ここでは、J2王者としてJ1へ帰還する清水の今冬の補強状況について、ポジションごとにA~Eの5段階で評価していく(1月8日時点の情報に基づく)

清水エスパルスの今冬補強を評価。主力が一部流出も新戦力に期待大!

GK(ゴールキーパー)DF(ディフェンダー):評価C

IN

  • GK佐々木智太郎(昌平高校より加入)
  • DF羽田健人(大分トリニータより完全移籍)
OUT

  • GK権田修一(契約満了)
  • MF原輝綺(名古屋グランパスへ完全移籍)※
守備陣では昨季終盤にGK権田修一の2024シーズン限りでの退団が報じられ話題となった。権田は清水へ加入した2021シーズン以降、リーグ戦はほぼ全試合に出場。スーパーセーブも数多く披露してチームの危機を救ってきた。守護神であり日本代表としての経験も豊富な権田の退団がチームに与える影響は決して小さくないだろう。一方、新守護神候補で言えば昨季鹿島アントラーズから加入したGK沖悠哉やJ2他クラブへの武者修行経験もあるGK梅田透吾といった実力者がいるのも楽しみな要素。頼れるベテラン守護神の抜けた穴は大きいが、高卒ルーキーとして加わるGK佐々木智太郎も含め守護神争いに注目だ。

DFラインでも主力の流出が起きている。主に右サイドバックやセンターバックとして主軸を務めたMF原輝綺が名古屋グランパスへと完全移籍。海外での経験もあり昨季は3ゴール4アシストと攻撃面でも存在感を放った中心選手の他クラブへの流出は、チームにとって大きな痛手と言えよう。しかし、その他の選手を見ると昨季期限付きでチームへ加入し昇格と優勝に大きく貢献したDF住吉ジェラニレショーンとDF蓮川壮大の2選手がそのまま完全移籍へ移行してチームに残留。
彼らの去就次第では大きな戦力ダウンもあり得たが、最小限の戦力流出に留めたと言えよう。また、新戦力として大分トリニータから加わるDF羽田健人も185cmの長身とセンターバックやボランチなど複数ポジションをこなす頼もしい存在だ。

GK権田にMF原といずれも日本代表経験のある主力を失ったことは大きい。しかし、GKについてはルーキーを含む次世代選手に期待ができること、DFについても期限付きで加入し主力となっていた選手を完全移籍で獲得し新戦力も加わったことが十分評価できることから補強の評価は「C」とした。

※原輝綺:MF登録だがCB/SBでの出場がメインのためDF戦力としてカウント

清水エスパルスの今冬補強を評価。主力が一部流出も新戦力に期待大!

MF(ミッドフィールダー):評価B

IN

  • 嶋本悠大(大津高校より加入)
  • 小竹知恩(ユースからトップ昇格)
  • カピシャーバ(セレッソ大阪より完全移籍)
  • 弓場将輝(大分トリニータより完全移籍)
  • 齊藤聖七(ザスパ群馬への期限付き移籍より復帰)
  • 小塚和季(ソウルイーランドより完全移籍)
  • 中原輝(サガン鳥栖より期限付き移籍)
  • マテウス・ブエノ(グアラニより完全移籍)
OUT

  • 川谷凪(奈良クラブへ期限付き移籍)
  • 中村亮太朗(モンテディオ山形へ完全移籍)※昨季は鹿島より期限付き移籍で加入
  • 成岡輝瑠(レノファ山口へ完全移籍)
  • 西澤健太(サガン鳥栖へ完全移籍)
中盤は昨季の主力で言えば鹿島アントラーズから期限付き移籍していた中村亮太朗が、クラブの生え抜き選手で言えば成岡輝瑠と西澤健太がそれぞれ他クラブへ完全移籍となり、ファンやサポーターにとっては寂しさも多い冬となった。

しかし、新たにチームへ加わる選手の顔ぶれはルーキーも含め豪華だ。最大の目玉はセレッソ大阪から加入したカピシャーバ。スピードとテクニックを活かした突破で、多くのチャンスを生み出してくれるだろう。また、同じくレフティの中原輝も注目選手の1人。昨季は怪我に苦しみながらもシーズン終盤の2試合で2ゴール2アシストと圧巻のパフォーマンスを見せていた。また、中央の新戦力では弓場将輝と小塚和季を獲得。弓場は豊富な運動量と高いボール奪取力が期待でき、年齢的にも22歳とまだまだ伸び盛りなことも高く評価できる。小塚は高い技術とアイデア溢れるプレーが魅力。
新たな攻撃の起点として注目だ。

主力の流出が少ない中で即戦力を数多く獲得できた中盤。J1での経験値やこれまで所属したクラブでの出場機会、ゴールやアシストといった勝利に直結する数字の部分など個々にやや物足りない要素はあるものの、戦力アップは図れたと言えることから評価を「B」とした。

清水エスパルスの今冬補強を評価。主力が一部流出も新戦力に期待大!

FW(フォワード):評価B

IN

  • アフメド・アフメドフ(スパルタク・ヴァルナより完全移籍)
OUT

  • 加藤拓己(SC相模原へ期限付き移籍)
  • ルーカス・ブラガ(期限付き移籍期間満了)
  • 安藤阿雄依(沖縄SVへ育成型期限付き移籍)
最前線には楽しみな新戦力が加わる。ブルガリア代表で2024/25シーズンはここまでリーグ戦において19試合に出場し16ゴールと高い得点力を誇るアフメド・アフメドフを獲得。昨季チームトップスコアラーの北川航也や前線のターゲットとして存在感を放ったドウグラス・タンキ、途中加入から3試合連続ゴールなどで勝利に貢献したアブドゥル・アジズ・ヤクブといった選手たちも健在なことから、よりハイレベルなポジション争いからの底上げも期待できる。一方で昨季チーム2位の8ゴールをマークしたルーカス・ブラガが期間満了に伴いチームを去った。サイドの選手は中盤で補強を図れているが、加入初年度から活躍を見せていただけに残念な退団となったのは間違いない。

また、気がかりなのがチームを5シーズン支えてきた背番号「10」カルリーニョス・ジュニオの契約更新が未だ発表されていない点。推進力や得点力だけでなく、献身的な守備でも貢献していた頼れる選手なだけに、万が一チームを去ることになれば戦力ダウンにつながる。現時点では大いに期待の新戦力もいることからFW陣の評価は「B」としたいが、カルリーニョスの去就によっては評価が下がるという見方もできよう。
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