全20チーム中半数を超える11チームがJ1経験ありと実力のあるクラブが揃った今季のJ2リーグ。すでに混戦が予想されるシーズン序盤となっているが、例年終盤まで昇降格やプレーオフ圏争いが繰り広げられることを考えるとまだまだ序の口といったところなのだろう。
そんなJ2リーグにおいて、現在上位につけるチームを中心に活躍が目立つのは今冬新たに加わった新戦力たちだ。昨年のJ2上位勢やJ1組から選手を獲得したクラブも多いだけに、即戦力として早くもチームを牽引する働きを示す選手も少なくない。ここでは、開幕から出場機会を得てすでにチームに必要不可欠な存在となっている選手を4名紹介していく。

エドゥアルド(V・ファーレン長崎)
昨季はリーグ戦を2位と勝ち点1差の3位で終え、J1昇格プレーオフ進出を果たしたV・ファーレン長崎。残念ながら準決勝でベガルタ仙台に敗れJ1復帰は叶わなかったが、昇格に向けて前進したシーズンであったことは間違いない。今冬は主力のほとんどがチームに残留したことに加え、各ポジションに実力者を獲得し開幕を迎えている。そのうちの1人、横浜F・マリノスより加わったDFエドゥアルドの働きが際立っている。横浜FMのほか川崎フロンターレでもJ1優勝の経験を持つエドゥアルドは、開幕から3試合すべてにスタメンフル出場中。高い守備力もさることながらセットプレーの場面ではターゲットとしても存在感を発揮し、第2節のレノファ山口戦で早速加入後初ゴールも挙げている。
ここまで3試合での失点が「4」と多いが、同じく守備陣の新加入ではGK後藤雅明やDF高畑奎汰といった選手たちも定位置を掴んでおり、連携面の強化によって今後は改善が十分に見込める。

ガブリエウ(RB大宮アルディージャ)
昨季はクラブ史上初となるJ3を戦ったRB大宮アルディージャ。期限付きで加入していたFW杉本健勇やMF泉柊椰らの活躍もあり、第32節終了の時点で早々に昇格を確定させた。続く第33節では優勝を決めて今季はJ2の舞台を戦っている。杉本、泉が完全移籍へと移行したことに加え、この冬はJ2を戦い抜くべく積極的な補強に動いた大宮。その目玉の1つが、横浜FCから加入したDFガブリエウだ。開幕からスタメンに名を連ね新たな守備陣の軸として躍動。前方へのパスの精度も高く、奪ってから素早く攻撃に移せる技術の高さが大きな武器だ。直近のシーズン、横浜FCでJ1昇格を決めガブリエウ自身も25試合に出場しリーグトップの失点の少なさを誇ったチームで守備陣の一角を担っており、今季の大宮にとっては頼もしい要素だ。
開幕3連勝でスタートダッシュに成功した大宮。まだまだ始まったばかりのシーズンだが、昨季J3での積み上げを活かしつつガブリエウらの活躍から補強の効果も十分に出ていると言えよう。とはいえ、難敵ばかりのJ2で一歩間違えれば思わぬ苦戦を強いられることもある。

鳥海晃司(ジェフユナイテッド千葉)
ジェフユナイテッド千葉に頼れる選手が帰ってきた。昨季までセレッソ大阪で4年過ごしてきたDF鳥海晃司だ。直近2シーズンはいずれも30試合に出場するなど守備の中心を担っていたが、今冬5年ぶりに千葉へ戻る決断をし開幕を迎えていた。昨季の千葉は、特に後半戦でエースFW小森飛絢(現シント=トロイデンVV)が爆発。最終盤まで大混戦となっていたJ1昇格プレーオフ圏争いに身を置き、2年連続で悲願のJ1復帰に迫った。そして今季こそ昇格を成し遂げるため、小森含む残念な戦力流出がありつつも複数の即戦力獲得に成功している。その中でも鳥海は、ここまで3試合すべてにスタメンフル出場。ベテランDF鈴木大輔とともに守備の中心を担い、第2節ではゴールという形でもチームの勝利に貢献している。
カバーリングの速さをはじめ、センターバックとしての能力はいずれも高水準。昨季他のJ2上位勢と比較してやや多かった失点数の改善に向け、効果を発揮する選手であることは間違いない。悲願のJ1復帰に向け、満を持して帰還した鳥海が直近2シーズンの千葉に足りなかった”あと一歩”を埋める存在となれるか注目だ。

倍井謙(ジュビロ磐田)
昨季は最終節の結果を受け1年でJ2へ逆戻りとなってしまったジュビロ磐田。この冬は得点源のFWジャーメイン良(現サンフレッチェ広島)や昨季の新戦力であったDF高畑奎汰(現V・ファーレン長崎)、MF平川怜(現東京ヴェルディ)を失った一方、J1クラブから複数の即戦力を獲得して再び昇格を目指すべく開幕を迎えていた。そんな頼もしい新加入選手たちの中でも開幕からの3試合で特に輝きを放っているのが、名古屋グランパスから期限付きで加入したMF倍井謙だ。ルーキーイヤーの昨季は名古屋で25試合に出場し2ゴールという実績を持つ期待の新戦力は、今季早くも武者修行の成果を挙げつつある。開幕戦でいきなり今季チーム初となるゴールを挙げると、続く第2節サガン鳥栖戦のゲーム終盤でも結果的にこの試合唯一となるゴールを挙げて勝利に貢献。2試合連続得点で磐田に開幕2連勝をもたらす原動力となった。
同じJ1からの降格組である札幌と鳥栖が苦しむ中、磐田が好スタートを切った要因の1つが倍井の存在であることに疑いの余地はない。まだまだ伸び盛りの23歳、持ち前の突破力を武器に得点面でもこのまま量産体制に入ることを期待したい。