明治安田J1リーグ第3節が2月26日に開催された。今2025シーズン3季ぶりに復帰したJ1で開幕2連勝し首位に立っていた清水エスパルスは、ホームのIAIスタジアム日本平に、昨2024シーズン2位で同じく開幕2連勝で2位につけるサンフレッチェ広島を迎え、1-1で引き分け。
J1で「昇格組」のチームが開幕3戦無敗の前例としては、2000シーズンのFC東京、2002シーズンのベガルタ仙台、2005シーズンの大宮アルディージャ、2011シーズンの柏レイソル、そして昨2024シーズン、J1初昇格ながら大旋風を巻き起こした町田ゼルビアがある。これらのチーム全てがJ1残留に成功し、柏に至っては前年の2010シーズンにJ2を制した勢いのままJ1初優勝を飾った。
3回ものJ1優勝(2012、2013、2015)を誇る広島だが、同対戦の相性でいえば清水30勝、広島26勝、引き分け14と、清水に軍配が上がる。しかも清水は中3日に対し、広島は中2日でのアウェイ戦、2月だけで6戦目という過密日程。清水とすれば付け入る隙があっただけに勝ちたかったところだが、広島の試合運びには一日の長があった。
ここではJ1第3節、清水対広島の試合を振り返り、清水の好調の要因を紐解く。
前半12分、MF松崎快の突破からのクロスが広島DFのオウンゴールを誘い先制した清水。しかし、後半20分、ハーフタイム明けに投入されたチーム最年長36歳の広島DF塩谷司にセットプレーからのこぼれ球をボレーで決められた。
後半29分には、昨2024シーズン、ユース所属ながら鮮烈なJデビューを果たしたMF西原源樹を投入。同時に4バックに変更しギャップを突こうと試みるが、ゴール前での局面で精度を欠いた。
秋葉監督が試合後のフラッシュインタビューで指摘していたように、“攻め急ぎ”が目立った広島戦。一方で、蓮川壮大、住吉ジェラニレショーン、高木践で構成するDFラインは堅牢で、磐田時代から苦手としていた広島FWジャーメイン良にも得点を許さなかった。
特に右サイドバックを定位置としながらも、フォーメーションの変更に合わせるようにセンターバックやウイングバックも器用にこなし、開幕戦の東京ヴェルディ戦(2月16日/国立競技場/1-0)ではアシストも記録したDF高木践のブレークが大きい。
秋葉監督も「有り難い存在」と認めるそのプレーぶりは、“偽サイドバック”としてインナーラップが持ち味だった前任者のMF原輝綺(名古屋グランパス)とは全く異なるが、自身のストロングポイントを遺憾なく発揮している。サポーターにとっても秋葉監督にとっても嬉しい誤算だ。
さらに、MF宇野禅斗とブエノのボランチコンビは“奪ったら前へ”が意思統一されており、乾ら攻撃陣への前付けも早く、速攻に結び付けている。ボールを奪ってもまずはバックパスしてビルドアップする形から脱却し、いわゆる“ボールを持たされている”状況が少なくなったことも大きい。
実際、この日の広島戦でもボール支配率は40%ほどだったが、それを感じさせないほどのがっぷり四つの攻防を見せていた。
攻撃陣には、ベンチから外れたMFカピシャーバ、MF矢島慎也に加え、高卒2年目のFW郡司璃来と高卒ルーキーのMF嶋本悠大も控えており厚みがある。
得意のホーム戦で引き分けたものの、相手は昨季2位の広島だったことを考えれば悪い結果ではない。逆に1失点でしのぎ切ったことはイレブンの自信に繋がっただろう。
清水はこの後、ファジアーノ岡山戦(3月2日/JFE晴れの国スタジアム)、ガンバ大阪戦(3月8日/パナソニックスタジアム吹田)とアウェイ戦が続く。攻撃陣の層が厚い半面、守備陣の層は薄く、特に経験あるセンターバックの控えはDF高橋祐治しかいない。DFでケガ人が複数出た際に不安を抱えるだけに、この2戦が清水の真価が問われる連戦となるだろう。
今季初失点を喫し、首位の座こそ開幕3連勝の湘南ベルマーレに明け渡したものの、3位をキープした。
J1で「昇格組」のチームが開幕3戦無敗の前例としては、2000シーズンのFC東京、2002シーズンのベガルタ仙台、2005シーズンの大宮アルディージャ、2011シーズンの柏レイソル、そして昨2024シーズン、J1初昇格ながら大旋風を巻き起こした町田ゼルビアがある。これらのチーム全てがJ1残留に成功し、柏に至っては前年の2010シーズンにJ2を制した勢いのままJ1初優勝を飾った。
3回ものJ1優勝(2012、2013、2015)を誇る広島だが、同対戦の相性でいえば清水30勝、広島26勝、引き分け14と、清水に軍配が上がる。しかも清水は中3日に対し、広島は中2日でのアウェイ戦、2月だけで6戦目という過密日程。清水とすれば付け入る隙があっただけに勝ちたかったところだが、広島の試合運びには一日の長があった。
ここではJ1第3節、清水対広島の試合を振り返り、清水の好調の要因を紐解く。

“ガチンコ”のミラーゲームに
清水の秋葉忠宏監督は2連勝したメンバーに手を加え、広島戦で今季初出場となるDF北爪健吾を先発させ、右ウイングバックに置く3バックを採用。同じく3バックを基本とする広島に対し、あえて“ガチンコ”のミラーゲームに挑んだ。前半12分、MF松崎快の突破からのクロスが広島DFのオウンゴールを誘い先制した清水。しかし、後半20分、ハーフタイム明けに投入されたチーム最年長36歳の広島DF塩谷司にセットプレーからのこぼれ球をボレーで決められた。
後半29分には、昨2024シーズン、ユース所属ながら鮮烈なJデビューを果たしたMF西原源樹を投入。同時に4バックに変更しギャップを突こうと試みるが、ゴール前での局面で精度を欠いた。
秋葉監督にしては珍しく、後半36分の段階で交代カードを使い切ったものの、あと1点が遠かった。
秋葉監督が試合後のフラッシュインタビューで指摘していたように、“攻め急ぎ”が目立った広島戦。一方で、蓮川壮大、住吉ジェラニレショーン、高木践で構成するDFラインは堅牢で、磐田時代から苦手としていた広島FWジャーメイン良にも得点を許さなかった。

好調の要因はDFにあり
今季の清水はMF乾貴士やFW北川航也、外国人選手のFWアフメド・アフメドフ、FWドウグラス・タンキ、MFマテウス・ブエノに注目が集まっているが、好調の要因はDFにある。特に右サイドバックを定位置としながらも、フォーメーションの変更に合わせるようにセンターバックやウイングバックも器用にこなし、開幕戦の東京ヴェルディ戦(2月16日/国立競技場/1-0)ではアシストも記録したDF高木践のブレークが大きい。
秋葉監督も「有り難い存在」と認めるそのプレーぶりは、“偽サイドバック”としてインナーラップが持ち味だった前任者のMF原輝綺(名古屋グランパス)とは全く異なるが、自身のストロングポイントを遺憾なく発揮している。サポーターにとっても秋葉監督にとっても嬉しい誤算だ。
さらに、MF宇野禅斗とブエノのボランチコンビは“奪ったら前へ”が意思統一されており、乾ら攻撃陣への前付けも早く、速攻に結び付けている。ボールを奪ってもまずはバックパスしてビルドアップする形から脱却し、いわゆる“ボールを持たされている”状況が少なくなったことも大きい。
実際、この日の広島戦でもボール支配率は40%ほどだったが、それを感じさせないほどのがっぷり四つの攻防を見せていた。

もしタンキが出ていれば…
惜しかったのは終盤、行ったり来たりの展開を見せていただけに、この日出場機会のなかったドウグラス・タンキが出ていれば、フィジカルが生きたのではないかという点だ。結果論ではあるが、西原はじめ、途中出場のMF中原輝やMF小塚和季が絡み、アフメドフにボールが入ることが多かっただけに、「もしタンキがいれば…」と感じざるを得ない。攻撃陣には、ベンチから外れたMFカピシャーバ、MF矢島慎也に加え、高卒2年目のFW郡司璃来と高卒ルーキーのMF嶋本悠大も控えており厚みがある。
GKに関しても沖悠哉は昨2024シーズンまでゴールマウスに君臨していた元日本代表GK権田修一に劣らない安定感を見せている。
得意のホーム戦で引き分けたものの、相手は昨季2位の広島だったことを考えれば悪い結果ではない。逆に1失点でしのぎ切ったことはイレブンの自信に繋がっただろう。
清水はこの後、ファジアーノ岡山戦(3月2日/JFE晴れの国スタジアム)、ガンバ大阪戦(3月8日/パナソニックスタジアム吹田)とアウェイ戦が続く。攻撃陣の層が厚い半面、守備陣の層は薄く、特に経験あるセンターバックの控えはDF高橋祐治しかいない。DFでケガ人が複数出た際に不安を抱えるだけに、この2戦が清水の真価が問われる連戦となるだろう。
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