今季は、FIFAクラブワールドカップ2025に出場する浦和レッズ、AFCチャンピオンズエリート2024/25に出場のヴィッセル神戸、川崎フロンターレ、横浜F・マリノスおよびAFCチャンピオンズリーグ2に出場のサンフレッチェ広島の5クラブを除く計55チームを7つのグループに分け、ノックアウト方式で勝ち上がったチームがプレーオフラウンドへ進出するレギュレーション。1試合限りで勝敗が決まる緊張感も魅力の大会だ。実際に昨年も下位カテゴリーのチームが上位カテゴリーのチームを破る、いわゆる”下剋上”が複数発生している。特にJ1王者のヴィッセル神戸を下してプレーオフステージに駒を進めたカターレ富山の躍進が印象的だった。
もちろん今季も、各グループで初戦から目が離せない戦いが繰り広げられるだろう。また、カップ戦ではリーグ戦で出場時間あるいは出場機会の少ない選手が起用されることが多く、選手層の厚さや戦術の浸透度合いも注目すべきポイントと言えよう。ここでは、各グループごとにプレーオフラウンドへ進むチームの予想も交えて展望する。

グループ1:堅守が売りのチームが揃う
- 町田ゼルビア(J1)
- 藤枝MYFC(J2)
- ヴァンフォーレ甲府(J2)
- 横浜FC(J1)
- FC岐阜(J3)
- ファジアーノ岡山(J1)
- ギラヴァンツ北九州(J3)
選手層を見ても町田の優位は明らか。FWエリキの移籍はあったが、各ポジションに他クラブであればJ1でもスタメンを務められる選手が多くいる。一方で横浜FCと岡山もリーグ戦のベンチメンバーには頼りになるベテラン選手も複数おり、彼らがカップ戦で主軸を担うのであれば十分に対抗できる力は有していると言えよう。

グループ2:昨季早々に敗退の名門3クラブに注目
- ガンバ大阪(J1)
- 高知ユナイテッド(J3)
- ロアッソ熊本(J2)
- 水戸ホーリーホック(J2)
- 清水エスパルス(J1)
- SC相模原(J3)
- ジュビロ磐田(J2)
- FC大阪(J3)
戦力を見るとG大阪が最有力候補。MF名和田我空やFW南野遥海など若手にも力のある選手が揃っており、リーグ戦での主力を休ませたとしても相手にとって脅威を与える戦力を有している。とはいえ、若手という意味では清水も同様に有望株が複数在籍。また、磐田もJ2勢の中では圧倒的な戦力を誇るチームであり力はある。いずれにせよ、初戦で大番狂わせがなければ3チームのうちのいずれかが勝ち進むグループと見ていいだろう。

グループ3:本命はJ1の2クラブ
- 鹿島アントラーズ(J1)
- 栃木シティ(J3)
- レノファ山口(J2)
- 大分トリニータ(J2)
- 柏レイソル(J1)
- アスルクラロ沼津(J3)
- 北海道コンサドーレ札幌(J2)
- 福島ユナイテッド(J3)
対抗馬としては北海道コンサドーレ札幌だが、1年での昇格を目指しながらもJ2で苦戦しておりカップ戦に集中できる状況にはとてもない。それだけに、概ね鹿島と柏のいずれかの突破が濃厚だ。

グループ4:曲者ぞろいで混戦模様
- 東京ヴェルディ(J1)
- AC長野パルセイロ(J3)
- ブラウブリッツ秋田(J2)
- 愛媛FC(J2)
- アルビレックス新潟(J1)
- ヴァンラーレ八戸(J3)
- サガン鳥栖(J2)
- 松本山雅(J3)
とはいえ、もちろん本命はJ1の2クラブ。東京V、新潟のいずれも今冬は若手を多くチームに迎えており、チームの強化を図る上でも重要な位置づけとなる大会と言えよう。直近の直接対決(J1第5節)では2-2とドローに終わっており、順当に勝ち上がったとしても予想は難しい。今季こそ優勝を成し遂げたい新潟に、曲者と言える各クラブがどう立ち向かうか見ものだ。

グループ5:J2の雄が大本命か
- FC東京(J1)
- 奈良クラブ(J3)
- いわきFC(J2)
- RB大宮アルディージャ(J2)
- 湘南ベルマーレ(J1)
- ツエーゲン金沢(J3)
- V・ファーレン長崎(J2)
- ザスパ群馬(J3)
特に長崎はリーグ戦においてMFマルコス・ギリェルメやFWエジガル・ジュニオを控えに置くことも多くなっており、カップ戦ではスタメン起用の可能性も高い。また、ジョーカーとして存在感を出しつつあるMF松澤海斗も注目すべき選手と言えよう。J1で好調な湘南がカップ戦でも勢いを活かせるかが注目ポイントだが、選手層で言えば長崎にも十分つけ入る隙はありそうだ。

グループ6:西日本勢に対する伏兵の存在感
- セレッソ大阪(J1)
- カマタマーレ讃岐(J3)
- 徳島ヴォルティス(J2)
- FC今治(J2)
- 京都サンガ(J1)
- ガイナーレ鳥取(J3)
- モンテディオ山形(J2)
- 鹿児島ユナイテッド(J3)
そんななか、不気味な存在なのが唯一の東日本のクラブであるモンテディオ山形。リーグ戦では3連敗スタートとなったが直近は2連勝を果たしており、何より選手層の厚さはJ2屈指。特に攻撃陣ではリーグ戦のベンチにも強力な選手たちが揃っている。本命C大阪に対する京都という構図であることは事実だが、ダークホースとして山形の戦いからも目が離せない。

グループ7:連覇に挑む名古屋グランパス
- 名古屋グランパス(J1)
- テゲバジャーロ宮崎(J3)
- ジェフユナイテッド千葉(J2)
- カターレ富山(J2)
- アビスパ福岡(J1)
- FC琉球(J3)
- ベガルタ仙台(J2)
- 栃木SC(J3)
また、昨年J3から唯一プレーオフラウンドへ進出したカターレ富山も気になる存在。今季はJ2へ昇格し開幕から5試合で3勝と好スタートを切っていることから、昨季に続けてカップ戦での躍進も期待できる。名古屋優位との見方ができるものの、リーグ戦での不調を引きずるようならば一気に見通しが立たないグループとなる。大番狂わせが起こるとすれば、昨年の覇者がいるこのグループなのかもしれない。