昨2024シーズンに続き、全20チームで争われる2025明治安田J2リーグが2月15日に開幕。毎年順位が読めないことでお馴染みのJ2だが、今季は例年にも増して激戦必至。
加えて、その他にもこれまでとの違いがいくつか見られる。

では、いったいどのような傾向が予想されるのだろうか。ここでは、2025シーズンのJ2の楽しみ方を解説する。

補強に貪欲な理由とは?J2リーグ2025の楽しみ方

積極的な補強が目立つ理由

「J1昇格」を目標に設定するクラブは例年多くみられるが、2025シーズンは単なる目標ではなく、より現実味を持って目指しているクラブが目立つ。ヴィッセル神戸(J1)の主将で元日本代表のMF山口蛍を獲得したV・ファーレン長崎やセレッソ大阪(J1)でスタメン出場を続けていたDF鳥海晃司を獲得したジェフユナイテッド千葉、同じくC大阪からMF為田大貴を獲得したジュビロ磐田などが該当する。

それは例年とは異なる今シーズンの意味合いが関係している。Jリーグは2025シーズン終了後に「シーズン移行」が実施される。2026/27シーズンからは8月1週目頃に開幕し、翌年5月下旬に最終節が開催される予定だ。そのため2026年前半にはシーズン移行期に伴う約半年間の特別大会が開催される。「J1リーグ特別大会」と「J2・J3リーグ特別大会」に分けて開催されるこの大会は昇降格がないため、2025シーズンに昇格を逃すと最短でも約1年半は昇格のチャンスを得られない。反対にいえば、2025シーズンに昇格すれば最低でも約1年半は「J1クラブ」として戦える。この機を逃すまいと、今シーズンの昇格を本気で目指すクラブが多いのだ。

補強に貪欲な理由とは?J2リーグ2025の楽しみ方

昨季の監督を継続するチームが増加

以前はJ2クラブを監督キャリアの出発地点とする指導者が多かったものの、近年はJ3が新規監督挑戦の場となりつつある。2024シーズンで昇降格していない14クラブのうち、今冬監督交代に踏み切ったクラブはなんと0。
昨季途中で監督交代に踏み切ったクラブはあるが、その指揮官との契約を更新している。

昨シーズンから降格枠が3枠へ拡大したこともあり、そのリスクを避けたいという意識が影響していると考えられる。降格という失敗を犯したくないがために継続路線を選択し、調子が上がらなければシーズン中に交代に踏み切るのだろう。

なお、J1からの降格によってJ2に参戦するジュビロ磐田、サガン鳥栖、北海道コンサドーレ札幌はいずれも監督交代に踏み切った。J3から昇格しJ2に参戦するクラブもFC今治が監督交代を決断している。継続路線か一新か、どちらが成功例となるのか注目である。

補強に貪欲な理由とは?J2リーグ2025の楽しみ方

出場機会を求めてJ1からJ2へ

近年はJ1からJ2のクラブへ移籍する有力選手が増えている。2025シーズンであれば、前述のMF山口やDF鳥海、MF為田はもちろん、浦和レッズからベガルタ仙台へと完全移籍で加わったMF武田英寿、横浜F・マリノスからV・ファーレン長崎へと完全移籍で加わったDFエドゥアルドらがこれに該当する。

Jリーグのクラブ全般にいえることだが、コロナ禍以降平均予算が増加傾向にある。キープレーヤーだと判断した選手には、J1クラブに匹敵する条件を提示できるようになっていることが関係している。また、J1で定位置を掴み切れなかった選手がJ2への期限付き移籍によって出場機会を求めるケースも多い。名古屋グランパスから愛媛FCへ加入したMF吉田温紀、名古屋から磐田へ加入したMF倍井謙、柏レイソルからヴァンフォーレ甲府へと加入したMF土屋巧、湘南ベルマーレからカターレ富山へと加入したDF吉田新らはこれに該当するだろう。

J2を経験しJ1の主力へと羽ばたいていく選手はもはや珍しくなく、2025シーズンもそのような選手の羽化を見られるはずだ。


補強に貪欲な理由とは?J2リーグ2025の楽しみ方

久しぶりにJ2参戦のクラブ多数

昇降格枠がそれぞれ3つへ増えた影響もあり、久しぶりにJ2で戦うクラブも多い。J1から降格した札幌が2016シーズン以来9年ぶり、鳥栖に至っては2011シーズン以来14年ぶりのJ2参戦となる。J3からの昇格クラブでは富山が2014シーズン以来11年ぶり、FC今治はクラブ初の参戦だ。

J1クラブでは鹿島アントラーズと横浜FMが、J3クラブではヴァンラーレ八戸、福島ユナイテッド、AC長野パルセイロ、アスルクラロ沼津、FC大阪、奈良クラブ、テゲバジャーロ宮崎、そして新たに参入する栃木シティと高知ユナイテッドがJ2未経験クラブ。昇降格により、どのクラブがJ2に参戦するのか見ものである。

補強に貪欲な理由とは?J2リーグ2025の楽しみ方

J1とJ3から各6クラブが流入

2024シーズンからJ1は下位3クラブがJ2へ自動降格、J2では上位2クラブおよびJ1昇格プレーオフを勝ち抜いた1クラブの計3クラブがJ1へ昇格し下位3クラブがJ3へ。J3からJ2への昇格も上位2クラブとJ2昇格プレーオフを勝ち抜いた1クラブの計3クラブへと拡大された。そのため、2025シーズンは昨季もJ2に所属していた14クラブに、他のカテゴリーから新たに参戦する6クラブを加えた計20クラブで構成されている。

つまりJ2はチームの流動性が上がっており、各クラブは1年たりとも気を抜けないため補強に余念がないのだ。昇降格の争いがより激化することは間違いない。それに伴い選手の流動性も上がり、より競争力のあるリーグへと成長を続けている。今シーズンのJ2がどのような結末を遂げるのか、今から楽しみで仕方がない。
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