2024シーズンの鹿島アントラーズは前半戦を2位で折り返したものの第26節からの6戦未勝利などで失速し、終わってみれば2年連続の5位でフィニッシュ。他のカップ戦も途中で敗退となっており8年連続国内無冠でシーズンを終えた。
タイトル獲得から遠ざかっている鹿島だが、不調と言われるシーズンもある中で5位以内をキープしており、他クラブが羨むほどの安定感は変わらない。しかし、“常勝軍団”と呼ばれたクラブにとっては屈辱的なシーズンが続いていると言えよう。

来季こそタイトルを獲得すべく、昨季まで8年にわたって川崎フロンターレを指揮しタイトルをもたらしてきた鬼木達氏を新監督に招聘。補強を見ても実力者を数多く迎え万全の状態を整えつつある。ここでは、そんな鹿島の冬の補強について各ポジションごとにA~Eの5段階で評価していく(1月17日時点の情報に基づく)。

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鹿島アントラーズの今冬補強を評価。超強力な攻撃陣に期待大!

GK(ゴールキーパー)/DF(ディフェンダー):評価A

IN

  • DF松本遥翔(ユースからトップ昇格)
  • DF佐藤海宏(ユースからトップ昇格)
  • DF小池龍太(横浜F・マリノスより完全移籍)
  • DFキム・テヒョン(サガン鳥栖より完全移籍)
OUT

  • 須貝英大(京都サンガへ完全移籍)
守備陣について、GKに関しては現時点で動きはない。その一方で、DFラインは効果的な補強がなされた。昨季鹿島の守備陣は絶対的守護神のGK早川友基とDF安西幸輝、DF植田直通が全試合に出場。DF関川郁万も37試合とほぼすべての試合に出ており、大卒ルーキーとして活躍したDF濃野公人もシーズン終盤の怪我がなければ同様の出場試合数になっていたことが想像できる。もちろん出場し続けられるタフさと安定感を持つ彼らの能力は頼もしいが、一方で負担や怪我のリスクを考慮すれば選手層により厚みを持たせたいという思いを持っても不思議はない。

そんな鹿島に今冬新戦力として他クラブより加わったのがDF小池龍太とDFキム・テヒョンの2名。
小池は2023シーズンから怪我による長期離脱があり、昨季終盤ようやくフル出場する姿をみせていた。2022シーズンには26試合に出場して3ゴール2アシストと横浜F・マリノスのリーグ優勝にも貢献している頼もしい存在。また、サガン鳥栖から加入したキムは昨季がJ1初挑戦で26試合に出場。残念ながらチームは降格を味わったが、個人として活躍を見せており左利きという点も含め注目だ。

サイドバックでは2023シーズン途中にヴァンフォーレ甲府より獲得したDF須貝英大がチームを離れたが、即戦力を2名獲得しユースからのトップ昇格も含め選手層の充実は図れたと言えることから評価を「A」とした。

鹿島アントラーズの今冬補強を評価。超強力な攻撃陣に期待大!

MF(ミッドフィールダー):評価C

IN

  • 下田栄祐(いわきFCへの期限付き移籍より復帰)
  • 松村優太(東京ヴェルディへの期限付き移籍より復帰)
  • 荒木遼太郎(FC東京への期限付き移籍より復帰)
OUT

  • ギリェルメ・パレジ(期限付き移籍期間満了)
  • 名古新太郎(アビスパ福岡へ完全移籍)
  • 藤井智也(湘南ベルマーレへ完全移籍)
  • 仲間隼人(柏レイソルへ完全移籍)
  • 須藤直輝(高知ユナイテッドSCへ期限付き移籍)
  • ラドミル・ミロサヴリェヴィッチ(FKラドニチュキ・ニシュへ期限付き移籍)
中盤は主力にも動きのある冬となった。昨季36試合に出場し5ゴール9アシストと攻撃を支えた名古新太郎がアビスパ福岡へ完全移籍。豊富な運動量で守備でも貢献した選手なだけに、手放したことは大きな痛手だ。また、同じくハードワークで攻守に存在感を発揮した仲間隼人は古巣でもある柏レイソルへ移籍。さらに、途中出場がメインながらもスピードを武器にチャンスに多く絡んだ藤井智也もチームを去るなど、少なからず戦力流出が発生している。

だが、必ずしもマイナスな面ばかりではない。厳密には補強と意味合いが異なるが、武者修行先で結果を出した選手たちが帰還するからだ。特に注目なのはFC東京への期限付き移籍から復帰する荒木遼太郎。
昨季は開幕戦で早速出場機会を得るといきなりの2ゴールをマーク。最終的には7ゴール4アシストといずれもチームトップの数字を残した。夏にはパリ五輪への出場も果たしており、有意義なシーズンを過ごしたと言えよう。

決して小さくない戦力流出はあったものの、期限付き移籍先で評価を高めた選手の帰還は新シーズンに向けて大きな戦力としてカウントできることから評価を横ばいの「C」とした。

鹿島アントラーズの今冬補強を評価。超強力な攻撃陣に期待大!

FW(フォワード):評価A

IN

  • 徳田誉(ユースからトップ昇格)
  • レオ・セアラ(セレッソ大阪より完全移籍)
最前線には今冬リーグ全体で見ても目玉と言える補強が行われた。昨季リーグ2位となる21ゴールをマークした点取り屋レオ・セアラをセレッソ大阪より獲得。また、昨季は2種登録ながらクラブのJ1最年少ゴール記録更新となる得点もマークするなど、期待をさらに膨らませた徳田誉もトップ昇格となっており、攻撃陣はより一層厚みを増した。

また、期限付きで鹿島へと加入していたチャヴリッチが完全移籍へ移行となったことも大きい。昨季は残念ながらシーズン途中の負傷の影響もあり25試合の出場に留まったが、試合に出れば高い推進力と得点力を見せつけており、そんな彼が来季も残留したことは極めて大きな価値がある。

染野唯月が期限付き移籍先の東京ヴェルディへ完全移籍となったものの、国内屈指のストライカーを新たに獲得し期待感のある新星もユースから正式にトップ昇格となる。さらに、昨季存在感を放った助っ人が完全移籍へと移行し攻撃陣は間違いなくリーグ屈指のものになったと言えることから評価を「A」とした。
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