各地で熱戦が繰り広げられた開幕戦。各クラブの新戦力が多くお披露目されるなかで、ルーキーながら出場機会を与えられ見せ場を作った選手もいる。ここでは、今後のリーグ戦に向け期待が膨らむプレーを見せたルーキーたちを4名紹介していく。

中村草太(サンフレッチェ広島)
昨季は優勝したヴィッセル神戸と勝ち点4差の2位でシーズンを終えたサンフレッチェ広島。今季開幕戦では昨季優勝を争ったライバルでもある町田ゼルビアと対戦した。前半のうちに失点し先行を許すも後半に2つのゴールを挙げて逆転勝利で白星発進に成功。いきなりの大一番を制したこのゲームで、逆転ゴールを挙げチームの勝利に貢献したのが明治大学より今季加入したFW中村草太だ。大学時代は3年時から2年連続で関東大学サッカーリーグの得点王とアシスト王の両方に輝いた経験もある中村。特に昨年は明治大学を無敗で優勝に導いており、他のルーキーと比較しても大きな期待を寄せられていたに違いない。そして迎えた開幕戦、先に行われたAFCチャンピオンズリーグ2のナムディンFC戦で既にゴールを挙げていた中村は、後半途中に投入された直後、ミドルシュートのこぼれ球に詰めて値千金の逆転ゴールをマーク。公式戦2連発という活躍で早くも大器の片鱗を見せつけた。
広島の前線は今冬複数の外国籍選手がチームを去ったが、代わりに昨季19ゴールを挙げたFWジャーメイン良が加入。中村といえどスタメンの座は簡単に手にできるものではないだろう。とはいえ、現時点でのアピールは十分すぎるほどであることも事実。チーム内の序列争いレベルを高める意味でも、今季こそ優勝を目指す広島にとって大きな存在になることは間違いない。

嶋本悠大(清水エスパルス)
昨年の高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ2024で優勝を成し遂げた大津高校。そんなチームで中心となっていたのが、清水エスパルスへ加入したMF嶋本悠大だ。今季の清水には、昨年プロ契約を結んだ下部組織出身のMF西原源樹をはじめ同世代の注目株が多数いる。そのなかで嶋本は、唯一開幕戦での出場機会を得た。清水の開幕節の対戦相手は東京ヴェルディ。2023シーズンのJ1昇格プレーオフ決勝で激突し、試合終盤の失点によりJ1復帰を逃した因縁の相手でもある。ファンやサポーターにとっても過去にないほど注目度の高まった一戦で、嶋本はゲーム最終盤のわずかな時間プレーを許された。残念ながらボールを持てる時間は少なかったが、終了間際にインターセプトからカウンターの機会を作り攻撃完結が難しいと見るや落ち着いてボールをキープするなど、技術と状況判断力の高さを見せた。
嶋本が主戦場とする中盤中央は今冬新加入の選手も複数おりポジション争いは熾烈を極めるだろう。

新井悠太(東京ヴェルディ)
2023年から2シーズンの特別指定を経て東京ヴェルディへ加入したMF新井悠太。大学3年時に出場したJ2リーグ第24節のV・ファーレン長崎戦でいきなりゴールをマークし、続く第25節町田ゼルビア戦では、途中出場から左サイドで圧倒的な存在感を放ちアシストを挙げるなど以前から注目度の高い選手だ。今季は開幕節の清水エスパルス戦で後半途中から出場。残念ながらチームは敗れ黒星スタートとなったが、早速持ち味を発揮したプレーを多く見せていた。最大の売りはドリブル。清水戦でも敵陣深くまで切り込むドリブルで相手DF陣の脅威となり続けチャンスを作り出している。J1では昨年3試合の出場のみとまだまだ未知数な部分も多い。だが、抜群の突破力から流れを変える存在となれることは開幕戦でも十分に示せた。
昨季期限付きで加入していた選手の多くが完全移籍へと移行してチームに残り、そこへ若く将来性豊かな新戦力も加えた東京V。昨季の6位を超えるべく、攻撃面で明確な武器を持つ新井の活躍にもまた注目だ。

名和田我空(ガンバ大阪)
2023年に行われたAFC U-17アジアカップ2023に日本代表として出場し、決勝(韓国戦)での2ゴールなどで優勝に大きく貢献したMF名和田我空。去就が注目された逸材は昨年12月、2025シーズンよりJ1のガンバ大阪への加入内定が発表された。後半途中で交代となったが、前半から積極的にゴールを狙う姿勢が見られた。クロスにニアで反応して合わせる場面や、ミドルシュートなどチームトップとなる4本のシュートを放ちゴールの可能性を感じさせるシーンが見られた。残念ながら2-5と大量失点で敗れ黒星スタートとなったが、注目のルーキーが初戦からスタメンとして出場し見せ場を作ったことは長いシーズンを考慮すると極めて価値があると言えよう。
昨季は4位と前年の16位から大きく躍進したG大阪。今季も上位争いに食い込むために、果敢にゴールを狙う高卒ルーキー名和田の活躍は不可欠なものとなりそうだ。