新スタジアムで開幕を迎えた2024シーズンのサンフレッチェ広島。直近2シーズンはいずれも3位フィニッシュだったこともあり優勝が求められるシーズンだったが、残念ながらあと一歩及ばず2位で終えた。
昨季は開幕前に新たな得点源として獲得したFW大橋祐紀や2023シーズンに台頭し昨季も引き続き主力となっていたMF川村拓夢が夏に欧州へ移籍したが、代わりにMF川辺駿やMFトルガイ・アルスランら実力者たちを補強。即座の穴埋めに成功していた。

そして今冬、来季こそ優勝を掴むべく広島はさらなる補強の動きを見せている。残念ながら外国籍選手を中心に流出も少なからず発生しているものの、新加入選手の顔ぶれは豪華。ここでは、そんな広島の冬の補強について各ポジションごとにA~Eの5段階で評価していく。

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サンフレッチェ広島の今冬補強を評価。豪華な新加入選手たちに注目!

GK(ゴールキーパー)/DF(ディフェンダー):評価C

IN

  • GKヒル袈依廉(早稲田大学より加入)
OUT

  • GK薄井覇斗(ジェフユナイテッド千葉へ完全移籍)※昨季は松本山雅FCより期限付きで加入
  • DF木吹翔太(いわきFCへ期限付き移籍)
  • DF志知孝明(アビスパ福岡へ期限付き移籍)
守備陣は大きな主力の動きがない冬となっている。現時点で新加入選手は早稲田大学より194cmの長身を誇るGKヒル袈依廉のみ。一方チームを離れる選手では、昨季松本山雅より期限付きで加入していたGK薄井覇斗が移籍期間満了に伴いジェフユナイテッド千葉へ完全移籍。DF陣では木吹翔太がいわきFCへ、志知孝明が古巣であるアビスパ福岡へそれぞれ期限付き移籍となっている。

志知は昨季、途中出場が多い中でも2アシストを挙げるなど活躍を見せていた。しかし、同ポジションである左サイドではMF東俊希がシーズンを通して高いパフォーマンスを披露していたことで出場は11試合に留まっている。長いシーズンを戦う上ではチームに居れば心強い選手だが、現状の序列は必ずしも高いとは言えない。
それだけに、戦力は補強前後で大きく変わらないことから評価を「C」とした。

サンフレッチェ広島の今冬補強を評価。豪華な新加入選手たちに注目!

MF(ミッドフィールダー):評価A

IN

  • 菅大輝(北海道コンサドーレ札幌より完全移籍)
  • 田中聡(湘南ベルマーレより完全移籍)
  • 仙波大志(ザスパ群馬への期限付き移籍より復帰)
  • 井上潮音(横浜FCより完全移籍)
OUT

  • 青山敏弘(引退)
  • エゼキエウ(契約満了)
  • 細谷航平(愛媛FCへ期限付き移籍)
  • 柏好文(ヴァンフォーレ甲府へ完全移籍)
  • 松本泰志(浦和レッズへ完全移籍)
中盤は広島にとって大きな出会いと別れの冬となった。まず、クラブを長年支えてきた青山敏弘が引退しトップチームのコーチに就任。同じくベテランの柏好文が古巣であるヴァンフォーレ甲府へ移籍と、クラブのレジェンドとも呼べる選手たちが新たな道を歩む決断をした。また、昨季主力を務めた選手でも動きがあり、36試合に出場し3ゴール2アシストを挙げた松本泰志が浦和レッズへ完全移籍となっている。

その一方で、新加入の選手たちはいずれも即戦力ばかりだ。サイドを主戦場としてきた選手では、北海道コンサドーレ札幌より菅大輝を獲得。小柄ながらも上下動を繰り返す運動量と左足の強烈なシュートを持っており、スタメン争いは厳しいが新たな武器として期待される。ゲームメイクでは横浜FCから井上潮音を獲得。また、昨季はファジアーノ岡山やザスパ群馬で経験を積んだ仙波大志もJ2で結果を残しており楽しみな存在だ。さらに、ボール奪取力にも定評がある田中聡も獲得。昨季は強烈なミドルシュートを叩き込むなど5ゴールをマークして攻撃面でも存在感を発揮しており、進化を続ける22歳が広島でどんな成長を見せるのかにも注目だ。

精神的支柱でもあったベテランが居なくなり、チームの中軸となりつつあった松本の移籍という痛手も負った今冬の広島。
しかし、昨夏加入したトルガイ・アルスランや川辺駿らは健在でありメンバーはなおも豪華。さらに新加入を迎えて選手層にも厚みを加えたと言えることから評価を「A」とした。

サンフレッチェ広島の今冬補強を評価。豪華な新加入選手たちに注目!

FW(フォワード):評価B

IN

  • 中村草太(明治大学より加入)
  • ジャーメイン良(ジュビロ磐田より完全移籍)
OUT

  • ドウグラス・ヴィエイラ(契約満了)
  • ピエロス・ソティリウ(アポエルへ完全移籍)
  • ゴンサロ・パシエンシア(契約解除)
前線の選手では、複数の外国籍選手がチームを離れることとなった。昨年11月に治療のためブラジルへ一時帰国することがクラブより発表されていたドウグラス・ヴィエイラが契約満了。さらに、昨季25試合に出場し8ゴールと活躍したピエロス・ソティリウが母国復帰となっている。また、昨夏加入した元ポルトガル代表のゴンサロ・パシエンシアも契約解除となっており、頼れる助っ人たちが不在となった。

しかし、必ずしも悲観的な要素ばかりではない。なぜなら昨季リーグ3位タイかつ日本人選手トップタイとなる19ゴールをマークしたジャーメイン良を獲得しているからだ。ジャーメインは2022シーズンにジュビロ磐田へ加入すると2023シーズンには9ゴールを挙げて磐田のJ1復帰に貢献。昨季は第2節の川崎フロンターレ戦で4ゴールを挙げるなど、シーズン序盤からゴールを量産し一気にJ屈指のストライカーとして覚醒した。そんなジャーメインの獲得によって、得点力で見ればむしろ向上も見込める。

選手層という意味では、長いシーズンで怪我などのリスクも考慮すると複数のタレントがチームを去ったのは痛い。
とはいえ、代わりに昨季の成績から得点王候補とも言える選手を獲得できたのは大きく、チームとしてもさらなる得点力アップに成功したと言えようことから評価を「B」とした。
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