第3節までの日程が終了した2025明治安田J1リーグ。ここまでは、昨季15位で終えた湘南ベルマーレが唯一3連勝を達成し首位、17位で終えていた柏レイソルが2勝1分けで4位と昨季の下位勢が快調な滑り出しを見せている。
また、J2からの昇格組3クラブ(清水エスパルス、横浜FC、ファジアーノ岡山)もすでに今季初白星を挙げるなど健闘。その一方で王者ヴィッセル神戸が3連続引き分けとなるなど序盤戦から波乱含みのリーグ戦となっている。

昨季は、サンフレッチェ広島のDF中野就斗やガンバ大阪から今冬ベルギーのKVCウェステルローへと移籍したFW坂本一彩といった選手たちが急成長を遂げチーム躍進の立役者となった。そして今季も、すでにチームにとって不可欠な存在と呼べるほど急成長を果たしている選手が複数出ている。ここでは、今季シーズン序盤戦から各チームを牽引する働きを示し新たに覚醒の兆しが見える注目の若手選手を4名紹介していく。

【J1リーグ2025】覚醒の兆し!シーズン序盤から大活躍中の若手4選

宇野禅斗(清水エスパルス)

昨季、清水エスパルスにおけるJ1昇格とJ2優勝の立役者の1人であるMF宇野禅斗。夏に期限付き移籍で加入するとすぐさまスタメンに定着し、自身では2年連続となるJ2優勝を果たしている。今季もチームを率いる秋葉忠宏監督からの信頼は厚く、ここまで3戦すべてにスタメン出場。新加入のMFマテウス・ブエノとともに中盤を支えている。

加入当初より守備強度の高さやミドルシュートといった武器で存在感を示していた宇野だが、今季は前を向くボールタッチや前方へのパスなどよりチームを前進させるプレーが目立つ。新戦力も含め周囲との関係性も良好なことからチームの心臓として十分に機能し、2勝1分けという好発進の要因にもなっている。

宇野の同ポジションでは、昨年並んでプレーすることも多かったMF宮本航汰や今冬大分トリニータより加入したMF弓場将輝といった選手もおりチーム内での争いは熾烈だが、ここまでの3試合で差をつけたことは間違いない。J1復帰初年度となる今季、好スタートを切った清水。
このままシーズンを上位で過ごせるか、まさにチームの中心を担う宇野の活躍と成長に懸かっていると言っても過言ではないだろう。

【J1リーグ2025】覚醒の兆し!シーズン序盤から大活躍中の若手4選

北野颯太(セレッソ大阪)

昨季は開幕から8戦負けなしと好スタートを切るも、以降失速し最終10位でシーズンを終えていたセレッソ大阪。監督交代を経て迎えた今季は、開幕戦こそガンバ大阪との大阪ダービーを5-2で制したものの、以降は僅差で2連敗を喫し現時点で10位となっている。そんなC大阪にとって、開幕から好調なFW北野颯太の存在は長いシーズンを戦う上で大きな希望と言えよう。

開幕戦でいきなり2ゴール1アシストと結果を残すと、第3節の柏戦でもゴールを挙げここまで3試合で3ゴール。ゴール近くでの冷静かつアイデア溢れるプレーやそれを可能にするキック精度の高さで攻撃を牽引している。

C大阪の前線では、昨季リーグ2位の21ゴールをマークしたFWレオ・セアラが鹿島アントラーズへ移籍。新加入の外国籍選手も含め、誰が新たな攻撃のキーマンとなるのかが注目されていた。そこへ急激な北野の成長は、下部組織出身の選手なことも相まってファンやサポーターからしても願ってもないニューヒーロー誕生と言えよう。連敗脱出に向けて次節もゴールに絡めるか、覚醒の予感漂う北野の活躍に注目だ。

【J1リーグ2025】覚醒の兆し!シーズン序盤から大活躍中の若手4選

鈴木淳之介(湘南ベルマーレ)

J1へ復帰した2018年以降、二桁順位が続いている湘南ベルマーレ。昨年も残留争いに巻き込まれ最終15位でシーズンを終えていた。しかし、そんな厳しいシーズンの中でも選手たちの成長ぶりには目を見張るものがあった。残念ながら今冬サンフレッチェ広島へと移籍していったMF田中聡を筆頭に、サイドで推進力を見せるDF畑大雅や新エースFW鈴木章斗、さらに2023シーズン途中に当時J3のY.S.C.C.横浜から加入したFW福田翔生と若手が着実に力をつけている。


そして今季、現時点で首位を走るチームにおいて成長著しいのがDF鈴木淳之介だ。昨年後半戦から定位置を掴んだ鈴木は、今季ここまで3戦すべてにフル出場を果たしている。寄せの速さや出足の鋭いパスカットなど、攻撃の芽を早い段階で摘み取る能力でチーム好調の一因となっている。

連勝しているとはいえ、すべて1点差のゲームであることからも鈴木らDF陣の重要性が窺い知れると言えよう。クラブ史上初の開幕3連勝で勢いに乗る湘南、このまま大型連勝で上位争いに残りたい。そのためにも、守備に安定をもたらしつつある鈴木にはさらなる成長が求められる。

【J1リーグ2025】覚醒の兆し!シーズン序盤から大活躍中の若手4選

高木践(清水エスパルス)

昨年J2リーグ優勝を成し遂げ、3年ぶりとなるJ1復帰を果たした清水エスパルス。J1復帰初年度の今季は、18年ぶりにJ1開幕2連勝を達成し第3節では昨季2位の広島を相手に引き分け3戦負けなしと好スタートを切った。そんな清水で最も輝いているのが大卒2年目のシーズンを迎えているDF高木践だ。

清水のDFラインでは、今冬DF原輝綺が名古屋グランパスへと移籍。右サイドバックやセンターバックとして守備陣の要であった戦力を失っていた。しかし、原の背番号「70」を引き継いだ高木の活躍により、流出の影響を感じさせないシーズン序盤となっている。


昨年J2で13試合に出場した高木。今季はここまで3戦すべてにスタメン出場を果たしている。元々173cmと小柄ながらも高い身体能力には定評があったが、加えて今季は攻守両面で判断の良さが光る。開幕戦では背後を取る動き出しから先制点をアシストし、他の2試合においてもチャンスと見るやゴール前まで顔を出し守備でもカバーリングの速さを発揮するなど見せ場を多く作っている。原と同様サイドとセンター両方でプレーが可能であることも含めて、今季のJ1で最も成長が楽しみなディフェンダーと言えるだろう。
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