そんな今季のJ1リーグでは、ルーキーながら早くも出場機会を得て活躍している選手が例年以上に多く、なかにはACL(AFCチャンピオンズリーグ)で複数得点を挙げたスーパールーキーもいる。ここでは、プロ1年目にしてすでに主力としてプレーしている6選手を紹介する。
※川崎フロンターレ、ヴィッセル神戸、横浜F・マリノスはACLE(AFCチャンピオンズリーグエリート)へ、サンフレッチェ広島はACL2(AFCチャンピオンズリーグ2)へ出場しているため1試合未消化。

中村草太(サンフレッチェ広島)
1人目は明治大学から今季サンフレッチェ広島に加入したFW中村草太。スピードを生かした裏抜けを得意とし決定力も高い。大学時代には3年次から2年連続で関東サッカーリーグ得点王やアシスト王に輝き、チームを関東リーグ優勝やインカレ(全日本大学サッカー選手権大会)優勝へと導いた。この活躍に大学No.1プレーヤーとの呼び声も高く、鳴り物入りでプロ入りとなった。広島ではここまで公式戦7試合(J1リーグ4試合2ゴール、ACL2・2試合3ゴール、フジゼロックススーパーカップ1試合)に出場し早くも5ゴールを挙げており、得点量産体制に入っている。

稲村隼翔(アルビレックス新潟)
2人目は東洋大学からアルビレックス新潟に加入したDF稲村隼翔。大学2年次からスタメンでプレーしており、3年次の6月には2025シーズンからの新潟加入が内定していた。2024シーズンは特別指定選手としてJ1リーグで12試合に出場。名古屋グランパスとのYBCルヴァンカップ決勝にはスタメンに抜擢された。センターバックを本職とする稲村は、視野の広さに加え左足から繰り出されるロングフィードやサイドチェンジなどのパスに定評がある。受け手がトラップしやすい回転でボールを蹴っており、足元の技術に長けていると言えるだろう。
今シーズンはここまでJ1リーグ5試合全てにスタメンでのフルタイム出場を果たしており、背番号もプロ1年目ながら「3」と期待の高さが窺える。

嶋本悠大(清水エスパルス)
3人目には昨年の高円宮杯JFA U-18サッカープレミアリーグで優勝した大津高校(熊本県)から清水エスパルスに加入したMF嶋本悠大を挙げる。ボランチを主戦場としており、守備ではポジショニングの良さや球際の強さに定評がある。攻撃面でもドリブルやパスで決定的なシーンを演出できるなど、まさに”チームの心臓”である事が分かる。清水では開幕戦(東京ヴェルディ戦1-0)に途中出場でプロデビューを果たすと、第5節のガンバ大阪戦(0-1)では早くも初のスタメン出場を遂げている。まだプロのスピードや強度についていけない場面も見られるため、まずは順応が課題か。

桑山侃士(町田ゼルビア)
東海大学から町田ゼルビアに加入したFW桑山侃士は、高校までMFだったが大学からFWにコンバート。身長184cm体重80kgの恵まれた体格を活かしたポストプレーはもちろん、味方のパスを引き出す動きや強引にシュートを放つことができる万能型ストライカーである。昨年4月に2025シーズンからの町田入団が発表されると、同年は特別指定選手として公式戦5試合に出場した。今シーズンはここまでJ1リーグ3試合1ゴールを記録。ロングボールやロングパスを多用する町田の戦術にフィットしており、一気に飛躍を遂げる可能性が高い。

新井悠太(東京ヴェルディ)
5人目は東洋大学から東京ヴェルディに加入したMF新井悠太。持ち味はなんといってもボディフェイントで対峙する相手DFの逆をつくことが出来るドリブルではないだろうか。今シーズンはここまでJ1リーグ5試合中4試合でスタメン出場を果たしている。第3節の町田ゼルビア戦(1-0)では、アシストで決勝ゴールをお膳立てする活躍を見せた。左サイドを主戦場とし、独特の間を持つドリブラーであることから一部では「NEXT三笘薫」とも呼ばれている。

名和田我空(ガンバ大阪)
6人目は神村学園からガンバ大阪へ加入したMF名和田我空。繊細なボールタッチや高精度のパスやシュートは高校時代から群を抜いていた。高校2年次に出場した2023年のAFC U-17アジアカップではMVPと得点王をダブル受賞。この活躍もあり、2023年10月にイギリスの大手新聞『ガーディアン』が発表した「2006年生まれのサッカー界最高の若き才能60人」に選出されている。海外クラブからの評価も高く、高校卒業後の動向に注目が集まるなかG大阪でプレーすることを選択した。今シーズンは開幕節のセレッソ大阪戦(2-5)でスタメンに抜擢されると、出場時間65分間でシュート4本を放ち存在感を見せつけた。