昨2024シーズンの開幕前、他のJ1クラブと比較しても大規模と言える補強を行った浦和レッズ。MF渡邊凌磨やFW前田直輝といった日本人選手に加え、2022シーズンのJ1得点王FWチアゴ・サンタナやスウェーデン代表経験もあるMFサミュエル・グスタフソンといった強力な外国籍選手も得て前年以上の躍進が期待された。
しかし、シーズン序盤から勝ち点が伸び悩み加えて夏にはDFアレクサンダー・ショルツやMF伊藤敦樹といった主力が移籍。そして、8月末には監督交代に踏み切るもチームが勢いづくことはなく最終的に13位でシーズンを終えた。

2025シーズンこそ再び上位争いに食い込むため、またFIFAクラブワールドカップ2025への出場を控えていることもあり今冬は昨冬以上に積極的な補強の動きを見せている。ここでは、そんな浦和の今冬補強についてポジションごとにA~Eの5段階で評価していく。

関連記事:名古屋グランパスの今冬補強を評価。攻守に注目選手が多数加入!

浦和レッズの今冬補強を評価。今季こそ補強の効果を順位で示せるか!

GK(ゴールキーパー)/DF(ディフェンダー):評価C

IN

  • DF根本健太(流通経済大学より加入)
  • DF荻原拓也(GNKディナモ・ザグレブへの期限付き移籍より復帰)
  • DFダニーロ・ボザ(ECジュベントゥージより完全移籍)
OUT

  • DF佐藤瑶大(名古屋グランパスへ完全移籍)
  • DF大畑歩夢(OHルーヴェンへ完全移籍)
守備陣は他のポジションと比較すると動きの少ない冬となっており、GK陣に現時点で動きはない。DFラインにはルーキーを含め新戦力が加わる。注目はクロアチアのGNKディナモ・ザグレブへ期限付き移籍していたDF荻原拓也の復帰。1年の武者修行を経てどんな進化を遂げたのか、成長ぶりを見るのが楽しみなファンやサポーターも数多くいることだろう。また、新たな外国籍選手としてDFダニーロ・ボザの加入も発表されており、昨季加入したDF佐藤瑶大が他クラブへ移籍となったものの新たに長身DFの獲得に成功している。

その一方で痛手なのは、ここにきてDF大畑歩夢がベルギーのOHルーヴェンへと移籍してしまったこと。昨季はパリ五輪本大会メンバー入りも果たし、クラブでも特に後半戦は左サイドバックとして確固たる地位を確立していただけに、新たな挑戦が喜ばしい反面浦和でのさらなる活躍を楽しみにしていたファンやサポーターにとっては残念な流出となった。

頼もしい選手の帰還に新たな外国籍選手の獲得があったものの、昨季の新戦力と成長著しい若手が移籍となった今冬の浦和。
戦力の増減という意味ではほぼ横ばいと言えようことから評価を「C」とした。

浦和レッズの今冬補強を評価。今季こそ補強の効果を順位で示せるか!

MF(ミッドフィールダー):評価A

IN

  • 柴戸海(町田ゼルビアへの期限付き移籍より復帰)
  • 松本泰志(サンフレッチェ広島より完全移籍)
  • マテウス・サヴィオ(柏レイソルより完全移籍)
  • 金子拓郎(KVコルトレイクより完全移籍)
  • 早川隼平(ファジアーノ岡山への期限付き移籍より復帰)
OUT

  • 宇賀神友弥(引退)
  • エカニット・パンヤ(愛媛FCへ期限付き移籍)※昨季はムアントン・ユナイテッドより期限付きで加入
  • 武田英寿(ベガルタ仙台へ完全移籍)
  • 堀内陽太(栃木SCへ期限付き移籍)
  • 小泉佳穂(柏レイソルへ完全移籍)
中盤の新戦力は、どのJクラブのそれと比較しても豪華な顔ぶれとなった。最も注目すべきなのは、柏レイソルから加入のマテウス・サヴィオの存在。前線でのキープ力や豊富なアイデア、ドリブルでの突破力に献身的なプレスと攻守にわたって柏を支え続けたJ屈指の外国籍選手の獲得に成功した。また、サンフレッチェ広島より加入の松本泰志も攻撃にアクセントをつけられる選手。昨季は36試合と出場機会を増やして3ゴール2アシストと結果も残しており、広範囲に顔を出せる運動量からサヴィオと同様新たな攻撃のキーマンとして期待される。さらに、サイドの突破が魅力な金子拓郎も獲得。2023シーズンには移籍する夏までに北海道コンサドーレ札幌で21試合出場8ゴールをマークしており、得点源としても注目だ。期限付き移籍から復帰の柴戸海と早川隼平の2名も、武者修行先で出場機会を掴み経験を積んでおり戦力として申し分なく、新加入選手たちと同様に大きな期待を寄せるに値すると言えよう。

一方で、昨季チームに復帰した宇賀神友弥の引退や武者修行先から帰還してここからの活躍が楽しみだった武田英寿の移籍など残念な面もあった。とはいえ、新たに加入した選手や期限付き移籍先から復帰する選手たちの存在を考慮すれば大きく戦力アップを図れたことは間違いないことから評価を「A」とした。

浦和レッズの今冬補強を評価。今季こそ補強の効果を順位で示せるか!

FW(フォワード):評価B

IN

  • 照内利和(ユースからトップ昇格)
  • 髙橋利樹(横浜FCへの期限付き移籍より復帰)
  • 長倉幹樹(アルビレックス新潟より完全移籍)
OUT

  • 興梠慎三(引退)
  • ブライアン・リンセン(NECナイメヘンへ完全移籍)
  • 木原励(レイラック滋賀へ期限付き移籍)
前線では、11シーズンにわたってクラブを支えてきた興梠慎三が昨季をもって引退。近年は先発する機会も減り得点数も伸び悩んでいたが、長く攻撃を牽引してきたベテランがチームを去った。
また、昨季は17試合に出場し2ゴールを挙げたブライアン・リンセンもオランダへ移籍しており、頼もしい選手がチームを離れている。

しかし、即戦力の獲得により楽しみも多い。アルビレックス新潟より加入の長倉幹樹は昨季リーグ戦で30試合に出場し5ゴールをマーク。加えてYBCルヴァンカップでは6ゴールを挙げて大会得点王に輝いており、新潟の準優勝の立役者となった選手だ。浦和の下部組織出身であることも含め、今から期待に胸を膨らませるファンやサポーターも数多くいることだろう。また、横浜FCへと期限付き移籍していた髙橋利樹がチームに復帰。移籍後は31試合に出場し4ゴールと前線の主軸を務め、結果を残しての帰還となった。

寂しいベテランとの別れがありつつも、新たな得点源の獲得には成功した浦和。選手層という面でも満足のいく補強になったと言えることから評価を「B」とした。
編集部おすすめ