ここでは、かつての欧州挑戦を経て、UKメディアが2025年の今、日本でプレーする素晴らしい選手として注目する5人のJ1リーガーを紹介したい。

香川真司(セレッソ大阪)
欧州所属歴:ボルシア・ドルトムント(2010-2012、2014-2019)マンチェスター・ユナイテッド(2012-2014)ベシクタシュ(2019)レアル・サラゴサ(2019-2020)PAOKテッサロニキ(2021)シント=トロイデン(2022)元日本代表のエースであるFW香川真司は、イングランドでの2年間(2012-2014)だけでも、マンチェスター・ユナイテッドのカルト的な人気を誇るヒーローとなった。香川はオールド・トラッフォードでのデビューシーズンにプレミアリーグ制覇を果たし、ノリッジ・シティ戦でのハットトリックを含むいくつかの記憶に残る瞬間を生み出した。
ただし、香川が最も知られているのはブンデスリーガのボルシア・ドルトムント時代(2010-2012、2014-2019)だろう。2度の在籍期間を通じて200試合以上に出場し、ブンデスリーガを2回(2010/11、2011/12)、さらにDFBポカールも2回(2011/12、2016/17)制覇した経験を持っている。
以降はトルコのベシクタシュ、スペインのレアル・サラゴサ、ギリシャのPAOKテッサロニキ、ベルギーのシント=トロイデンを経て、2023年に古巣であるJ1のセレッソ大阪に復帰した。すでに35歳となった香川だが、その経験をチームに還元すると同時にいまだに魔法のようなプレーを随所で披露し、ファンを喜ばせている。

宮市亮(横浜F・マリノス)
欧州所属歴:アーセナル(2011-2015)フェイエノールト(2011)ボルトン・ワンダラーズ(2012)ウィガン・アスレティック(2012-2013)トゥウェンテ(2014-2015)ザンクトパウリ(2015-2021)2011年にプレミアリーグのアーセナルが若きFW宮市亮を獲得した際、当時のアーセン・ベンゲル監督は「彼には世界中のクラブを惹きつける素晴らしい才能がある」と語った。常人離れしたスピードに卓越したトリッキーなプレーは入団当初から注目されていたが、残念ながらイングランドの地でその実力が本格的に開花することはなかった。
2010年12月にアーセナル入団したが、イギリスの就労ビザ発行基準を満たしておらず、2011年1月オランダの名門フェイエノールトへ期限付き移籍。活躍が認められアーセナルに復帰するも怪我に悩まされ、ローン移籍を繰り返したが、やはり怪我に悩まされた。
2021年7月に横浜F・マリノスに移籍すると、そこからキャリアを再構築することに成功。2022年に日本代表戦で右膝前十字靭帯断裂を負い全治8カ月となったが、クラブやサポーターからの励ましもあり厳しい試練を乗り越えた。32歳となった現在、横浜FMでキャリア最高のプレーを見せており、順調に活躍を続けている宮市。

川辺駿(サンフレッチェ広島)
欧州所属歴:グラスホッパー・クラブ・チューリッヒ(2021-2023)ウルヴァーハンプトン・ワンダラーズ(2022-2023)スタンダール・リエージュ(2023-2024)スイスのグラスホッパー・チューリッヒ(2021-2023)で頭角を現したMF川辺駿は、2022年1月にプレミアリーグのウルヴァーハンプトン・ワンダラーズに加入したが、引き続きグラスホッパーに期限付き移籍として残り、2022/23シーズンまでプレーした。
2023年に満を持してウルブスに戻ったが直後にベルギーの名門であるスタンダール・リエージュへ完全移籍。結果プレミアリーグでの出場機会は1度もなかった。ベルギーではレギュラーに定着し、36試合で7ゴールの成績を残したものの、クラブが複数の訴訟問題を抱え選手たちへの給料の未払いも発覚。問題が解決される気配がなく、2024年にサンフレッチェ広島に加入した。
まだ29歳と全盛期の川辺は、『Transfermarkt』のJ1リーグの市場価値において最高ランクに評価されており、類まれなスキルと戦術眼で日本代表への復帰を虎視眈々と狙っている。

武藤嘉紀(ヴィッセル神戸)
欧州所属歴:マインツ(2015-2018)ニューカッスル・ユナイテッド(2018-2021)SDエイバル(2020-2021)2024年のJリーグ最優秀選手賞を受賞しその実力を知らしめたFW武藤嘉紀。そんな彼のヨーロッパでのキャリアも順風満帆ではなかった。J1のFC東京(2013-2015)で頭角を現すと2015年にブンデスリーガのマインツ(2015-2018)へ移籍。時折怪我で離脱することもあったが66試合で20ゴールを挙げる活躍を見せ、プレミアリーグのニューカッスル・ユナイテッドに移籍を果たした。
しかし、ニューカッスル在籍時(2018-2021)には期待に応えることができず。選手層の厚さや戦術的な要素が絡み合い、武藤に与えられた時間も限られていたのは事実だが、プレミアリーグでは727分間のプレー時間でわずか1ゴールを記録したのみで、移籍金に見合わない選手だとイギリスでは酷評された。
その後スペインのSDエイバル(2020-21)時代を経て、2021年8月にJ1のヴィッセル神戸に完全移籍。

長友佑都(FC東京)
欧州所属歴:チェゼーナ(2010-2011)インテル(2011-2018)ガラタサライ(2018-2020)オリンピック・マルセイユ(2020-2021)明治大学卒業を待たずにプロの世界に飛び込み、そこから飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍し、未だに日本代表にも選出される38歳のDF長友佑都。まさに名実ともに日本の顔として活躍するベテランDFだが、プロ契約を決断した理由の1つとして、「女手一つで自分を含む3人の兄弟を育ててくれた母を、少しでも早く経済的に楽にさせたい」という思いを挙げている。
そんな心温まるエピソードを持つ長友は、2008年にJ1のFC東京に加入しプロキャリアをスタート。同年、Jリーグ優秀選手賞と新人賞を受賞し、即戦力として実力を示した。2010年のFIFAワールドカップ(W杯)南アフリカ大会での活躍が目に留まり、同年セリエAのチェゼーナに期限付き移籍。リーグ戦16試合に出場して活躍を続けると、2011年1月には名門インテルへ期限付き移籍し、同年夏に完全移籍を果たした。7シーズン半(2011-2018)の在籍中、公式戦210試合に出場、DFながら11得点18アシストを記録している。
2018年1月、トルコのガラタサライにレンタル移籍し、リーグ2連覇に貢献。2020年にフランスの名門オリンピック・マルセイユに加入し、元日本代表のDF酒井宏樹(オークランド)と共に両翼DFとして活躍した。2021年夏、約11年ぶりにFC東京に復帰し、再びJ1リーグの舞台に戻ってきた。