昨2024シーズンの明治安田J2リーグ最終盤、怒涛の5連勝で自動昇格圏の2位浮上にあと一歩のところまで迫ったV・ファーレン長崎。結果は3位フィニッシュでプレーオフへとまわり、残念ながら準決勝でベガルタ仙台に敗れJ1昇格は叶わなかったが、リーグトップの得点力で強さを示しシーズンを終えたのは間違いない。


来季こそ昇格を成し遂げるべく、長崎は今冬積極的な補強の動きを見せている。昨季チームを牽引した外国籍選手も含め主力の多くが残留することとなっており、さらに新戦力を得てどれほどチーム力に磨きがかかっているのか今から楽しみだ。ここでは、そんな長崎の補強状況について各ポジションごとにA~Eの5段階で評価していく。

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V・ファーレン長崎の今冬補強を評価。J1昇格に向け盤石の布陣!

GK(ゴールキーパー)/DF(ディフェンダー):評価A

IN

  • GK後藤雅明(モンテディオ山形より完全移籍)
  • GK井岡海都(ガイナーレ鳥取より完全移籍)
  • DF高畑奎汰(ジュビロ磐田より完全移籍)
  • DF関口正大(ヴァンフォーレ甲府より完全移籍)
  • DFモヨ・マルコム強志(藤枝MYFCへの期限付き移籍より復帰)
  • DFエドゥアルド(横浜F・マリノスより完全移籍)
OUT

  • GK若原智哉(ジェフユナイテッド千葉へ完全移籍)※昨季は京都サンガより期限付きで加入
  • GKルカ・ラドティッチ(ブラウブリッツ秋田へ期限付き移籍)
  • DF成瀬峻平(期限付き移籍期間満了)
  • DF白井陽貴(いわきFCへ期限付き移籍)
  • DF青木義孝(鹿児島ユナイテッドFCへ完全移籍)※昨季は町田ゼルビアより期限付きで加入
  • DF田中隼人(期限付き移籍期間満了に伴い柏レイソルへ復帰)
  • DFヴァウド(パイサンドゥSCへ完全移籍)
守備陣は入れ替わりの多い冬となっている。昨季主力を務めた選手で言えば、38試合すべてに出場したDF田中隼人が期限付き移籍期間満了に伴い所属元の柏レイソルへ復帰。また、京都サンガから期限付きで加入しシーズン後半戦でゴールを守ったGK若原智哉がジェフユナイテッド千葉へ移籍と複数の動きがあった。

しかし、彼らに代わる新戦力はいずれも大いに活躍が期待できる選手ばかりだ。まず目を惹くのがDFエドゥアルドの存在。過去には川崎フロンターレや横浜F・マリノスでJ1リーグ優勝も果たしており、J2での経験こそ多くはないものの頼りになる選手であることに疑いの余地はない。また、直近3シーズンはモンテディオ山形でリーグ戦ほぼ全試合に出場し、3年連続プレーオフ進出にも大きく貢献したGK後藤雅明も加入。さらに、過去J2で確かな実績を持つDF関口正大やDF高畑奎汰の獲得にも成功した。

昨季の主力を一部失いながらも、J1で経験豊富なベテラン外国籍選手に加えJ2屈指の守護神も獲得。
さらにセンターバック、サイドバックともにJ2で結果を残してきた選手も加入し確実に戦力の充実を図れたことから評価を「A」とした。

V・ファーレン長崎の今冬補強を評価。J1昇格に向け盤石の布陣!

MF(ミッドフィールダー):評価A

IN

  • 青木俊輔(法政大学より加入)
  • 松本天夢(新潟医療福祉大学より加入)
  • 齋藤遼太(阪南大学より加入)
  • 山口蛍(ヴィッセル神戸より完全移籍)
OUT

  • 秋野央樹(アビスパ福岡へ完全移籍)
中盤は数こそ多くはないが話題性のある動きとなっている。まず、国内移籍の中でも大きな話題の1つとなったのが、J1連覇を成し遂げたヴィッセル神戸のキャプテンMF山口蛍の加入だ。2024シーズンは怪我の影響もあり稼働は少なかったが、それでも27試合に出場し3ゴールをマークしている。まだまだ一線級の活躍を見せるベテランの獲得に成功したことで、中盤の安定感はさらに増しそうだ。

一方、長崎のキャプテンを務めていたMF秋野央樹がアビスパ福岡へ完全移籍となった。長崎加入後は怪我に苦しむ期間も長く、2023年11月には一時契約満了にもなったが年明け1月に再契約し昨季は36試合とほぼ全試合に出場。上位争いを演じるチームを支えてきたが、ここでクラブを去ることとなった。

キャプテンの流出は残念だが、日本代表や海外クラブでの経験もある山口の獲得に成功した長崎。そして何より、マテウス・ジェズスら頼れる外国籍選手や昨季3ゴール7アシストと活躍を見せた笠柳翼など中盤は注目選手が多数いる。他のJ2クラブと比較してもピンポイントで有効な補強が叶ったと言えることから評価を「A」とした。

V・ファーレン長崎の今冬補強を評価。J1昇格に向け盤石の布陣!

FW(フォワード):評価D

IN

  • 山﨑凌吾(セレッソ大阪より完全移籍)
最前線にはセレッソ大阪より山﨑凌吾を加えた。現在32歳となるベテランだが、2017シーズンにJ2徳島ヴォルティスで14ゴール7アシストと結果を残し、翌2018年の夏に湘南ベルマーレへと移籍して以降はJ1でも毎年ゴールを挙げ続けた頼れる選手だ。


もちろん、エジガル・ジュニオやフアンマ・デルガドといった昨季2桁ゴールを挙げた選手が前線に揃う長崎では、あくまでも彼らをスタメンに据える機会が多くなるだろう。とはいえ長いシーズンを戦い抜く上で選手層の厚さも極めて重要であり、実績十分な山﨑の獲得は厚みを出すには申し分ない補強と言えることから評価を「D」とした。
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