2022シーズンに5位、2023シーズンは4位とJ3で着実に順位を上げてきたFC今治。迎えた2024シーズンは前半戦で一時4連敗するなど苦しむ場面もあったが、後半戦には持ち直し自動昇格圏の2位で終え悲願のJ2昇格を果たした。


クラブ史上初のカテゴリーへ臨む今治だが、今季のJ2は過去にJ1経験のあるクラブが過半数を超え、かつてないほどに厳しい環境。しかし今冬の補強はそんな過酷なリーグでも期待できるものとなっている。ここでは、J2初挑戦となる今治の今冬補強についてポジションごとにA~Eの5段階で評価していく。

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FC今治の今冬補強を評価。頼もしい新戦力といざJ2へ!

GK(ゴールキーパー)/DF(ディフェンダー):評価B

IN

  • GK高木和徹(ジェフユナイテッド千葉より完全移籍)
  • GK植田峻佑(テゲバジャーロ宮崎より完全移籍)
  • GK立川小太郎(いわきFCより完全移籍)
  • DF大森理生(FC東京より期限付き移籍)
  • DFイ・ヨンジュン(FCソウルU-18より加入)
  • DFダニーロ(アトレチックMGより加入)
OUT

  • GK修行智仁(引退)
  • GK小澤章人(FC琉球へ完全移籍)※昨季はブラウブリッツ秋田より期限付きで加入
  • GK滝本晴彦(契約満了)
  • GKセランテス(FC岐阜へ完全移籍)
  • DF白井達也(ヴァンラーレ八戸へ完全移籍)
  • DF二見宏志(引退)
守備陣について、DFラインは加藤徹也や市原亮太といった主力の多くがチームに残留。その上で、昨季いわきFCの躍進を支えた大森理生がFC東京より期限付きで加入し、加えて新たに外国籍選手も獲得して選手層に厚みを出した。

一方で、GK陣はやや不安が残る。昨季9試合に出場した伊藤元太はチームに残ったものの、27試合と最も出場機会の多かったセランテスがFC岐阜へ移籍。同じく出場のあった小澤章人もチームを離れた。彼らに代わる新たな守護神候補として、昨季いわきFCで36試合に出場した立川小太郎やJ1とJ2のクラブを渡り歩いてきた高木和徹を獲得。頼もしい新戦力を加えたことは間違いないが、初めて上のカテゴリーへと進んだチームの状況を考慮すると守備の要が代わることは懸念材料にもなり得る。

GK、DFラインともに直近のシーズンJ2クラブで主力を務めた選手の加入は頼もしく、ポジション争いの質も高くなることで底上げにも期待ができる。
初のJ2カテゴリーで守護神変更にやや不安な面はあるが、効果的な補強が叶ったことから評価を「B」とした。

FC今治の今冬補強を評価。頼もしい新戦力といざJ2へ!

MF(ミッドフィールダー):評価C

IN

  • 笹修大(札幌大谷高校より加入)
  • 持井響太(アスルクラロ沼津より完全移籍)
  • 梶浦勇輝(FC東京より期限付き移籍)
  • ヴィニシウス・ディニス(オペラリオ・フェロヴィアリオECより期限付き移籍)
OUT

  • 楠美圭史(SHIBUYA CITY FCへ加入)
  • トーマス・モスキオン(契約満了)
  • 土肥航大(期限付き移籍期間満了に伴い退団)
中盤は一部主力の流出が発生した。昨季29試合に出場して中盤を支え、J2昇格にも大きく貢献したトーマス・モスキオンが契約満了。小柄ながらも高いボール奪取力が光り、攻撃の芽を摘む役割を果たしていた選手の流出により今季守備面には大きな不安が残る。

対して攻撃面では楽しみな選手が複数加った。J3のアスルクラロ沼津から加入の持井響太と直近2シーズンはツエーゲン金沢でプレーしていた梶浦勇輝の2名は、いずれもゴールやアシストといった決定的な仕事の出来る存在。昨季の数字で見ても、持井は5ゴール2アシスト。梶浦も8ゴール6アシストとJ3においては大いに存在感を放っていた。もちろん、J2へとカテゴリーが上がることで活躍の難易度は上がるが、新たな攻撃のピースを手に入れたことに違いはないと言えよう。

トーマス・モスキオンを失った一方で、攻撃面では得点力アップにつながる選手を複数得た今治。守備ではマイナス、攻撃ではプラスの補強となったことから評価は横ばいの「C」とした。

FC今治の今冬補強を評価。頼もしい新戦力といざJ2へ!

FW(フォワード):評価B

IN

  • 藤岡浩介(FC岐阜より完全移籍)
OUT

  • 桝田凌我(ジョイフル本田つくばFCへ加入)※昨季は福山シティより期限付きで加入
  • 髙瀨太聖(契約満了)
  • アンジェロッティ(鹿児島ユナイテッドへ完全移籍)
  • 阪野豊史(引退)
最前線には、昨季J3で今治に所属するマルクス・ヴィニシウスと同じく19ゴールを挙げて得点王に輝いた藤岡浩介が加入した。マルクスも契約更新となっており、カテゴリーは違えどJ2各クラブの守備陣に脅威を与える補強と言えよう。


ただし、必ずしもプラスの要素ばかりではない。昨季27試合に出場し、3ゴール4アシストと要所でゴールに関わるプレーを多く見せたベテラン阪野豊史が引退。また、途中出場が多いながらも3アシストを挙げたアンジェロッティも移籍となっている。

控えにまわるゲームが多いなかでも、得点の期待を感じさせていたタレントが複数チームを離れた今冬の今治。とはいえ、昨季J3得点王となった2名の共演はファンやサポーターにとって楽しみなものに違いない。選手層で見ればやや薄くなりつつも、確実に得点力アップとなる補強が叶ったことから評価を「B」とした。
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